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文の文

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2004年7月のこと

2004/07/11 ~おおいにっき~1

~美貌、ではなく備忘のために書く日記~

朝 フレンチトースト (はちみつがけ) コーヒー(さとうなし ミルク入)パイナップル
オニオンサラダ ヨーグルト

昼 ざるそば 

夜 てんぷら(エビ キス さつまいも じゃがいも モロッコインゲン なす ピーマン 紫蘇 茗荷) 豆腐の味噌汁 うりの塩漬け めかぶ

横浜新杉田からシーサイドラインで幸浦へ。パイチチの倉庫バーゲンへ。

橋本かずえちゃん親子とばったり会う。かずえちゃんは顔中が目のようだった。いいおじょうさんになったねえ。でもゆっくりと鷹揚な喋り方は昔とかわらない。

ワンピース1500円 シャツ2600円 ストール1500円 バッグ1000円 枕カバー500円×2 スカート2000円 カーディガン1500円

我ながらお買い得名人。 

アトレの有燐堂で松岡正剛の「おもかげの国 うつろいの国」購入。580円。わくわくする。

夜ビデオを借りる。あまり品揃えのよくない店。「ムーンライトマイル」「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」「パウダー」一週間借りる。

ふだん、あ、あれ見忘れたと思ってたり、見たいなと思っている映画は結構あるのに、ビデオ屋の棚の前にいくと思い出せない。で、予告編とか見て、嗚呼これが見たかったんだと思い出す。そしてまた忘れる。

クロっていう犬の映画が見たい。ここに書いておけばわすれない。・・・かもしれない。

思い出を連れにして夜の街を歩く。ほほの緩むこともある。

2004/07/11 ~おおいにっき~2

昼 いなにわうどん(ゴマ、ねぎ、生姜、あげだま、きざみぼり) 残り物のてんぷら

夜 ご飯 大根の味噌汁 白身魚のしぐれ煮 温サラダ(にんじん ジャガイモ ブロッコリー ベーコン)かに玉 鶏肉と大根の煮物

・・大根ばっかり!そんなときはうしろめたくて種類ばかり多くなる。

ここにあった「有楽町」を楽天に移動。おおいにっきのみにする。

投票へ行く。近くの小学校。自分の町内の名簿の前にえらく人が並んでいて、かえって時間がかかった。

ま、たかが一票、されど・・・の思い。かきくんに各党についての意見を聞かれて窮する。なんとなく好き嫌いで選んでる、とは言えんしなあ・・・。

ビデオ「ムーンライトマイル」を見終わる。ザディアフタートモロウに出てる少年が婚約者をなくした青年の役で出ていて少々違和感だった。

一人娘を亡くした夫婦の現実逃避はなんとも切ない。

突き出したおしりのさきにいつも彼のいてくれることが「安らぎ」だという母親の言葉が印象的。

昨日バーゲンで勝った荷物が届く。値札を切りながら、安い!とにんまりする。ブラウスがもう一枚。明るい黄土色、着られるのかな?

ハギレ詰め放題500円で、また買ってしまったハギレにアイロンをかける。いいさ、作るンだから。いっぱいいっぱい作るよ。

高速の下の道を行くとディスカウントショップ「大黒や」があった。米、牛乳、薄口しょうゆ、卵、柔軟剤、クレンジング、ピンチ、カニ缶、おかきなどを買う。重かった。

息子1はオフ会。食事いらず。息子2は鉄砲玉。きゃつめの投票所はずいぶん遠いらしい。

だらだらとセイゴウさんを読む。わかったようなわからんようなだが、なんかいい。

2004/07/12 ~おおいにっき~3

朝 コーヒー ヨーグルト 甘夏 トースト(バター)

昼 たまごかけごはん きゅうりの漬物

夜 ししゃも しじみの味噌汁 キャベツとピーマンの炒め物
牛肉甘辛煮

それにつけても間食が多い。本を読みながらおせんべいをかじる。咀嚼するとうまく理解できるような気がするなんて言い訳。

生協のリサイクル。おにいさんは適当でいいという。個人宅配を望むタイプはそういうのが苦手かもしれない。

シーツ3枚。マット3枚。洗濯。ベランダが狭いなあ。まったくなあ。

本多さんのCDの代金振り込む。千鶴子さんの分とで3600円。聴いて満足かと問われたら、なんと答えたらいいのだろう。歌を歌うということはなまなかなことではないなあ。作詞つうのもなまなかでない。

なまなまでないさ。なんだってさ。あれもこれも落選ですもん。わたし・・・。

ファンデーションを購入。レブロン。メラニンためたらシミ女。

阪急で肉まん。

アトレの有燐堂でかずさんに「家守綺譚」ゆうくんに「ICO」宮部みゆきなら読むべ。計3600円。
 
セイゴウさん読む。日本語の確立していく経過、じつにわくわくする。すーっと見えない道筋を指し示してもらっているようでうれしい。

文化を編集という角度から眺めてみる。そいつはすげえ。おもしろい。たのしい。知らんことがいっぱいあっても、うんうんそうかあと頷く。日本人っていい。

パッチワークを励む。肩こり。

ER.黒人であることのしんどさ。カーターはアビーに申し込まなかったなあ。どうなるんだろうな。

火消し小町のドラマ始まる。

2004/07/14 おーいにっき・4

朝 コーヒー アロエヨーグルト サクランボ トースト(バター) トマト 

昼 シーフードカレー サラダ コーヒー NYチーズケーキ

夜 スパゲッティミートソースなす入り オニオンサラダ

みささんの書道展。横浜県民ホール。たいしたものだった。

書道は空間のデザインかもしれない、と思う。白と黒のせめぎあい。ああ、そうかあ。のびのびと広がっていく文字のここちよさは字の形というより、その切り取り方の魅力なのかもしれない。

いいもんだ。書道。

みなと郵便局前のレストランでミヤオさんと待ち合わせ。1時から4時半まで食べながら飲みながら喋る。

ミヤオさんと話していて心地よいのはお互いの引いた線を乗り越えないからだ。

たしかにジョークはべらぼうにおもしろく毒舌もかなりのもので、わがままでもあり、いいかげんでもあるのだけれど、それでも、ここから先はいけない!というラインがわかっているひとなのだと思う。

大人の礼儀のようなもの。常識ではない。自分がされて不快に思うことをひとにしない。そんな暗黙のお約束。

押し付けない。決め付けない。あなたはあなた、わたしはわたし。けっして相手を裁かない。それがあなたの考えなのね、といちおう頷く。間違っていると思うところは、ふっと知らん顔をしてみせる。

年を重ねるとだんだん難しくなることがある。自分が正しいと思い込む。そして押し付ける。

あなたはあなたであるのだと認め合える友人の存在はありがたい。

その絶妙な距離感がおとななのだ。

鼓月の水羊羹、みささんよミヤオさんへ840円×2 みささんにブーケ525円。

チーズケーキはミヤオさんにごちそうになる。カレーランチは1000円。

帰りにドラフトワン2本360円。

セイゴウさんの番組。まぶたが落ちそうでこまった。国学、古心で本来を知って将来に生かす。いいね。

ミヤオさんの映画の話は楽しい。見ていなくても平気。肩身がせまくならない。ほかの人だとこうはいかない。

みささんにテル。彼女も脱出したいと言う。根のある人はいつもそう言う。

2004/07/14 おーいにっき・5

朝 コーヒー トースト(マーマレード) アロエヨーグルト スクランブルエッグ ハム

夜 にんじんといんげんのスープ 蛸のサラダ エビチャーハン 白身魚のチリソース

作文教室の日。新宿へ。暑い暑い。「焼きなす」推敲して提出。

森さんの作文の時に当たる。なんといったか覚えていない。ただ蛇が蛙を飲み込む情景がポイントなのかと訊いたと思う。

しかし、うまいよな。絵画的よいうのがいい。目に浮かぶような情景をうまく書きたいゼイ。

河原さんの作文に森さんが自慢たらたらと言った。みな溜飲を下げた。猫に鈴が付いた。

上っ面をなでただけの作文。そういう評価をされない作文はあのクラスにはそう多くないようにも思う。わたしもそんな作文書くことあるな。

掘り下げる。それが難しいな。重たい主題はそうそうないのだと高井先生言ったじゃないかあ。

沢辺さんの作文もどうも興味が持てなかったな。仕事の作文は魅力的に書くのは至難。

BSで映画ショコラ。劇場で見たときは主人公がもっと自信ありげにかんじられたのだが、実は不安だったり悲しげだったりいらいらしていたりしてたんだな。人間ってそうだよな。

糖尿病のばあちゃんの存在感。

明るい花柄の似合う年寄りになりたいな。ふわふわのワンピースがいいな。

かつこさんは乳がんを患ったことがあるのだとか。1期だった。自分のことより肺結核の夫が心配だったとかつこさんはいう。

愛したら一直線。いさぎよいひとだ。

イトーヨーカドーで食品購入。3600えんほど。チキンラーメンなど買ってしまう。すき。

帰り道同じマンションのおばあさんにあい。一緒に帰る。ゆっくり歩く。さしさわりのないことを長く話す。最後には「この暑さ、なんとか乗りきりましょうね」とか言っていた。

恐怖のため落ち着かないことを「ろりろり」というのだとトリビア。これはおもしろい。




朝 コーヒー トースト(マーマレード) アロエヨーグルト スクランブルエッグ ハム

夜 にんじんといんげんのスープ 蛸のサラダ エビチャーハン 白身魚のチリソース

作文教室の日。新宿へ。暑い暑い。「焼きなす」推敲して提出。

森さんの作文の時に当たる。なんといったか覚えていない。ただ蛇が蛙を飲み込む情景がポイントなのかと訊いたと思う。

しかし、うまいよな。絵画的よいうのがいい。目に浮かぶような情景をうまく書きたいゼイ。

河原さんの作文に森さんが自慢たらたらと言った。みな溜飲を下げた。猫に鈴が付いた。

上っ面をなでただけの作文。そういう評価をされない作文はあのクラスにはそう多くないようにも思う。わたしもそんな作文書くことあるな。

掘り下げる。それが難しいな。重たい主題はそうそうないのだと高井先生言ったじゃないかあ。

沢辺さんの作文もどうも興味が持てなかったな。仕事の作文は魅力的に書くのは至難。

BSで映画ショコラ。劇場で見たときは主人公がもっと自信ありげにかんじられたのだが、実は不安だったり悲しげだったりいらいらしていたりしてたんだな。人間ってそうだよな。

糖尿病のばあちゃんの存在感。

明るい花柄の似合う年寄りになりたいな。ふわふわのワンピースがいいな。

かつこさんは乳がんを患ったことがあるのだとか。1期だった。自分のことより肺結核の夫が心配だったとかつこさんはいう。

愛したら一直線。いさぎよいひとだ。

イトーヨーカドーで食品購入。3600えんほど。チキンラーメンなど買ってしまう。すき。

帰り道同じマンションのおばあさんにあい。一緒に帰る。ゆっくり歩く。さしさわりのないことを長く話す。最後には「この暑さ、なんとか乗りきりましょうね」とか言っていた。

恐怖のため落ち着かないことを「ろりろり」というのだとトリビア。これはおもしろい。

2004/07/15 おーいにっき・6

朝 コーンフレーク リンゴヨーグルト コーヒー トロピカルフルーツ(缶詰)

昼 ピッツア・マルゲリータ 空豆 蛸サラダ サイダー

牛乳カン スノーボール

夜 サーモンムニエル ニンジン インゲン ゆで卵 かぼちゃのポタージュスープ 煮豚 トマトレタス 空豆 ビール

暑い暑い暑い暑いと何度かいても書き足りないくらい暑かった。掃除して洗濯して炊事して汗まみれ。

そんなに暑いのに、あんずジャムなど作る。あんずは酸味が強いので砂糖は6割は必要とか。

根気よく付きっ切りでかき混ぜる。たやすいことだわ。

これを、へー、手作りジャムなんてすごい!なんて感心してたわけで、なあんだ!というかんじ。ようは手間ひまかけられるかどうかなんだな。

寒天パウダーがあったので牛乳カンも作る。朝の残りのフルーツを入れる。ちょっとかたかったな。ま、こんなもんかな、と言う味。

こんな暑い日にスノーボールは作らん方がいい。クッキーには不似合いな日だ。バターがユルユルで扱いにくい。それでも懐かしい味だと息子が言う。それでよし!

あまりにあついので部屋にこもってパッチワークに励む。ちくちくちく。落ち込みそうなときは明るい色の布を選ぶといい。今日はピンク系。四角い布を繋ぐ。いったいになにになるのか。ベビーキルトになればいいな。

新潟の水害はすごかったな。後始末がたいへんだ。これは人海作戦しかないとおじさんが言っていた。なにから手を着けていいのかわからないとおばさんは言っていた。ほとほと困ると人間笑えてきたりするんだな。

暑さに苛立ち、無為の息子に苛立ち、自分のやる気のなさに苛立つ。

家から一歩も出ない一日。だから支出なし。

2004/07/17 おーいにっき・7

朝 コーヒー ハムエッグサンド りんごヨーグルト トマト

昼 チキンラーメンねぎ入り

夜 尾花でうな重 白焼き うまき

南千住へ。混むというので4時に。やわらかなうなぎ。もうすこし甘めのタレのほうが好み。

上野駅で羽二重団子5本1260円。

朝から息子二人に切れた。無為にたいする苛立ち。ゆうが逆襲。反省。仲直り。

言いたいこと言ったほうがさっぱりすることもある。黙っているとふりそうでふらない夕立のような湿度の高さに悩まされる。

ま、いっちゃったもんはしょうがないし。

小塚原の回向院には吉田松陰とかねずみ小僧の墓がある。ぱんちしてはいけない。

解体新書の碑があった。高橋お伝の墓もあった。

常磐線にはじめて乗った。これで、もう牛久までいけるな。

「パウダー」はちょっと悲しい映画。白子という特別な存在。いつも否定される存在。

付加された超能力。それも悲しい顛末。

人間の狭さのようなもの浮き彫りに。

2004/07/18 おーいにっき・8

7月17日のこと
朝 コーヒー
昼 ソーメン
夜 ネギトロ丼 味噌汁 鯵唐揚げ サラダ

死んだような一日。いかんね。

ビデオ返して、また借りた。

さよなら、クロ。ツマブキくんはいいねえ。いとうあゆみも優等生的だけどいい。柄本明はいい。

中村哲氏の言葉はじわじわしみる。ある意味でアフガニスタンに育てられた人なのかもしれないなと思う。

2004/07/19 おーいにっき・9

7月18日のこと
朝 コーヒー
昼 ソーメン ホタテのサラダ
夜 親子どんぶり お吸い物 白菜のお漬物

羽二重団子 プリン

シャンドライの恋観る。こんな終わり方はいかんだろう、と思ってしまう。気を持たせるというか、そこからが問題なんだろうがー!!というか。

あとは想像におまかせですかあ?とか突っ込みいれたくなったりして。

シャンドライってほんとに恋をしてたのかなあ。

キンスキーさんは幸福の王子だなあ。相手のために少しずつ失っていく。ピアノまで売ってしまって。アイデンティティでしょうがあ!

愛してほしい!という言葉からうかがえるのは、孤独な半生。求めて求めて求めて得られなかったもの。

それにしても、食事の仕方が気になって仕方がない。とうもろこしなんてのは優雅にかじるものではないと思うけれど、貪り食うというイメージが必要だったのかもしれないけれど、なんとなく、映像で見るとなんだかいごこちが悪い。

香港映画のなんとか年鑑と言う映画だたか、トニーレオンがオープニングで木の室に囁く、あの映画で、首の線がすごくきれいな、あの女性(英雄でも競演していたひと)の食事の仕方も気になった。

もりもり食べるというより、口のなかに放り込むという感じでどうもなじめなかった。

映画って妙に瑣末なところが記憶に残る。

風呂の蓋だとか、敷物だとか排水溝だとかの水垢を落とす。大汗をかく。でも、すっきりして達成感。

出かけるのか億劫な日々。

2004/07/23 おーいにっき・10

いかんいかん。あまりに暑くて食べ物のこと書くのが億劫になってしまった。
そんな日々だからしょうがない。

東京は世界で一番暑い都市になったとか。ニューデリィーも暑いけど夜間の気温は下がるらしい。やれやれだなあ。

文明がいかんともしがたいことはまだまだたくさんある。謙虚に生きよう。

夕食はカレーとサラダ
昼食は冷やし讃岐うどん
朝はトースト

なんだか気合のはいらないメニューだ。同様に気合の入らない一日。常に睡魔と闘っているような感じだ。

姑の件、悠介の件、勝子さんの件、千鶴子さんの件。森さんの件、杉村さんの件。

頭の中でぐるぐるぐる。

初恋の来た道。棺を運ぶシーンで泣けて泣けて仕方がなかった。吹雪の中、凍りつく道を行く100人がかわるがわる恩師の棺を担ぐ。

それがそのひとの人生を語っている。あの少女の幸せな日々を浮かび上がらせる。

好きになったら一直線。勝子さんだ。自分は?そんなまっすぐに動くことができるだろうか。

2004/07/25 おーいにっき

朝 コーヒートーストトマト
昼 冷やし山菜そば
夜 居酒屋料理 ビール 日本酒(久保田百寿 八海山)3540円

今日も暑かった。

杉浦日向子の百物語を買う。へたくそな絵。でも噺はおもしろい。そばのはなしだけじゃないんだな、このひと。

エスカレーターで見詰め合うカップルを階段のほうから見た。言葉はないがお互いから決して間をそらさない。ピップホップ系の男の子と茶髪でタンクトップの女の子。

エスカレーターを降りた二人はやぱりお互いから目をそらさない。彼らは手話をかわしていた。声のない口の動きがそれをサポートする。身体揺れる。笑っている。

見つめることがわかりあうことのはじまり。

今日となりに座ったおじさんふたりは互いの身の上を話し合っていた。「生まれは田園調布の病院で、蒲田で育った」

「おふくろがしんだのが60歳で、そんなことになるなんて思ってもいなかったから、早く結婚していろんなこと見せてやりたかったと思うよ」

おじさん同士が手探りでおたがいを知ろうとしている。心置きなく自分を話す機会に恵まれなかったひとがとつおいつ話す言葉が耳に残った。

帰りの電車のなかの男性4人。ひとりの男がなんでおれにすっと電話してこなかったのかと甲高い声で、ごねていた。おれはいろいろ面倒見てきたじゃないか。なのに、なんで電話してこない。気持ちの問題だ。

その性格がひとをためらわせるのだよと、言いそうになってしまう。

家を一歩でればいろんなひとがいて、いろんな仕草でいろんな言葉を交わしている。それはなんとも新鮮だ。

強烈な夏の日差しのなかで、それでも人は生きているんだなあと思う。

2004/07/29 おーい

文学学校控え

一日目、
川本三郎、重松清、花村萬月

青春という物語というテーマ。

川本さんは実に論理的。なるほと、とつじつまが合ってせいせいする。

重松氏の言葉は達意の言葉、確実に相手に届く言葉をえらんで、こころをこめてしゃべっているように思える。

花村さんは人生がすげえ!生きてきた事実が小説だあ。半村良さんの死に触れて涙ぐんだ時、このひとのこころの一番やわらかなところに触れたように思えた。

ヒモの秘訣は卑屈にならないこと!それは一生忘れない言葉になりそうだ。

2日目は島田雅彦、椎名誠、藤本義一

島田氏はロシアーアバンギャルドについて綿密な下調べをして語られた。自信ありげなかんじがした。時にチラッと客席を見る。まあ男前!

生シーナ三回目。だんだん年を取っていく。Tシャツのしたの筋肉が衰えているのが見てとれる。少しかなしい。

かれの青春はエッセイで読んだ。克明なもんだ。そうだ。荷物を届けに行った会社の受付の女の子に恋していた。それが今のおくさんだったのか・・・。

藤本氏はいい。頭の回転が速いし、なにより発想がユニークだ。かれの父親が結核病棟で見舞いに来たかれに告げる言葉のいちいちが実にあきんどまいんあどに満ち、ひとの道を説いてきて、感動ものだ。

生活力のあるひとなのだ、ぎいっちゃんは。

おしみのない語りを堪能した。

2004/07/29 おーい

文学学校控え

本日は梁石日氏、出久根達郎氏、鹿島茂氏。

ヤン・ソギルさんと同じエレベーターに乗り合わせた。一見おばんさんのような風貌。ゆったりとしているようで鋭い目。世の中を知っている、そんなかんじ。淡々と語られる来し方。タクシーの運転手をしてたくさんのひとを運んだ彼も、実はさまざまな出会いで、作家となるべく、ここに運ばれてきた。

出久根さんも世の中を知っている。人情の機微だとか人智の及ばぬこととかを肌で感じてきたひとのように見えた。井伏鱒二を実に魅力的に語った。かすれてそれでも大きく響く声。声もまたおのずとその人生を教える。

鹿島氏の声も大きく響く。ちょっと「間違いない!」の長井のような感じの声だ。よどみなくフランス文学を語る声。その歴史をはすかいから見ているおもしろさ。フランス文学はなべて姦通文学である!と聞けば眠気も吹っ飛んでしまう。

とはいえ、わたしの脳みそは1時間の集中がどうにもきつくて、ふっと意識がなくなってしまう。ウルトラマンのカラータイマーのようにきっかり30分ほどでカクンとくる。それがいつも肝心なところでくるようで、ね、さっきのとこ、もういっかい言ってよとか、言いたくなっている。


2004/07/31 おーい

本日は古井由吉氏、荒川洋治氏、永井路子氏。

5日連続ともなると、普段外出しない身にはいささか応えて、疲れが出てくる。

傍から見ると、この暑い盛りの昼下がりに、頼まれもしないのに、わざわざお金出して、3時間も集中して文学の話を聞いて疲れて、居眠りしてるなんて、おかしな人種に映るんだろうなあ、なんて思ったりもする。

それでも古井由吉さんのひっそりとした佇まいや荒川さんの話の構成の巧みさや永井路子さんのひたすらな探究心をじかに感じられるのは、えもいわれぬ幸せなのだと思う。

古井さんは漱石の小説に青春を探す。江戸時代の価値観、因習を背負って求道的であろうとあろうとする世代の挫折。死への傾斜。

このひとが紡ぐ言葉の音色がとてもここちよい。内容はともかくもその声に聞きほれる。こんな声で褒められたり、包まれたりしたりどんなに癒されることだろう。

荒川洋治さんの声にそんな穏やかさはない。瞬時に場面を転換し、鮮やかにシーンを切り取る声。素朴でおおらかに見えて実は計算しつくされた語り。お見事!なのだ。

韓国映画のこと。その視点。障害者との、偽善ではない付き合い方に愛情があるのだということ。その迫力、日本映画にはないものと力説。迫る。

詩の言葉のイメージ。散文とは違うということ。散文は伝わることが使命。うんうん、その通り。散文で酔ってはいけないのだ。納得。

最澄の時代背景を桓武天皇を中心に永井さんは語った。かつて鎌倉の近代文学館の展示でこのひとの成績表をみたことがあった。体育となにかの実技科目のほかはみな一番いい成績だった。(甲乙なんとかの甲ばかり)美しい少女でもあった。

永井荷風の親戚というのも記憶に残った。何もかもに恵まれた少女のように思っていたのに、その青春時代をふらふらしていたと氏は振り返る。

年表を見るのが大好きなのだと言われた。その行間に真実を捜し求める探究心。

白髪の勝った豊かな髪を眺めながら、たくさんの古文書や資料のなかを分け入って過ごされた時間を思った。

歴史の中、過去と現在を行き来して、ウラシマタロウのように、見も知らぬ時空で知的冒険して、知的悦楽をなしてきたひとはみな白髪になるのかしら、と司馬さんのことなどを思い浮かべながら感じていた。








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