『こんなときはノー!といおう』
こんなときはノー!といおう文 : オラリー・ウォッチャー絵 : ジェーン・アーロン 訳 : 北沢杏子/染嶋いずみ出版社: アーニ出版 ISBN:9784870011090 1995年05月発売価格:2,200円(税込:2,310円)***おもに、子どもが性的な被害にあったとき、いやだ、と表明すること、大人に報告することに重点が置かれた本です。ぼくのからだはぼくのものは、シッターに、お風呂に入ってこられたり、タオルで体を拭かれたりするのが嫌だなと思っている男の子が、一回目はちゃんと直接やめて、と言ったけど、ごまかされ、お母さんに相談して話してもらい、気持ちをわかってもらって解決するお話。ダリルが嫌だと言ったとき、テリーは「男の兄弟がいて見慣れてるから平気よ」と言ってわかってくれない。この話のテリーは悪気がなかったようだが、子どもに触る大人の中には、こういうすり替えを利用したり、恥ずかしがる方がいやらしいと言った追い詰めをする人がいるので、子どもに気をつけて話したいなと思いました。わたしのイニシャルはN.O.は、ゲームセンターに遊びに言ったらいつもいるおじいちゃんが、お金をくれようとして逃げてくる。家でお母さんに話す。お母さんはお金をもらわずNOと言えたニッキーをほめ、抱きしめる。キャンプ場で……は、グレッグがみんなとお風呂に入るのが苦手だったり、物を共有するのが苦手で、合宿の水泳の時間に行かないと、リーダーの一人がやってきて、服を脱ぎ、お前も脱げという。もう一人のリーダーに相談し、力になってもらえる。ひみつはもういやだ!は、義理父に性的虐待を受けている女の子が、お母さんには言えず、友達に話すと、「私なら信じてくれる大人に出会えるまで話し続ける」と勇気づけられ、担任の先生に話すと、先生から両親に話をしてくれると。大人向けのあとがきがあり、子ども自身が、嫌なことは嫌と言っていい、大人に守られるべき存在であるというようなことを、知る手助けを大人もしなければならないし、子どものいうことを聞く準備をしておかなければならないということ、がのっている。次に、大阪府の高校生が通勤電車でちかんにあったことがあるかどうかの調査をした結果がついている。この話はとてもうまくすすみすぎていて、大人の私はちょっと現実がこういかなかったときのショックが大きいんじゃないかと心配になる。でも私が、ショックを与えることを防ぐことはできる。いい大人だけじゃない。話を聞いて、ショックを受けすぎて対応できない人もいるだろうし加害者が身内なら子どもの話を信じられないと思う人もいるだろう。だけど、最後の話の友だちが言ったように、信じてくれる人に出会えるまでがんばってみようというきもちが子どもに伝わればいいなと思って読んでいます。