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テーマ:日本への里帰り(48)
カテゴリ:映画
日本にいたときに見た映画の中で、最も印象的だった映画のひとつがこの映画です。 知らなかったのですが、数年も前の映画だそうで・・・。(汗) 皆さんにとっては超有名な映画なのでしょうね。 まずは第一印象が、 「俳優がイイ!」 もう、惚れこみました。 主人公の妻夫木くんは思いっきり普通っぽい雰囲気の顔立ちの男の子なのだけど、きらきらと輝くような表情を素直にくるくると変えるところがいいですね。 すれてもいず、癖もなく、演じる幅が広そうないい役者さんって感じがしました。 ジョゼ役の池脇さんは・・・あれは「地」なのだろうか・・・? 大阪弁の風変わりな女の子のジョゼがぴったりはまっていました。下町の住宅で強烈な風貌の「おばあちゃん」に完全に隔離されて育ってきたというのに、美しい顔立ちと強烈な個性のせいか、どんなにぼろを着ていても、質素な生活をしていても、何か違う。恒夫くんを惹き付けるオリジナルな魅力が溢れている感じが良く出ていました。 その他にも、一度見たら忘れることのできない強烈な風貌のおばあちゃん、カワイさを武器にずるく生きていた香苗、などなどもう役者が素敵でした。 そして、適当に楽しく軽く生きてきた恒夫君がひょんなところから出会った下半身不随のジョゼに恋する過程も楽しく描かれていました。 田舎の家庭料理が抜群にうまく、捨てられていた古本を何から何まで暗記するほどに読んでしまう、誰にも見つからないところに埋もれた独特の感性を持った不思議な美少女を発掘。 なんだか気になり、興味をひきつけられてしまったけど、彼女の重さに耐え切れず別れてしまった・・・。 好きなのだけど、重い。 疲れる。 投げ出してしまったけど、罪悪感と自分に対する嫌悪感、彼女を思い出すだけできりきりと胸を突かれる痛み。 優しい恒夫君の優しさの限界を知った痛み。 結構当の本人のジョゼはちゃっかりとそういう結末も分かっていたようで、けろっとしていたりするのだけれども。 そういう意味では、健全者の恒夫よりも、体が不自由なジョゼの方が精神的にはずっと強かったのかもしれません。小さな頃から他人とは違い、いままでずっと考えたり、覚悟もできていた、強いけど弱く寂しがりな女の子の覚悟。 恒夫と恋人同士になってから一緒に見たがった、「世界一怖いものの虎」と「魚」。 怖いもの=自分を脅かすものを大好きな人にしっかりと守られて立ち向かっておく、これからの人生に対する彼女の心の準備だったのでしょうか。えらそうな物言いだけど、包丁を振り回したり、トカレフを欲しがったりする、実は物凄く怖がりな彼女のこれからの独りの人生に先駆けて。 魚=小さくて、孤独で、自由に憧れる自分、シアワセな瞬間にあの大きな青い水の中にすうっと飛び込んで、消えてしまいたかったのでしょうか。 結構そういう恋の経験のある人って多いのでしょうね。 ずっと忘れられなくなるような心にしみる映画でした。 ただ、最後の恒夫君の涙が、私的にはげんなりしてしまったのだけれど、それはこんな恋を経験したことがないからなのかもしれないナと思い直しました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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