国際捕鯨委員会
対立が続き結論は先送りに クジラ資源の保存・利用、調査研究を行う国際捕鯨委員会(IWC)は日本の沿岸捕鯨でミンククジラの捕獲再開を認める代わりに、調査捕鯨を縮小か廃止するとした合意案につぃて、結論を来年に先送りしました。 質問 捕鯨は今、何が問題になっているのですか。 答え IWCでは、加盟85カ国が捕鯨支持、反捕鯨に真っ二つに分かれ何も決められない 状態が続いています。対立を解こうと、IWCの議長が双方の主張を取り入れた合意 案を作り6月の総会での決定を目指しました。しかし、折り合いが付かず、さらに 議論することになりました。捕鯨支持国は日本、韓国、アイスランドなど。反捕鯨 国はオーストラリア、ニュージーランド、米国、英国、ブラジルなどです。 質問 日本の沿岸捕鯨とはどんなものですか。 答え 民間の捕鯨会社や漁協が、日帰りができる程度の沿岸で年間約80頭のクジラを捕 穫しています。北海道の網走、宮城県の鮎川、千葉県の和田、和歌山県の太地が拠 点です。 質問 日本はなぜミンククジラ捕獲再開を求めているのですか。 答え 沿岸捕鯨では長年、ミンククジラを捕っていましたがI W Cが1982年にミンク クジラなど13種類のクジラで商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)を決めたため 、捕れなくなりました。日本の沿岸捕鯨は現在、IWCが管理の対象にしていないゴ ンドウクジラやツチクジラなど小さな種類しか捕っていません。ミンククジラはゴ ンドウクジラなどより高値で取引されるので、再開を求めているのです。 質問 具体的にはどんな形で決着を目指しているのですか。 答え IWCは、例外的にデンマーク領グリーンランドなどで先住民の捕鯨を認めています 日本は、沿岸捕鯨をこうした伝統的な捕鯨と同じように例外扱いしてほしいと主張 しています。しかし、先住民捕鯨とは違い商業性があるとして、反捕鯨国が強く反 対しています。 質問 IWCが商業捕鯨を停止した理由は。 答え クジラがどれくらい生息しているかが、よくわからないと判断したためです。日本 の商業捕鯨は戦後しばらくは遠洋まで盛んに繰り出し当時不足していたたんぱく源 を供給する役割を担いました。1960年代半ばから縮小していきましたがIWCが 一時停止を決めたことで、衰退が決定的になりました。 質問 でも、調査捕鯨は実施していますね。 答え はい。クジラの適切な保護を定めた国際捕鯨取締条約は研究目的の捕鯨を認めてま す。日本は87年に南極海で調査捕鯨を開始。94年からは北西太平洋でも始め年 間で計約1000頭を捕っています。ミンククジラなどは既に頭数が回復したとの 研究結果も示しました。しかしホエールウォッチングが盛んなオーストラリアは、 南極海での調査捕鯨に強く反対しています。