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文の文

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文袋屋かく呟けり ~思案~




ツイッター セレクト 2010 4月21日~

☆人間ドックで、いろんな値は上がっていくのに、身長が1センチ縮んでた。いやん!ですな。世界のながめが1センチ低くなって、ああ、こうやって、ひとは謙虚になって・・・いけるのか!?


☆傾聴ボランティアで話を聞いた明治43年生まれのNさんには、もう幼い時の記憶しかない。、幼いながらも子守をしていたという身の上話の途中、一瞬、こちらの質問に相好を崩した。顔じゅうの皺がタックみたいに寄ってしまう。ふっと、その笑顔はNさんの人生の勲章なんだと思ったりした

☆で、皺って目の敵にするもんじゃないんじゃないかと思ったりするんだな。朝、鏡のなかの自分の寝起きの顔をみたときになんかにね。


☆白洲正子さんの「名人は危うきに遊ぶ」を読了。この文庫本の解説が赤瀬川原平さんでタイトルが「大小をもてる人の丸腰」。正子さんの文章もかっこいいけど、原平さんの発想がすごい。あのかっこよさは丸腰の潔さなんだあって納得。


☆えーっと、丸腰って言葉が気に入ってます。人を見る時、「このヒト、丸腰かな?」とか思うようになりました。白洲正子さんみたいに恵まれた生まれとか育ちとかで守られてるっていうのは刀を差してるってことで、そういうものを自ら置いて、ものを見るって、けっこうたいへんなことだと思うのです

☆権力がある、とか、金持ちである、とか、学歴がある、とか、知識がある、とか、人気がある、とかいう刀もあるけど、「べき」とか「らしく」とか「ねばならぬ」とかってのも、結構重たい刀なんだろうな

☆世の中のこと、あれもこれも、酸いも甘いも、いろいろ知った上で、なお、片寄りのない思いでものを見ることができればいいねと思ったり。


☆有名なコピーライターさんが、映画や本のことを書くときはかならずいいところを見つけて書くって書いてた。(めっけられない時は書かない、とも)それは映画評論家の故淀川長治さんもそう言ってた。いい人たちだなあって思うけど、そんな淀川さんの講演を聴いていたとき、子供が泣き始めて・・・つづく

つづき・・・そのとき淀川さんは「うるさいですねえ、おかあさん、とっとと外へ連れてって」と言ったのね。それは至極当然のことなんだけど、その時の表情が酷薄って感じだった。件のコピーライターさんも、こころ許せるひととの長い対談の時に、えっと思うほど辛らつな言葉を使う時があるのね。

それもまた、むべなるかなって感じなんだけど、それって、ふっと、クリオネのお食事って思うのね。天使みたいな可愛い生き物がぐりんと向けて獰猛な感じになるのね。だれだって、プラスマイナス、いろんな面をもってるんだけど、その落差が大きいと、ある種のショックをうけるのね

☆竹田さんが描いた掛け軸の中に、木米さんがお茶を飲んでるのがあって、この木米さんのほっこりした表情がすっごくいいの!しあわせな顔。お茶ってたのしむもんだな

☆昨日、ガラスの向こう側の茶道具たちは素晴らしかった。見続けるうちに、白洲正子さんの言葉が思い浮かんだ。「(博物館や美術館)のなかに日本のやきものを置いても、ガラス越しに見るだけでは半分の値打もない」。これらの名だたる名品が暮らしで使われなくなってどれくらいの時間がたったのだろう

☆正子さんの言葉をひろってみると…「手に持った時の重さとか、柔らかさとか、唇に当てた時の感触とか…もろもろの肉体的・生理的な条件がからむので、眼で見ただけでは全体の美しさはつかめない。徳利は酒を入れて注いてみないと使い心地がわからないし、盃に至ってはもっと微妙になる」…とある

☆もひとつ「高いものだからといってお蔵にしまっておいたのでは、陶器は生殺しの目にあっているも同然である」…。すっごくたくさんのものに出会って、そのよしあしを自分の目で見極めて、値段や評判に関係なく、気に入ったものをくらしのなかに活かして使う、そんな正子さんの姿勢、あっぱれな丸腰!


☆昨日JR山手線が人身事故で止まり、京浜東北線が各駅停車になった。有楽町下車だから、乗り換えがなくなった、と思ったりした。人身事故という言葉がだんだん日常的になってきてて、それに反応する時間がだんだん短くなって、すぐに振替の交通機関を考えてしまう。ひとの生き死になのにね。こわいね

☆『わくわくして作ると、商品化されても“わくわく”なんです。「こんなのできるの? あ、できた!」「これが好き~!」ってことが、やっぱり商品の喜びにもつながるよねぇ』。これは祖父江さんのお言葉。うんうん、なるほど。文袋もわくわくして作ろうっと

☆友人に「わたし、コンプレックスがないの」というひとがいる。ほんまかいな!と驚く。劣等感と訳せば、劣っている感じとなるわけで、それがないってすごいな。「だって、他人と比較してもしょうがないじゃない」と言葉は続く。むろん自分は自分だけど・・・。


☆完璧な人間なんかいないし、すべてに恵まれているひともいない。てことは、足りないこと、劣っているところがだれにでもあるってことで、それは他のことに長けているからといってなくなるもんでもない。自分の足りないところを自覚することって大事なことでもあると思う。


☆コンプレックスがある、と認めることが負けになるって思ってるんだとしたら、それって逆に意識しているものがでかいような気もする。いじけてしまってはいかんのだと自分に言い聞かせ、なんとか踏ん張ってるって姿勢がすき。


☆今日は朗読の日。芥川の『羅生門』。語句につっかえて読みづらし。出てくるニキビ面の下人って、今で言うと、リストラされたホームレスなのね。で、置かれた状況で、正義感ってのが振り子みたいに揺れるのね。あ、アキバ、とか思う。平安時代の閉そく感って今に通じてるもんがあるみたい。


☆綿っていうのは平安時代にはなかったのね。布団なんかなかったらしい。輸入したのが室町の頃で自前で作り始めたのが江戸なんだって。だから下人が来てた着物ってのはごわごわした麻とか植物の繊維を織ったものだったそうな。ものがたりの細部に迫る知識があるとないとでは味わいがかわるもんですな

☆歌舞伎座、今日でおしまい。この十数年、パックツアーとか、温泉巡りとかが苦手な自分が、あの空間で時空を超えた濃密な旅をたのしませてもらいました。そこから世界をひろげてもらったのでした。ありがとうでした

☆いやあ、ゲンイチロウさんのメイキング、すげえな。なるほど、こんなこともできるんやね。構えを解いてから構えてみる、みたいな感じ。ツイッターを始めた意味みたいなもんがあったようなきがようやくしたりして。


☆源一郎さんの小説についての文章を読んでると、もののあはれ、って言葉が思いの中に浮かんできた。 小説は「死ぬべく運命づけられた、孤独な、「個」の側に、無言で、けれども断固として立つのです」とのお言葉。 なるほどなあとうなづくばかり

☆米軍基地、こっちに来ないで、あっちへ行って!というひとは、沖縄ならあってもいいって思ってるのかしらね。では東京に作りましょうってことになったら、反対者の数はものすごいことになって、そうなると結局、多数決ってことになってしまうのかなあ。


☆4人の子供を育て上げ、孫がふたり、犬二匹と猫一匹と介護度5のお姑さんの世話をしている友人と、独身で彼氏と別れてひとり暮らしの親友。ひとつ違いくらいなんだけど、手の中にあるもの、責任、人生の実力とかたくましさもずいぶんちがう。人生の紆余曲折が人を育てるのだなあと改めて思う。


☆日々の暮らしの中で巻き起こる、大変な事件、嫌なこと、面倒なことの後始末から逃げ回ったり、人任せにしていると、人生の実力がつかないんだ。誰かのせいにしないで真正面でがっぷり四つに組んで、勝ったり負けたりしてきたひとの懐の深さってこころの陣地を広げていくような気がする。


☆長く生きてれば、そんなこともあるわよ。そんな台詞の向こう側にはたくさんの苦難がある。たくさんの苦難を味わってこなかった人間はわずかな苦痛に大騒ぎする。人生の後半戦はそんな実力差を見せつけられるし、自分自身が情けなくなったりもする。積み上げてきたようにしか生きられんということだ。


☆とまあ、哲学する主婦は思ったりするわけで、そんな深遠なことを思いつつ家族の茶碗やパンツをあらったりするんですな。それが暮らしですから。



☆で、仕入れしたのは、西陣のリサイクルショップで古布の端切れ、綿大島とか愉快な柄の銘仙とか。それと永楽屋の手拭い。思うに京都の手拭いは少し恥ずかしい。江戸の粋な手拭いと比べると、観光客を意識しすぎているというのか、こういうのが京都だとおもってるでしょ、あなたたち、みたいな感じ。


☆ 懐石とかでもしばしばそう思うんだけど、京風神話みたいなものが世の中にはびこってるみたいな気がする。・・・舞子さんが付いていればいいってもんじゃないし、ちりめんの着物柄だったらなにしてもいいってもんでもないと思うんだけどな。


☆白洲正子自伝を読み中。読んでると、今の日本人が失くしてしまったのは美意識なんじゃないかなって思えてくる。あらゆるおこないを美しいか否かっていう物差しではかってみたら、残念ながら世界は恥ずかしいことで満ちているような気がしてならんです

☆「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読了。クールな適材適所。イノベーションのあたりから拍車がかかっていく感じで、なかなかに感動的。経営でも野球でも、ひとをひとをおもんばかることって大事なんだな

☆海老さま見てて思ったんだけど、魅せる技術ってのがあるのね。「粋」の幅ってのはホントに狭いもので、着物の裾の開き方ひとつで天と地くらい変わってくるんだな。色遣いはなおさらだなあ。息づかいのように自然に見せて、ほんとはすっごく綿密に計算されてるんだな。カッコいいよねえ、助六。ため息

☆あんたはあんたでええねんで。そのままでええねんで。おもたすぎるにもつはおろしたらええねん。いきていくのがいちばん。夢や希望がひとをおしつぶすこともあるねんで。あんたはあんたがいちばんらくになる姿勢でいたらええねん。ひとそれぞれ、ふかく息をできるばしょがあるはずやねん。またあおね。


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