とりあえず・・

一つの工場が消えつつある。
１０年前、左遷され配属されたのがその工場だった。

最盛期は昼夜二交代、残業も月100時間はゆうに超えるほど忙しかった。
設備の保全をしている私たちは、1分1秒も生産を止めないよう神経を使っていた。

3年あまり前、生産を止め放置され、再開を夢見ていた機械たち。
その願いは無残に打ち砕かれた。

倉庫として使うために機械の撤去が始まった。
切り刻まれスクラップとしてトラックに放り込まれている。
故障も少なくよく働いてくれたやつ、しょうちゅう壊れて手のかかったやつ。

機械たちの悲鳴が、泣き声がきこえる。