なまず的日常見聞録

2023/10/15(日)00:52

オオカミなんか、怖い・・・

アニメ(103)

結構、評判になっているアニメーション「オオカミの家」、桜坂劇場で公開。これは観ねばと劇場へ。評判の程はわかる作品ではあるが・・・ まずは、同じクリストバル・レオンとホアキン・コシーニャの監督による2021年制作の14分の短編「骨」から上映。1901年に制作された世界初のストップモーションアニメが発見されて、レオン&コシーニャが、それを修復した、なんて話を間に受けてしまったけど、これは、勿論、オリジナルなのだった。 少女なのかおばさんなのかわからないヒロイン、骨を肉付けしていって人造人間みたいな二人を作り上げる。若い?男の方と結婚式を挙げ、もう一人は神父の役を務めることに。モノクロ映像で、不気味ながらも愛らしさもなくもない。この監督コンビの悪趣味好きは、よくわかる内容だ。で、本番と言える・・・ 「オオカミの家」、一応、モチーフは赤ずきんのようだ。チリの作品だから言語はスペイン語なわけだけど、なぜか、ドイツ語も度々聞かれる。これも何やら地域のプロモーション映像をレオンとコシーニャが修復した、みたいな嘘の設定が語られる。その冒頭のモノクロ映像からして怪しい。 で、狼を逃れて小屋に迷い込んだマリアは、そこにいた2匹の豚の世話をするが、豚たちは姿を変えて子供になっていく。仲良く?暮らし始める3人だが、話はまああって無いような。とにかく、目が離せないのは、その映像と動きだ。 ストップモーションのアニメは絶えず動き続ける。壁に描かれた絵が絵の具が流れるように壁づたいに移動し、紙テープのようなものが重なって人間らしき個体が出来上がっていく。かと思えば、それが崩壊していったり。その間、バックにはカサカサとかギーギーとかいう音が鳴り、音楽も流れ続ける。ヤン・シュバイクマイエルやブラザーズ・クエイを思わせる作風だが、その見せ方は彼らとも異なる、独特過ぎるものだ。 悪趣味ながらも、観続けざるを得ない異形の映像、そして、音。メタモルフォーセスのように変化し続けるキャラクターや背景が、様々な手法を駆使されて絶え間なく展開される。圧巻の映像、独自の世界観だけども、これ、好きかどうかと言われると・・・ すごいっちゃすごいけれど、うーん、アニメーションを見るカタルシスがあるかと言うと・・・情報量が多過ぎるから何度か観た方がいい映像かも知れないけど、何度も観る気にはならんかな。これ、どうやら実在した処刑場のようなドイツ集落にインスパイアされたという。直接的には描いていないけれど、死と悪夢の世界を表現したということだろうか。でも、「骨」同様の、ある種の愛らしさを感じさせる部分もなくはない。まあ、鑑賞後は悪い夢でも見そうだけど・・・観るのは1回だけにしておいた方が無難かも。

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