カテゴリ:舞台
『SISTERS』を観てきました。
長塚圭史の舞台を一度見てみたかったんです。 出演も松たか子と鈴木杏ちゃんだったら、ハズレてもいいや…という感じで 気楽に行ったのですが すごい衝撃でした 長塚圭史ってこういう舞台作る人なんだ~と、ある種のショックを受けました。 名前だけで興味を持っていて、この人の作る舞台の知識が全くなかったので 勝手にイメージしてたのとは、かなりのギャップがありました。 あるホテルを経営していた夫婦の妻が自殺したことから物語は始まります。 今まで料理に関して、すべて妻まかせだった主人は、従兄弟でシェフである 信助(田中哲司)に助けを求める。 3日間の約束で信助は新妻、馨(松たか子)をつれて、このホテルにやってきた。 そこで、馨は父娘でこのホテルに住んでいる遠い親戚の美鳥(鈴木杏)と親しくなる。 美鳥に自分の妹と近いものを感じ、重ねていく馨。 2人は親しくなるにつれ馨の隠された過去と美鳥の秘密が、少しずつ明らかになっていく。 このホテルの人々は、みんな少しずつおかしいんです。 女主人の死からおかしくなってしまった従業員や、作家の父とホテルから出ようとしない娘(美鳥) 妻が死んだのにヘラヘラしてる主人、そして過去を閉ざした妻(馨)にそこに触れないようにしてる夫(信助)。 なんだか暗くて重い内容だということは、あらすじを見ただけで想像つくところですが パンフレットには、STORYの説明は一切なく、出演者たちのインタヴューで内容を伝えようと しています。 始まる前はわからなかったその内容も、見終わったあとに だからこういう質問になるのか~って感じで、めずらしく全部しっかり読んでしまいました。 舞台の演出や構成も本当によく出来ていて、ひとつの空間で2つの場面を見せてる。 すごく立体的で、物語に引き込まれながらも、その演出に感動していました。 一見普通に見える人たちにも、抱えてるトラウマは誰にでもある…… …ここに出てくる人たちは、全然”一見普通”……じゃないですけど。 トラウマというか、傷というか、人には言えない秘密…というか 家族の距離……そういう事がテーマの話しです。 馨が現実と過去の境で彷徨いながら、徐々に外に向かって発せられていく中、 まわりの人々も内に秘めていたものを爆発させていくんです。 すごい狂気なんですよ。正しいことと悪いことの境界線がわからなくなって もう自分たちだけの世界。 でもその狂気、ある意味快感!! ストレートな表現が気持ちいいんです。 そして、馨はそうすることによって、トラウマから解放されたのか… そうであればいいな…というようなラストだったのですが ラストの演出もすごかったです。 ネタバレ…ですが 舞台が水浸しになってくるんです。 人が動く度に水がちゃぽちゃぽと音を立て、人が倒れるとすごいびしょぬれになって 心の中のどろどろした感じを、さらさらと水がやわらげてくれてるような… 何かがあふれ出てきたかのように、床一面に水が這っていくんです。 すごいなぁ~~~ 松たか子も本当にスゴかった!!! 今までの松たか子からは想像もつかない……声は相変わらずかわいいんだけど… 怖い……一言で言ってしまうと、そう、すごーーい怖かったです。 うまいよぉ~、ホント。 そして、、、、 馨の夫、信助(田中哲司) 私の好きな俳優さんの一人ですが、いつも一風変わった役をやる俳優さんですが ここでは、唯一まともな人。奇妙な人々の中でホっとされてくれる存在。 かわいいだんな様です。 美鳥の父、神城礼二 (吉田鋼太郎) 蜷川作品でお馴染みの俳優さんです。私も何度か舞台で見て知っていましたが 今回はとってもダンディーなお父さま役で、美鳥の気持ちわかるよ…と思いました。 私のつたない表現力では伝えきれないのですが、とてもいい舞台でした。 ストーリーは限りなく暗く重い内容のはずなのですが、全く重さを感じない。 とても楽しめた舞台でした。 長塚作品、要チェックです お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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