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テーマ:ブラジル生活(499)
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前日、日本語の生徒のイバが来た。
イバは黒髪がくりっとした短髪の、うようよっとどこら辺でもいそうな、日本人がブラジル人の顔を連想したときまず思い浮かべそうな一般的なブラジル人だ。 クラス中に毎回携帯に恋人からTELがかかってきていて、前回注意したので、今回は電動にしておいたらしい。ポケットの中の振動でかかってきた事に気づき、こそっと携帯を取り出した。しかし、今回は恋人からではなく、会社からだったらしい。 「すみません。」 そう言い、イバは携帯を受けた。マジな顔をしながら相手の話を聞いている。携帯を切った彼は ふうとため息をついた。 「クビになるかもしれません・・・。」 電話は上司からで、月曜日にグループ内の様々な問題を解決するために会議をする、家にある仕事を月曜日に全部会社へ持って来い、などと言われたらしい。 それがどうしてクビにつながるのか?と聞くと、自分は会社内でただ一人、喧嘩をする男なのだそうだ。給料が少ないと文句をいい、契約内容と仕事内容が違う、仕事の期日寸前に仕事を持ってこられても困る、出張をしたくない、などなど 何かと不満に思ったことは口に出す性格で、いざこざもいろいろとあったそうだ。 その会社の不満を暴露した後で、今度は自分の恋人への不満も口にしだした。 「先週末、金・土・日と 毎日シモーネ(恋人)さんとデートしました。その時彼女は金がないと言うから、全て私がおごってあげたので、お金がすっかりなくなってしまいました。そこで、出かけたらお金を使わなければならないので、今晩は彼女のうちで過ごしたいのだけど、と言ったら、彼女は不満そうにOKを出したんです。」 彼女は自分の給料が少ないことを分かってくれていない!と怒り始めたのだった。 でも、お金がないんだったら、週末全部外食したりするのはおかしいんじゃあないの、自分でもちゃんとコントロールしなきゃね!彼女ともちゃんと話し合った方がいいかもね!などと 話したが、つくづく イバは要領が悪く、悲惨だなあ・・と思った。 そして、同じ日に オタクが来た。 彼のことは以前いろいろ書いたが、特撮モノが好きなオタクでアニメイベントにはかならず出没し、写真を撮って売ったりするツワモノだ。 彼は大学生で、背が高く中肉中背で、くりくりっとした耳の下までのばした栗色髪で色白。目がくりっとして少年のような顔立ちをしている。 彼も いつも金がない。 「先生、先日アニメイベントへ行ってきたよ。」 彼の話によると、20レアイスしかお金がなかったそうだ。 そして、入場料は10へアイス。どうにか切り抜けられないかと考えた彼は ある大学でそのイベントが開かれたことを利用して、「僕、ここの生徒だから」と平然とした顔で言い、入場料を払わずに入ることができたそうだ。 なかでは 漫画コーナーがあって、AKIRAの漫画があった。彼はAKIRAの大ファンで、コレクションをしているのだが、何巻か抜けている巻があってそれが欲しかった。 しかし、一冊15レアイス。 「頼むよー。ぼくはAKIRAの大ファンで、コレクションを完成させたいんだ。ほら、僕以外に誰も漫画を買っている人がいないじゃないか。お願いだよー。」 と泣きつき、結局二冊で20レアイスに値切れたそうだ!凄い! それからしばらくして、のどが渇いてきた。 日系企業の豆乳ドリンク「muppy」を売っているのを見て飲みたくなった。友達が一つ購入し、少し飲ませてもらった。・・・が、もうひとつ飲みたい彼は イベント内を歩いている二人組みの女の子に、「1レアイス恵んでくれよお。のどが渇いて死にそうなんだ。でも、僕お金がなくて、買えないんだ・・。」と泣きつき、なんと恵んでもらえたそうだ。 そのお金で 晴れてmuppyを購入できたオタク。しかし、小さな袋に入っているmuppyひとつでは満足できず、もうひとつ飲みたくなった。そこで、売っているお姉さんに 泣きつき、こっそりと一つ分けてくれたそうだ。 帰る段階になって、バスに乗る金がないオタクは 金欠友達とウクレレを弾いて金集めをしよう、と考え、ウクレレを弾き、ピアーダ(笑い話)を披露して、資金を稼いだという話だ。 真面目で損ばかりし、金がなくてさえないイバと いい加減だがいつもたくさんの友達に囲まれ、金がなくても楽しげなオタク。 同じブラジル人で金欠男でも、対照的な二人なのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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