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 みみん@ Re:抗がん剤で癌になる方法(10/27) 癌って、抗がん剤以外でもなれるんですか…
May 9, 2006
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カテゴリ:カテゴリ未分類
以前、同じ『命をかける』ということという題名で日記を書いた。
詳細はそれを読んでいただきたい。

これはその後の経過報告きらきら

気にしてくれている方もいらっしゃることだし、わたしも書かなきゃ雫と思ってた。


4月11日。彼の骨髄移植が無事終わった。旗
とりあえず骨髄液注入時の副作用はなく、本人も意外にケロッとしていたものだった。

骨髄移植をするにあたって それ以前にかなりキツイ抗がん剤を使用するのだが、
まずここで骨髄を空っぽにした患者は薬の副作用と闘わなければならない。
激しい下痢と嘔吐、ヘタをしたら腎不全になって命を落とすこともある。

彼が超えなければならない第一関門は トイレから立ち上がるヒマもない下痢と嘔吐の嵐だった。
夜も眠れないほどの症状が続き、うたた寝をしようものならうっかり失禁してしまうのだ。
それが数日あったあとは 口の中半分を覆い尽くすような口内炎ができ、それが潰瘍化した。
唇は腫れ、湧き出てくる唾液を飲み込むことも出来ず膿盆にダラダラと流すしかなかった。
この痛みは尋常ではないことはお分かりだろう。
わたしたちは小さな口内炎が出来ただけで『食べ物がしみる』だの『しゃべりにくい』だのとブツブツ言うが彼のはそんなものじゃない。

これは移植したからではなく、全て骨髄生着以前の抗がん剤の副作用に過ぎない。

幸い、この『痛み』に対しては対処できるすべはある。
『モルヒネ』である。
こいつを持続的に投与することで痛みはほぼコントロールできる。
もう一つのモルヒネの利点は腸蠕動の抑制だ。
モルヒネの投与によって あれほど激しかった下痢はピタッと治まった。

しかし、口内炎は治ったわけではない。
刺激をしない間の痛みは抑えられるが、必要な薬を飲んだりするときの痛みはなかなかコントロールできないものだ。
この痛みを抑えるために使うモルヒネを増量すると吐き気が強くなる。
どうしようもないイタチゴッコが続いた。

そうして14日間が過ぎた頃、ようやく空っぽにした白血球が増え始めた。

生着である。きらきら

正直、わたしたちスタッフも主治医もここまで持ちこたえるとは思わなかった。
わが病院での2座不一致移植の成功を収めたのだ。
NIMA-BMTという移植の成功率は以前の日記にも書いたように非常に成功率が低い。
研究段階である危険な移植ではあったが これを知った上で移植に踏み切った彼の勇気が
成功を導いたとしか思えない。

ところで、移植の『成功』とはどういうものかご存知だろうか。

成功とは 全く元通り元気になることではない。
『生着』した時点で『成功』なのだ。
たとえこの後、GVHDという移植の副作用のようなもので皮膚がただれて原子爆弾を浴びたようになっても、肝不全で命を落としても、免疫抑制剤の副作用で頭がおかしくなっても
『成功』ということになる。

彼の移植の目的は社会復帰である。
そうするためにはもちろん生きていなければならないし、
今までどおりの生活ができて、仕事もできなければならない。

今の段階で 彼はまだ点滴につながれ、出血性膀胱炎を起こし一日に数十回のドロドロの血尿を出し、まともに歩くほどの体力もない。
水と薬以外のものを口にすることもできないのだ。

移植してほぼ1ヶ月。

頻回の血尿のせいでほとんど眠れず、ただベッドの上に座っているだけの毎日である。

『家に帰りたい』

弱音を吐かない彼が数日前 ポツリと言った。

シャンデリアのように幾重にも吊るされた点滴を見ながら『こいつを外してくれ』と言う。

『頑張ろうね』という言葉をわたしたちは彼に言わないようにしている。
彼は充分がんばっているからだ。
これ以上の努力を彼に課すのは酷だ。
あとはわたしたちが彼に襲い掛かる予測できない様々な苦痛を出来る限りとりのぞく努力をするしかない。

これから先には移植後の副作用が待っている。
彼の闘いはまだまだ先が長い。

7月、わたしはしばらく病院を離れ指導者研修に入る。

彼の退院の目途がつくのが先か、わたしがここを離れるのが先か。
『命をかけた闘い』の結末を見届けなければ
この病院を離れられそうもない。涙ぽろり










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最終更新日  May 9, 2006 03:47:24 PM
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