チャンプラリズムで舞う
昨年まではキジムナーフェスタの名称で、沖縄市を中心に催されていた「国際児童・青少年演劇フェスティバル(おきなわ)」。世界各国の演劇が一堂に会し、何気に沖縄の色々ある企画の中でも注文という話だったお祭り。今年は沖縄市が手を引いて、那覇(と東京)中心に行われることになった。りっかりっかフェスタという名称からして、りっかりっか湯がスポンサーになったのかと思いきや、そういうことではなかった。このフェスのチケ、沖縄の物価水準では些か高額で、見たいけど見られないでいた。僕は、演目の中で「ラーマーヤナ」だけ見てみたかったのだけど、いかんせん2,500円では辛いなあと。勿論、その価値はあるのかも知れないけど、沖縄基準だとね。5回券なら5,000円なのだけど、それだけ見られる暇はなさそうだし。ところが先々週、芸大のガムラン公演を観に行った際、伴奏を担当するマタハリ・トゥルビットなる団体に申しこめば、チケが1,500円で買えることを知った。早速メールして数日後、購入可のお返事。では、ありがたく拝見させていただくとする。新都心のDFSショップ側に設けられた特設テント。昨年は、別のテントでヴェトナムの水上人形劇が公演されていたっけ。「ラーマーヤナ」といえば、「マハーバーラタ」と並ぶ、インド古典物語。アジアに関心があるものなら必須の物語。そういう自分、本で持ってるけど途中までは読んだかな。ちゃんと読まないとと思いつつ・・・公演は盛況で行列が。チケットを受け取ってテントに入場するが、この時期は暑いね。2年前の”キジムナーフェスタ”の団扇が配られ(笑)扇ぎながら開演を待つ。5〜60人の席は、ほぼ満席(撮影禁止)。まずはマタハリ・トゥルビットの14人が登場して演奏が始まる。先々週の芸大公演とは違う、バリのガムラン。ある種派手というか、賑やかな演奏だ。一番手前の方が、楽器なしでマイクを握り、語り部兼ナレーターらしい。踊り手はバリのダンサーたち。芸大公演のダンサーたちでは望めなかった、あの指の反り、目のクリクリ、腰のくねりが見られる。ラーヴァナら以外は女性演舞者らしい。これは芸能山城組や、インドネシア現地でも見たお馴染みの演目だ。ラーマ、シータ、ラクシュマナに加え、敵役のラーヴァナに、援軍のジャターユ、ハヌマンらが登場する。踊り手は計7名。そして、マタハリ・トゥルビットが劇伴の如くガムラン演奏をつける。語り手兼歌い手の方が、もう大熱演。ハヌマンの鳴き声まで担当して、全編喋りっ放し、テンション上がりっ放し。ガムラン演奏の方も終始、かなりハイテンションな演奏だ。先日のクールなジャワ・ガムランとは大違いの派手さ。とりわけ場をさらったのはハヌマン。客席の子供たちに茶々を入れ、抱き上げたりハイタッチしたり。キャラクター通りの茶目っ気を発揮する。まあ、ここはいい息抜きどころだけど、長大な「ラーマーヤナ」のダイジェスト版だから、終始アゲアゲで些かメリハリがない感じもなくはない。まあ、ここは一番盛り上がるところだし、戦闘を表現するのに、演奏とテンションの高さで凌ぐしかないからね。これを見たくなったのは、ナイチでは毎夏見ていた芸能山城組の演舞がちと懐かしく思えたから。新宿の高層ビル街の谷間で行われるガムランにケチャ。あれは今年もあるのかな(まさに来週だった)。今回のパフォーマンスは、あれを思い出させてもらった。バリ、インドネシアと沖縄のカルチャーは親和性もあるし共通項も見受けられる。沖縄で見るバリ舞踊、ガムラン演奏は、まさにチャンプラリズムという感じだ。新都心公園は夜に至っても、ミストシャワーが噴出し、イルミネーションまである。観劇を終えた子供たちが大喜びで、子供たちに混じって自分も冷を取った(笑)。テント内は暑かったんでね。