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2005/09/05
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カテゴリ:なんでもお試し
各党の政策/マニフェストを読んでみる企画、第6回は、政権交代を目指す野党第一党、民主党です。

 民主党のマニフェストについては、広告もばんばん打ってますし(映画の予告編前に2本連続で流れてた)、メディアでも取り上げられているので、ざっとした内容はご存じの方が多いでしょう。ので、内容そのものの紹介よりも、「立候補者の支持・反対の表明」になってしまわない範囲で突っ込みを多くしてみようかと。できるかなあ?

○年金制度
 民主党が今回の選挙で一番売りにしているのは、ご案内の通り年金制度です。大まかな枠組みとしては他党と同様、全額を税金でまかなう「最低保障年金(民主党案では月額7万円)」と、厚生年金や国民年金などを一元化し、掛け金に応じて支払われる「所得比例年金」の2階建てとなっています。最低保障年金の財源の一部として年金目的消費税の創設が提案されています。また、所得比例年金の料率は15%が上限とされています(現在は13.9%)。
 最低保障年金部分については、他党案と同様、将来的に確実な給付を保障している点は評価できます。ただ、想定される支給総額が明示されていないため、3%の年金目的消費税(4.7兆円程度)と2分の1の国庫負担(それ以外の税金)でいつまで賄えるかには疑問も残ります。月額5万円の共産党案(7.7兆円)を基に推計すると年間10.8兆円必要になりますが、年金目的消費税の税収はその半分に足りません。もちろん、最低保障年金は高所得者に給付しない方針であり、167万人(年金受給者の3%程度)を給付対象外にすれば当面はつじつまが合います。ただ、年金受給者は今後数十年にわたって増加するので、近い将来に何らかの対策は不可避になるのではないかと思われます。
 また、所得比例部分の給付水準が維持できるかどうかにも不安が残ります。民主党が2004年に国会に提出した「高齢期等において国民が安心して暮らすことのできる社会を実現するための公的年金制度の抜本的改革を推進する法律案」には、「所得等比例年金の支給は、当該年度に納付された保険料の総額で」という文言があるのですが、保険料を上げず、保険料の支払者が減少する一方で受給者が増えれば、普通に考えて支給額を下げざるを得ません。共産党案や社民党案では(適否はともかく)積み立ての取り崩しで給付水準を維持するという案がありましたが、民主党案にはそうした提案がないのが残念なところです。
 もちろんこれは、公約に示されているのがまだ未完成に見えるというだけであり、現行制度を当面維持しようという案に比べれば、大きな改善であることは間違いありません。ただ、年金なら、、、というキャッチフレーズはいまのところ、「民主党なら確実に年金改革に手をつけます」というメッセージだと理解しておくのが良いようです。
 
○雇用、労働
 雇用については、共産党や社民党と同様、正規職員と非正規職員(パート、派遣、請負等)の均等待遇を目指した「パート労働法の改正」が、実質的な筆頭課題となっています。また、職業能力開発としては、失業給付期間が終わっても就職できない人や、自営業を廃業した人などを対象に、月額10万円の手当を最大2年間支給して能力開発訓練を支援することや、結婚や出産を契機に離職した女性が再就職・起業するための教育訓練制度の創設が提案されています。
 一方で、雇用の拡大や創出については、目標としては示されていますが、具体的な方策は示されていないようです。まあ、他の分野で育成方針が示されている、特定非営利活動法人(NPO)や、生命科学、情報通信、ナノテク、環境エネルギーいった成長分野で新規雇用が生まれることを期待しているものと考えることもできます。

○地方分権
 地方分権に関する政策は、年金と並んで力が入っている領域の1つのようです。柱としては、現在地方に交付されている補助金20兆円のうち18兆円を、地方の裁量で利用できる財源として再配分することが提案されています。
 18兆円のうち5.5兆円は税源移譲(国税から地方税への切り替え)によるものですが、残りは新たに設ける「一括交付金」によるものです。一括交付金は「教育」「社会保障」「農業・環境」「地域経済」などの大くくりで交付するもので、具体的な使い道についてはそれぞれの地方が自由に考えることができます。補助金をつけてもらうために、有力政治家の力を借りたり、中央省庁に陳情したりすることも不要になります。誰とは申しませんが、「利益誘導が政治家の仕事だ」などと大見得を切っていらっしゃる方々には大打撃になろうか、と。その意味でも非常に良い提案です。
 ただ、一括交付金の算定方法について示されていないのは不満の残るところです。民主党は4年ほど前に、「公共事業一括交付金法案」を作成していたようですが、そこでは直近5年間の補助金総額から算定していました。もちろんそれはそれで1つの考え方なのですが、様々な理由でそれまでの補助金額が必ずしも適切でない場合もあるわけで、本当にそれで良いのかな、と思ってしまう部分もあるのは確かです。

○地域産業振興
 地域産業のうち農業については、他党とも類似した、農家への直接支払による所得保障制度が提案されています。財源も他党案と同様で、従来の補助金などの廃止です。その上で民主党案の特徴としては、米・麦・大豆・雑穀・菜種・飼料作物などの主要品目のみを対象としていることと、総額の半分(5,000億円)は地方が独自の基準で配分できるようにしたことを指摘できます。前者については、野菜やら畜産やらは入れなくて良いのかなあ、などと思ったりもしますが、後者については、棚田や有機農法など地域の事情に応じた支援を行える点で評価することができます。また、新規就農希望者に対する農地取得の下限面積条件の緩和も、担い手確保方策として評価できるかと思います。
 一方、中小企業の振興については、やや質量的に乏しい印象を受けます。メニューとしては、「中小企業向け助成と商店街活性化のための予算を倍増」「エンジェル税制の拡充で起業を促進」「金融マニュアルの買い手により貸し渋り・貸しはがし解消」といった基本的な項目は揃っているのですが、中小企業の競争力を高めていくための独自の、具体的な政策としては十分に語られていないように思えます。もっとも、地方自治体の財源・権限が強化されることで、より地域に即した効果的な方策が実行されることが期待されているのかも知れませんが。
 
○まとめ
 全体として、年金や地方への税源移譲といった、国の骨格にあたる政策だけではなく、「著作物の公正使用(フェアユース)の確立」「インターネット選挙運動の解禁」「成人年齢の18歳への引き下げ」といったような細々とした政策もあり、よく目配りがきいていると感じます。定量的な表現も多く、各政党の中ではかなり明瞭なメッセージを出している部類に入るかと思います。
 ただその一方で、重点政策の中でも、思いつきレベルとしかいえない政策が混在しているのも確かです。個人的には、「子ども家庭省」構想や「国際平和協力隊」構想あたりがその代表ではないかと思います。有事法制との関連がよく分からない「緊急事態基本法」、言葉だけが上滑りしている「介護保険のエイジフリー化」なんていう提案もそうかも知れません。
 このうち、「子ども家庭省」は、現在文科省、厚労省、法務省、警察庁などに分かれている子ども関連の施策を一つの省庁にまとめて縦割り行政をなくそう、というアイディアなのですが、一つの省庁にまとめても縦割りがなくならないのは、総務省(自治省+郵政省)や厚生労働省(厚生省+労働省)という実例がある通りです。また、子ども関連がまとまる一方で、例えば医療関連などは分断されてしまうわけで、結局は別の縦割りが生まれるだけとも言えます。所管省庁が多くにまたがることを大前提にして方向付けをし、メリハリをつけるのが政治の役割だと思うのですが、一つの省にまとめてしまおうというのはある意味「霞ヶ関丸投げ」の発想ではないかとも思ってしまいます。
 また、「国際平和協力隊」は、もともと小沢一郎氏のアイディアだったと記憶しています。ここ数年は民主党内でもろくな議論をされていないようで、サイト内で検索しても関連文書が見あたりませんが、小沢氏の案では、防衛庁のもとに、国連の指揮を受けて(武力行使を含む)PKFに参加するための常設組織を置くとされています。自衛隊との二重投資だとか隊員が集まるのかとかいう現実的な話はとりあえず置いておくとしても、国連の指揮に従って武力行使できる組織を作る、ということは、国民の統制がきかない「軍隊」を国内に作るということでもあり、非常に危険な面があります。在日米軍もそうだ、という意見もあるかも知れませんが、いずれにせよ、こういった微妙な部分がある案をろくな党内論議もせずに公約に載せてしまう脇の甘さはどんなものでしょう?
 さらに言えば、本来であれば党として立場を明確にすべき憲法や税制について、非常に曖昧な記述しかされていないのも、政権を目指す党としてはどんなものか、と思います。特に憲法については、「自らの『憲法提言』を国民に示すと同時に、その提言を基として、国民との対話を精力的に推し進めていきます」と書きつつ、どういった問題意識があるのかについては全く示していないという意味不明なものです。提言しなければいけない理由すら分かりません。護憲改憲どちらを打ち出すにせよ、マニフェストに掲げた改革を進める際に直面するであろう抵抗に比べれば、所詮党内なのですから、ずっと合意しやすい話だと思うんですけどね。





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Last updated  2005/09/06 02:17:21 AM
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