562921 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

文の文

文の文

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Profile

sarisari2060

sarisari2060

2005.04.17
XML
カテゴリ:エッセイ
テレビから樹木樹林さんの声が聞こえた。NHKである。画面には忌野清志郎さんが映っていた。

向かっているのはアメリカ・カリフォルニア州東部のホワイトマウンテン。そこに4000年を生きた怪樹があるのだという。

4000年!とは気が遠くなる。歴史のはるかかなただ。樹木はそんなに長く生きられるものなのかしら。

やがて画面に白っぽい山が現れ、そこに緑が点在している。

その樹はブリッスルコーンパインという。松の木の一種だ。

異形という言葉が浮かぶ。

「高地の強風の吹き荒れ、紫外線、極寒、乾燥とおよそ生物に適していない土地で土壌も岩石質の斜面土壌と戦いながら、自然と適合しながら生存してきた」と説明がある。

一本の木全体が生きているのではない。9割は死んでいるのだ。残り1割を生かすために9割が死んでいるのだ。生育に必要なものが十分でないから、自らそういう選択をしている。それが生存の秘訣だ。

4000年を生きて、樹の9割が死んでいるのに、残り1割の部分はなおも松ぼっくりをつけている。なおも未来を見据えている。

過酷な環境ゆえにゆっくりゆっくり成長する。だからこそ長く生きられた。ねじれよじれもがき続ける異形となって生きてきた。

その年輪が地球の履歴書になる。今この地球に生きてる誰も知らない世界でこの樹は呼吸してきたのだ。

2本の樹が向かい合って立っていた。どちらも難解な現代アートのオブジェのようである。片方はもはや死んでいて、もう一方にはわずかに緑の葉がついて生きているのがわかる。

生と死がそんなふうに向かい合っていた。

清志郎さんはこれは風神と雷神みたいだといった。その直感に共感する。どこか神々しいのだ。人間がひれ伏してしまいそうな力がそこにある。

その山のてっぺん近くに生える若いブリッスルコーンパインをみて、清志郎さんはその過酷な4000年に思いを馳せていた。なんと長くたいへんな一生だろう。

今地球にいるだれも見届けることはできないけれど、「がんばれ!」と言いたくなってしまう。

人間なんかよりもっとたくましくしたたかな生き物なのかもしれないけれど、その気の遠くなるような時間はわたしの想像力を超える。

生きるということの凄みがここにもある。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.04.18 05:07:02
コメント(2) | コメントを書く


Freepage List

とつおいつ とつとつと 3



天秤


補 (1)


補 (2)


補 (3)


わたし 1


わたし 2


わたし 3


わたし 4


不幸


枝折り戸


今晩のおかず


誤解の海を静かに渡る


工事中


工事中


四勝三敗


工事中


愛でる


ピンクのゼラニュウム


MRIの日


焼きなす


裕子ねえさん


カルメ焼き


チラシ配りの日々・1





終う(しまう)


夏服の行方


カラスなぜ鳴くの?


家路


リボン


ばさまといっしょ1~6


ゆうすけ


ゆうすけ・2


東京めぐり


築地ばなし


谷中ばなし


品川


三鷹へ


目黒


茗荷谷


自由が丘


田園調布


柴又


竹橋


上野


参照


門前仲町


銀座


等々力渓谷


戸越銀座


木挽町


旧古河庭園


日本橋


御殿山


本郷


汐留


八重洲


本駒込~根津へ


水道橋


浅草


上野


向島


六本木


荒川遊園地


表参道


佃島


世田谷


飯田橋


「つれづれ」のことなど


bun’s anthology


歌舞伎なひとびと


そんな日々           


セイちゃんの背中


 更年期日記


会いにいくよ


南の島へ行ってきたよ


 「我が道を行く」


有楽町で逢いました・2003-1


2・古井由吉さん


3・高橋源一郎さん


4・佐藤忠男さん


5・久世光彦さん


6・逢坂 剛さん


7・半藤一利さん


8・今橋映子さん


9・島田雅彦さん


10・長部日出男さん


11・ねじめ正一さん


12・伊集院静さん


13・浅田次郎さん


14・堀江敏幸さん


15・藤田宣永さん


16・藤原伊織さん


17・川本三郎さん


18(最終回)・荒川洋治さん


家庭の幸福


文の文・家族篇


文袋 展示室


武田百合子考


アートあれこれ1 


アートあれこれ2


うちんちの本棚


コミック本棚


お言葉


言葉


抜書きコピペ


抜書きコピペ・2


コピペ


キルト部屋


再録 キルトばなし


つくるということ。


東京ドームで山ほどのキルトを見た。


文袋の行き先1


文袋の行き先2


文袋 在庫


迷子の道しるべ


迷子の道しるべ1


迷子の道しるべ2


迷子の道しるべ3


迷子の道しるべ4


迷子の道しるべ5


迷子の道しるべ6


迷子の道しるべ7


迷子の道しるべ8


迷子の道しるべ9


迷子の道しるべ10


迷子の道しるべ11


迷子の道しるべ・12


迷子の道しるべ・13


迷子の道しるべ・14


迷子の道しるべ・15


迷子の道しるべ・16


迷子の道しるべ・17


迷子の道しるべ・18


迷子の道しるべ・19


迷子の道しるべ・20


迷子の道しるべ・21


迷子の道しるべ・22


迷子の道しるべ・23


迷子の道しるべ・24


迷子の道しるべ・25


迷子の道しるべ・26


迷子の道しるべ・27


迷子の道しるべ・28


迷子の道しるべ・28


迷子の道しるべ・29


迷子の道しるべ・30


迷子の道しるべ・31


迷子のみちしるべ・32


迷子の道しるべ・33


迷子のみちしるべ・34


迷子のみちしるべ35


迷子の道しるべ36


工事中



**


*** 


****


*****


******


*******


********


めもめも


工事中


小説日記


小説日記2


小説日記3


おーい日記(抄)


2004年7月のこと


2004年8月9月10月のこと


2004年11月12月2005年3月4月5月のこと


2005年6~9月のこと


2005年10月~2006年1月


社交的つながり・文の文1


社交的つながり・文の文2


社交的つながり・文の文3


社交的つながり・文の文4


社交的つながり・文の文5


社交的つながり・文の文6


社交的つながり・文の文7


社交的つながり・文の文8


社交的つながり・文の文9


社交的つながり・文の文10


社交的つながり・文の文11


12


13


迷子の画像


映画とか。


作家が語る街と本屋さんの愉しみ


工事中


food's photo


工事中mk


鎌倉


見上げてごらん・1


torii


箱集め


・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・



見上げてごらん・2


工事中


ふぉと せれくしょん1


ふぉと せれくしょん2


ふぉと せれくしょん3


ふぉと せれくしょん4


ふぉとせれくしょん5


文袋屋 お品


食べ物シリーズ


待合室


参照


5月17日のこと


/


文袋屋かく呟けり ~思案~


文袋屋かく呟けり ~スケッチ~


fefe


文袋屋かく呟けり ~思案2~


文袋屋かく呟けり ~お言葉~


サクちゃんとその仲間たち―2005―


桜2006年―特別なひとと見るさくら


さくら2006年―そこにあるさくら


工事中


☆納得上戸・合言葉はなるほど!☆


チラシ配りの記憶≪家々≫


素材をお借りしました。


有楽町であいました・2004


川本三郎さん


重松清


花村萬月


有楽町で会いました・2005


川本三郎さん


島田雅彦さん


藤田宣永さん


藤井淑偵(ひでただ)


重松清


津村節子


三田誠広


北村薫


荒川洋治


馬場あき子


玄侑宗久


高橋源一郎


山本一力


井上ひさし


瀬戸内寂聴


あのひとは今・・・


今週の一枚


ライブ文


ライブ文2



© Rakuten Group, Inc.
X