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小川洋子「やさしい訴え」を読み終えました。
![]() 【送料無料】やさしい訴え [ 小川洋子(小説家) ] 私は小川洋子のひんやりとした文章が好きです。 「冷やか」ではなくて「ひんやり」ですよ。 著者近影などで拝見するお顔立ちも 「きっとこのかたは激昂するなんてことはないのだろうな」という 穏やかな雰囲気です。 まるで私の対極に居るような方。 非常に惹かれます。 「やさしい訴え」の主な登場人物は3人。 不実な夫から逃れて、山間の別荘に隠れ住むようになった瑠璃子と 別荘の近くにあるアトリエに住む男とその女弟子です。 三人の職業はちょっと変わっていて 瑠璃子はカリグラファー。 アルファベットを美しい装飾文字で書く職業です。 (厳密にはアルファベットだけとは限りません) アトリエに住む男の職業はチェンバロ作り。 瑠璃子は夫からDVを受けているだけではなく 3年前から浮気されています。 チェンバロづくりの男は、元々は才能あるピアニストだったのに挫折。 今は、一台一台手作りでチェンバロを作っています。 その弟子の薫は、婚約者をひどい形で失いました。 三人とも形は違うけれど心に傷を持っている。 そんな三人が織りなす愛の物語です。 すごく浮世離れしたような設定で 生臭いできごとがおこります。 でも物語の中に生きる人物(プラス犬)は 穏やかで繊細。 3人の誰に感情移入しても なんだか泣きたいような気分になる小説でした。 タイトルの「やさしい訴え」というのは 十八世紀フランスの宮廷作曲家 ジャン=フィリップ・ラモーのチェンバロ曲のタイトル。 聞いたことがあるのかないのかすら 私にははわかりません。(お恥ずかしや) 他にもチャイコフスキー、バッハ、クープラン、デュフリ、 パーセルなどの作品が登場してきます。 もし私がクラシック音楽に造詣が深ければ より深く味わえる小説かもしれません。 お勧め度は★★★☆☆ やっぱり読後感が寂しすぎて ちゅうちょなくお勧めすることができません。 今日の日記を気に入って下さったら ↓ポチっとクリックお願いします。 ![]() 人気ブログランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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