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テーマ:仕事しごとシゴト(23716)
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病院によって様々な霊安室。
うちの病院の場合は職員通路の途中にその部屋への入り口がある。 亡くなったばかりの患者さんが帰られた後だとか 解剖中の患者さんがその部屋の中にいるときは線香の香りが通路まで漂っている。 この線香の香りはなかなかにクセモノで、うちの病棟は霊安室の真上にあるため、階段を上ってその香りが病棟の廊下に蔓延するのである。 『今日は誰か亡くなったんだねぇ』なんて患者さんに声を掛けられると ちょっと答えにくいものがある。 その霊安室の中は一般の人はあまり入ったことはないだろう。 ご家族が亡くなられて霊安室に安置された経験がある場合は別だが…。 うちの病院の霊安室は、遺体解剖室の一角にある。 入り口から遺体解剖室までの間の扉は4個。 1番目は最初の鉄扉。 ここを過ぎるだけで解剖をせずに帰られる患者さんは外に出られる。 外はスロープになった駐車場があり、ここにお迎えのクルマを停めていただく。 2番目の扉の中は死後処置をする部屋。 ここには副室があり、棺とエンゼルセット(以前も書いた死後処置セット)が置かれている。 3番目の扉の中は医師や看護師が着替えるクローゼットがあり、そこには長靴・ビニールエプロン・マスク・手袋があり ここで衣装替えをして解剖に臨む。 4番目の部屋は遺体解剖室。 ステンレスの解剖台と頭部固定台と流し台があり、臓器を捨てるバケツがあったりする。 わたしたちが主に使用する部屋は2番扉までだが、遺体解剖の際は4番扉まで入ることになる。 まだ更に奥には解剖医だけが入る臓器研究室があるそうだが、わたしはいまだに入ったことはない。 そこにはホルマリンに保存された臓器が山ほどあり、解剖医はそこで所見を書くと聞いたが事実は不明。 線香の香りの部屋は1番目の扉を入った副室にある。 ここは家族待機室と言われ、すぐに帰れない理由のある遺体を安置するアイスボックスの中を覗けるようになっている。 アイスボックスに入れるのは外側からなので、足側と頭側を間違えると 待機室から覗き窓を見たときに足しか見えないという事態になるので要注意である。 以前は家族待機室を使う際には必ず線香を焚くという手はずだったが、 最近はいろんな宗教があるため、祭壇は家族の意向を聞いてから取り出すようにしている。 お茶の準備や片付け、空調の設定も看護師がするので 待機室使用時はかなり忙しい。 この4つの扉の鍵はそれぞれ異なる。 4番扉の鍵を持つのは解剖医のみだ。 だからこそ組織室(ホルマリンの部屋)にはなにがあるのか見てみたい衝動にかられる。 霊安室3番扉までの鍵は各病棟にあるのだが、意外に小さいためポケットに入れたまま忘れてしまうときがあり、仕事を終えて自宅に帰ってからそれに気づいたときにはかなり凹む。 他の病棟に借りればすむことだけれど モノがモノだけにあまり持っていたくはない。 この鍵をうっかり持っていった看護師は次のステルベン(患者が亡くなること)にあたるというジンクスがあり、できれば避けたいものである。 『霊安室』 あまり行きたくない場所だが、うちの病棟はかなり使用頻度が高い。準備、片付けの早さもピカイチである。 まぁ、こんなことは自慢にもならないが、覚えておいても損はないものだ。 ただ、全てを終えて患者さんのお見送りをするときの痛い気持ちには慣れてはならないんだろう。 PS//こんなこと書く作者のバカな看護師の顔、フリーページにUPしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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