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カテゴリ:文芸
やはり赤子にはコンテンポラリー・アートが一番わかりやすいのだろう。
パリ市内の美術館の中では狸さん(うちの赤子11ヶ月)はポンピドゥーセンターが一番好きなようである。 ということで、気温が緩んできた今日はポンピドゥーセンターへ。 本日の目的はポール・コックス展。 展示スペース一面に積み木。もちろん遊んでいいのである。 テーブルの上に累々と積み木の山。あちらこちらに、回路のように積み上げられたり、半分崩れたり、場所が狭かったり、積み木だけでなく他の玩具が一緒においてあれば、「ただの子供部屋じゃん?保育園じゃん?」となるが、まあまあ広いスペースで積み木ばかり、というのは、なかなか圧巻。 このスペースは普段から子供用アートスペースなこともあって 来ていたのは、赤ん坊や小さい子を連れた親が数組。 みんな、はしゃいで走り回る子を「静かにしなさい!その棒はあなたには長すぎるから離すのよ」なんて怒ったりして、なんだか母親らしい。 私も、母親チックなことがしてみたくなり、 一応安定度をチェックしてからテーブルのうえに狸さんを置いて 「ほら、こうやってごらん」 と、積み木を積み上げてみせた。 と、狸さん、私が積み上げる端から、積み木をワッシと掴んではぶん投げ、ぶん投げては掴みして、ケラケラと高笑いしながら崩しにかかる。まるで賽の河原の鬼だ。ムキになって私が積み上げる勢いを増すと、狸さんはそのスピードにあわせ益々興奮して積み木を崩す。 そんなことをしているうちに、いつのまにか、一人で入ってきて、あたりを綽然とねめ回すおじさんがいた。 親子連ればかりの中、非常に浮いている。 そのおじさんが、私と狸さんに「どーですか?」と声をかけてきた。 つい警戒した私は「大変結構でございます、どーも。」と、「これ以上話しかけないでくださいネ」というオーラ全開で、木で鼻をくくるように冷たく答えた。(←このへん私も悪い意味でパリ化) しかしそれと同時に、おじさんの胸に「Centre Pompidou(ポンピドゥーセンター)」と書いたバッヂがついてるのに気がついた。 もしかして…。 おじさんが去った後、展示スペースの入り口で番をやってるおばさんに「今のはもしかしてポール・コックス本人だったんですか?」ときいた。 そしたらやっぱりご本人でした(汗)。 ポール・コックスさん、怪しいおじさん扱いしてごめんなさい。 家に帰って、ポンピドゥーセンターのサイトを見たら、ポール・コックスのブログへのリンクを発見。ブログを読むと、どうやらコックスは、「今日の建築物」(展示を見に来た人たちが積み木を使って作ったカタチ)の写真を撮るために毎日展示スペースに来ているらしい。私が見た時も、そのために来ていたのだろう。積み上げられた形から、厳島神社の鳥居や金閣寺みたいなものを連想してるのが、ちょっと笑える(ちなみにこの人、ブログ見ただけでもわかるけど日本とは関わり深いらしい)。 ポール・コックス、絵や絵本はどちらかというと余り趣味でない…というか好きも嫌いもないフーンという感じだが、今回の参加型インスタレーションは悪くはなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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