|
カテゴリ:友だちの話
ニュージーランド滞在中、大学時代の友人がはるばる広島から観光地でもないウェリントンまで訪ねて来てくれた。彼女、Oちゃんは学生時代サイクリング部で、日本各地を自転車で旅して周った。一見大人しそうに見えるけど、野宿、30時間以上の船旅は当然だったつわものだ。しかし、Oちゃんには海外一人旅の経験がなかった。数ヵ月後には結婚を控え、独身最後に思い切って私を訪ねて海外への一人旅を決行した。
Oちゃんは英語が全くダメだ。空港なんかで英語がわからなくても、全て笑ってごまかしてきたという。彼女の滞在期間は短かったから、私も小さな町を案内、彼女が英語を使うことなんてほとんどなかった。 ある夜、小腹のすいた私たちはバーガーキングに入った。食後、Oちゃんはコーヒーが飲みたいと言って立ち上がった。私に注文の仕方を聞き、ひとりでも大丈夫だというので私は席で彼女を待っていた。しばらくしてトレーを抱えたOちゃんが帰ってきた。 Oちゃん:「チカちゃん、こんなん出てきた・・・」 トレーの上にはなんと、6ピースのチキンナゲットが乗っているではないか。 私:「いったい何を頼んだん?」←学生時代の友人と話す時は広島弁の私。 Oちゃん:「コーヒー」 私:「で、なんでチキンナゲットなん?」 Oちゃん:「わからん。『Coffee, please』って言ったんじゃけど、店員のお姉さん、なんかいろいろ聞いてきて・・・。ソースは何にするとか聞きよるし・・・。ブラック飲みたかったから『Black, please』って言うたら、お姉さん変な顔してこのソースとチキンナゲット乗せたんよ」 ソースを見ると一応黒い色をしたバーベキューソースが乗っかっていた。話す本人も困った顔をしながら笑ってるし、私も大爆笑してしまった。しかし、『Coffee』と言ってなぜにチキンナゲット?聞き違えるほうもどこかがおかしい。 翌日、Oちゃんと私のNZで仲のよかったあっちゃんという女の子と3人でマクドナルドでお茶をした。あっちゃんと私は飲み物を買い、テーブルでOちゃんを待っていた。すると、カウンターからOちゃんの 「Oh, no!」 という雄たけびが聞こえてきた。コーヒーを注文したと思われるOちゃんに、店員のお姉さんはクッキーを取り出して渡そうとしていた。Oちゃんはそのお姉さんに何度も 「Coffee, please!」 と言っているのに。助け舟を出そうと立ち上がったとき、Oちゃんの後ろに並んでいた女性が店員のお姉さんに伝えてくれた。Oちゃんは無事にコーヒーが飲めた。 まあ、『coffee』と『cookie』なら聞き違えても仕方がないか。 さて、その翌日の早朝、Oちゃんは一人で散歩に出かけた。私はまだ眠かったので、ベッドの中からOちゃんを送り出した。 散歩から帰ってきたOちゃんは言った。 「今朝、やっとコーヒーが飲めたよ」 「よかったじゃん!で、どこで?」 と聞くとOちゃんが言った。 「サブウェイで。『Coffee,pleaee』って言って通じたんだけど、そのあと店員さんが『カプチーノ?ラテ?』とかいろいろ聞いてくるけん困ったよ。なんとかブラック飲めたけど」 2月末に友人の結婚式で、このコーヒー騒動以来Oちゃんに会った。2人の子どものお母さんになりすっかり落ち着いたOちゃん。しかし、即興のテーブルスピーチでは相変わらずの天然ぶりを発揮し、招待客のウケをしっかり取っていた昔と同じ彼女だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[友だちの話] カテゴリの最新記事
|