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あるラジオ番組で、小沢昭一さんが、今年で76歳になられることを知った。
かなり以前のことだが、東京・世田谷で1年ほど新聞配達をやっていた時期がある。担当していた区域に、小沢昭一さんが住んでおられた。長い坂が住宅街を貫き、下りきったところは十字路になっている。その一角に小沢さんのお宅があった。白く塗装された邸宅の多いその地域にあって、木造平屋造の小沢さんの家は暗く沈んでみえる。だが、近づいてよくみれば、隅々まで手が入れられているのである。夏のあいだは、打ち水が絶えない。奥さまは、平野レミをすこしおとなしくしたような(笑)、若い方だった。この方が家の手入れをなさっていたのだろう。 ある夕暮れ、出かけようとされていた小沢さんに遇った。小沢さんは立ち止まると、わたしにまっすぐに向かい合った。 「どうもいつもご苦労さまです」 丁寧にお辞儀をされるのである。それから、奥さまに手をあげ、坂道を登って行った。奥さまもわたしに会釈し、やはり 「ありがとうございます」 と言って、家に入られる。 このときからわたしは、小沢昭一さんと、そのご家族のファンである。 芸人。芸能人ではなく、芸人。この言葉にふれるたびに思い浮かぶのは、小沢さんのお姿である。わたしごときものに丁寧に頭をさげ、夕暮れた坂道を、やや猫背になって歩いて行かれる小沢さんの後ろ姿だ。 近年の小沢さんはやや肉がつき、その目のあたり、妖気はいよいよ強い。ことしもお元気で活躍していただきたいものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.01.02 19:27:50
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