続きは、球場で。

俺が買う、と言い出した時は、おぼれる者の目の前にぷかりと浮かんだわらしべに見えた。

でもなー、Ｔシャツかー、野球は紳士のスポーツだからネクタイの人じゃないとなー、と戸惑っているうちに、横合いから浮き輪が流れてきた。

おぼれる者はわらしべを見送り、浮き輪につかまった。


見送られたわらしべの、その後の動きが報道される度、やっぱり選ばなくてよかったのかも、とも思った。

浮き輪の方も少しばかり空気が足りないようだったけど、やっぱりネクタイしてる分わらしべよりは良い、とも思った。


わらしべが自らへんてこなＣＭに出ているのを見て、大丈夫なのか？　と眉をひそめた。

６年前の長髪時代の映像を見た時、よく女の子が「あの人生理的に受け付けない」と言うのを聞いて何様のつもりだろうと苦笑してたけど、こういう気分のこと言うんだ、と理解出来た。


真相がどこにあるのかはわからない。
報道には嘘が含まれるから。

ただ、ひとつだけ。

地道に働き、つつましく暮らす者を軽んじる者には、それなりのしっぺ返しがあるもんだな、とは思った。

わらしべに、父親を尊敬する心が一片でもあったなら。

考えても虚しいことだとわかってはいるが、そう空想せずにはいられない。