カテゴリ:仕事の話
阪神大震災、深江付近
「仕事の話(55)「レア・アースとの取り組み(55)」「平成7年阪神大震災(2)」 (つづき) 工場のタンクヤードから白煙が吹き上がっている。ここには塩酸、硝酸、硫酸、アンモニア水、過酸化水素水の500~3000リットルのタンクが設置されていた。その配管が根元から折れて、薬液がピットに流れ出て反応し、塩素ガス(毒ガス)臭が酷い。ようやく出勤してきた10名ほどとガスマスクを被って中和作業。製品、中間品の炭酸ランタンや炭酸希土をリフトで運んで投入中和。ピット側のコンクリート塀も倒れ、工場裏の家も全壊して道をふさいでいる。そうこうしている内にアンモニア臭もしてきた。サービスタンクの配管破損によるものらしいがどうしようもない。幸い北東の風なので民家の方には流れていかないだろう。放置するより仕方がない。アンモニアは軽いので、放散してくれるのを願う。 作業は若い者に任せて、工場内二次災害防止のために、ヘルメット、マスクで身を固めて検分にまわる。まず危険物の多い分析棟。建物の壁は落ちたがしっかり立っている。危険薬品が多いので、流れ出て発火の危険性がある。入り口を入ろうとしたが、薬品棚、資材ロッカー、実験台などが倒れたり、移動して床全体が埋め尽くされ、這い上がらないと入れない。1階、2階と見て回るが、重い分析装置が動いて通路を塞いでいる。薬品類は散乱しているが薬液がこぼれているものなど無く、まず大丈夫と見当を付けて次は発火石棟。発火石は冠水すると自然発火の恐れあり状況検分に行く。やはり通路が塞がりドアが開かない。棟の反対側からは何とか入れたが、部屋一面に製品の発火石が撒き散らばっている。幸いにも建物は大丈夫なので、冠水発火の恐れ無しと見届ける。平屋木造の事務所は30°ほど傾き、今にも倒れそう。内部を覗くと机がモザイク状に床一面を覆い、見通しがよい。変だなと思ったら机上のパソコンなどが全くない。床の上に転がっている。書庫が倒れ、書類が足の踏み場もなく散らばっている。明るいと思ったら天井が、破れ空が見えている。十数台のパソコン、ブラウン管のディスプレーは一つも破損無し(一週間後、幸いなことに古いワープロを除いて全部生きていて、本社機能が回復した!)。炊事場はやかん、コップ、醤油・ソース瓶など、冷蔵庫の中身は全て飛びだしもの凄い惨状。 一段落付いたら午後2時。昼抜きで頑張った!(もっとも食べるものがなかったが!)倒れている自動販売機のジュースを飲んで一休み。 一応、薬液ピットも落ち着いたので、近くに住んでいる従業員を保安要員として残し、帰宅の途についたが、既に渋滞が酷くなり、煙、土埃が舞う中、道路の段差、バイク、自転車の群れを避けながら何とか3:30 に帰り着いた。 [それから1週間] 渋滞の中を車に六甲の湧き水を積んで会社に運んだ。タンクヤードの薬液は中和作業後、大阪からパトカー先導でタンクローリーに来てもらって処理施設に運んでもらった。 傾いた事務所に入るときなど二次災害に気を付けながら、片付けに終われる毎日であった。
<今朝は厚い雲に覆われて、小雨が降っている。遠くの山は靄の中でうっすらと見えている。20℃78%と蒸し暑い。久しぶりのお湿りで、鶯が「ヒ――ケチョケチョ・・・」と鳴いている。これから降るのかな?> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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我が国の最高学府、の統廃合、新規開校などをリードする立場の象徴がまたまた、賭け(^。^)にでた(^。^)
もとじかんがぶちまければ、じかんの問題かも(^。^)(^。^)(^。^) (May 25, 2017 07:25:03 AM)
やまひろさん
------- 大学の締め付けは厳しくて、上の方はゆるゆでるで、お上のやることヨー判らん!これで、「研究はよやれ!」とは無茶や! (May 25, 2017 09:16:37 AM) |
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