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2012.09.20
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カテゴリ:ACミラン
サン・シーロでの試合のキックオフ前には、ミランが過去の欧州の舞台で経験してきたいくつかの素晴らしい夜の映像が巨大スクリーンに映し出された。アーセナルを4-0で粉砕した昨シーズンの試合や、ユヴェントスを下して栄冠を手にした2003年のオールド・トラフォードでの決勝などの場面だ。これから行われるチャンピオンズリーグ(CL)の試合に向けて、選手とファンを勇気付けることが期待されていたようだ。だが、火曜日の夜にこのイタリアのビッグクラブが見せた90分間の戦いは、新たな名場面としてハイライトに加えるには程遠いものだった。

アンデルレヒトを迎えてのスコアレスドローは、ミランの危機をさらに深めるものでしかなかった。特に前半の45分間に対しては、ホームのサポーターは心からの落胆を味わったに違いない。60分にステファン・エル・シャーラウィが投入されるまでは、ミランの選手たちはそれなりの動きからそれなりのチャンスを作ることすら一度としてできていなかった。アウェーサポーターが多言語で何曲かの応援歌を歌う一方で、南側ゴール裏の観客はほとんど声を上げようとさえしなかった。だからといって、彼らを責めることができるはずもない。

彼らの英雄たちは、もはや英雄でも何でもなかった。夏の大量放出でファンの心が離れてしまったこともあるが、それだけではない。ミランは今のイタリアで最も生気の感じられないチームでもある。マッシミリアーノ・アッレグリは戦術能力の乏しさを露呈しつつあるし、大売出しを終えてチームに残った選手たちは、フィールド上で物事が順調に運ばない時にもその流れを大きく変えるような力を発揮することができない。力不足な上に元気もなく、チームを今の状況から引きずり出すのに必要な推進力のかけらも感じさせてくれはしない。現体制下でミランがこれほどまで悪い状態に陥ったことはかつてなかった。


もちろん、1986年にシルヴィオ・ベルルスコーニが会長となってからこれまでに、ミランが調子を落としたことはあった。5年間で4度のリーグタイトルを獲得したファビオ・カペッロがレアル・マドリーへと去った後、ミランは翌シーズンを11位で終え、その翌年にドン・ファビオが戻ってきても10位止まりだった。アルベルト・ザッケローニ、ファティ・テリム、カルロ・アンチェロッティがチームを率いて4年連続で3位以下ということもあった。ただし、その4年目の2003年には欧州タイトルを獲得してはいるが。

今回はまったく別の話だ。現在のミランは、2009-10シーズンのレオナルドが率いたチームを思い出させる部分がある。戦術面での規律の欠如と、ボールテクニックの誤った使い方を批判され続けたチームだった。だがインテルに0-4で敗れ、マンチェスター・ユナイテッドに0-4で敗れ、それ以外にも大敗を喫したとしても、このシーズンのチームのスタイルにはどこか楽しげなところがあった。ブラジル人監督は自分がベンチで何をやっているのか見当がついていなかったかもしれないが、少なくとも観客を楽しませる意図を持ってロナウジーニョやアンドレア・ピルロ、クラレンス・セードルフ、デイビッド・ベッカム、アレシャンドレ・パトをピッチに送り出していた。4-2-1-3ならぬ「4-2-クレイジー」と彼自身が呼んだ理想形は成功を生みはしなかったが、それでも強気な姿勢の感じられるチームではあった。

アッレグリのチームは楽しいどころではない。勝てもしないし、楽しませることもできない。何も良いところがないだけだ。スターティングイレブンの中ではケヴィン=プリンス・ボアテングが閃きをもたらす選手だと見なされているが、2010年にジェノアからやってきた彼がサプライズを起こしたのは、気取ったプレーよりもむしろその力強さによるものだった。最近の彼はコンディションもアイディアも不足してしまっているようだ。もちろん不調なのは彼一人ではないが、彼のプレーへの姿勢やその出来が昨年と比べて変わってしまったことは、特に強く感じられると言っていいだろう。

そして何よりも深刻なのは、90年代末や2000年代初頭とは異なり、今回は問題の出口が見えてこないことだ。どうしても現金が必要だったミラン首脳陣は、チアゴ・シウバとズラタン・イブラヒモビッチに移籍を強いることになった。1月に大盤振る舞いをして、問題点をすぐに埋められるような補強をするのは単純に不可能だろう。今後数週間で事態が好転しなければ、彼らはアッレグリに別れを告げるかもしれないし、そうするべきかもしれない。だが現実問題として、誰が今のミランをトップクラスのチームに見せることができるだろうか。

ひとつだけ確かなことがある。チームが悲惨な状態へ陥っていくのを、ファンがただおとなしく見守っていくことはないだろう。選手たちがどうであれ、サポーターには誇りがある。アンデルレヒトとの試合をドローで終えたあと、アッレグリはミランが正しい方向へ少しずつ前進しつつあると主張し、選手たちも声を揃えてそれに同調した。だがそんな主張は、今シーズンここまで我慢を強いられてきたサポーターに対する侮辱でしかない。今のミランは中立な目で見ればCLのグループ内の3番手であり、セリエAでは楽な対戦カードにもかかわらずここまで勝ち点3しか獲得できていない。サン・シーロで最後にゴールを決めたミランの選手は、下部組織の監督を務めるピッポ・インザーギである。

夜明け前が一番暗い、という古い言葉には非常に重みがある。だがここで問題となるのは、ミランの状態が底を突いて再浮上を始める前に、どこまで暗くなるのだろうか、というところだ。今のミランはすでに、ベルルスコーニが会長となって以来最悪の状態にある。そして、まだここが底だとも限らない。




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最終更新日  2012.09.21 01:22:08
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