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2016/11/26(土)02:07

G空間EXPO2016 2日目

GIS(233)

お台場の日本科学未来館で開催されているG空間EXPO2016は2日目。 前日とはうって変わった青空。来場者も初日よりはかなり多かった。 地理空間情報フォーラムの展示ブースも前日はやや寂しい感じだったが、さすがにこの日は賑わっていた。 展示されているテーマそのものは昨年と大きく変わらなかったが、JAXAのブースがかなり広くとられていたことから、全体として宇宙関係の展示の割合が増えているような印象を受けた。 シミュレーターのような体験型のブースも多く感じる。 メインステージではちょうど防災科学技術研究所の林春男理事長の講演「災害対応として活用されるG空間情報 ~最近の災害事例を踏まえて~」が行われていた。 今年4月に発生した熊本地震などを例に、災害対応に地理空間情報がどのように使われたのかを時間軸に沿って分かりやすく紹介していた。 明るい吹き抜けのコミュニケーションロビーではGeoアクティビティコンテストの20組のプレゼンターのブースが並ぶ。 こちらも前日に比べると人が多くなっている。 今年から電子国土賞と統合して従来のGeoアクティビティフェスタからGeoアクティビティコンテストに変わったが、プレゼンターのアイディアの面白さは健在。 ここからどうビジネスを起こしていくのかだが、過去には実際にブースを出したことで商談に繋がったケースも多く、プレゼンターにとっては貴重な機会といえる。 隣接する多目的ルームでは審査員を前に順番にプレゼンターの発表が続いていた。 審査結果の発表と表彰式は最終日の明日土曜日11:50からメインステージで行われるのでこちらも注目したい。 昨年もそうだったが、7階のシンポジウム会場はどこもそれなりに人が入っている印象。 Geoエデュケーションプログラムは「平成34年度(2022年度)高校必修科目『地理総合』に向けて空間情報の活用」と題した教員向けのプログラム。 ワークショップ形式のこの教員向けプログラムも今年ではや4年目だ。 参加者がいくつかのグループにテーマ別に分かれて、オープンデータを活用した教材作成・授業について討論し、各グループごとにいるチューターが最後にそれをまとめて発表しあうというもの。 2022年の高等学校の学習指導要領改訂で必修化される地理総合を踏まえているため、その中でうたわれているGISの利用をどのように考えるのか、という点がワークショップの一つのポイントだった。 見ていて感じたのはGISをどう位置づけるのかについて、大きく2つの考え方に分かれているという点。 片方は、デスクトップなどのGISソフトを用いてデータを探してレイヤをつくりながらいわばGISを構築していく方法。 このやり方はGISの概念を正しく理解する上では一定の効果がある。 反面ハードルが高く見られがちで、特に地理専任でない教員が戸惑わないかという点や、一つ間違うと操作の習熟に終始してしまうのではないかという声もある。 ただし、実際にこの方法を実践している先生に話を伺うと、慣れてしまえばまったく難しいことはなく、「難しい」というイメージが先行しているだけと話す。 もう一方はクラウドのGISを利用する方法。 Webには地理院地図を筆頭に、豊富なデータも備えたGISがあり、操作も非常に簡単でデータを見つけてきてインストールする手間もない。 その分をデータの分析や話し合いの時間に充てられる点や、そもそも地理を学ぶ際のGISはツールであって目的ではない、というのがクラウド派の考え方だ。 これはどちらの言うことも一理あって、白黒つけるものではないが、車でいえばマニュアル車とオートマ車に例えられるのではないかと思った。 マニュアルは運転を学ぶのはハードルが高い半面、動かすためには必然的に車の構造や仕組みという基本を知ることになる。 つまりは応用力が身につくということだ。 一方のオートマ車は誰でも比較的簡単に運転をすることが可能で免許の取得も早い。 そもそも車は輸送手段であることを考えれば、ツールとして動けば役割は十分に果たすことになり、そのためには構造を理解しないブラックボックスの状態であっても特に問題はないという考え方だ。 こちらも目的への近道という意味では理にかなっている。 地理総合が目指すGISの使い方がどちらなのか、つまりGISそのものの原理をしることで地理に活かしていこうということなのか、それともGISが簡単に使える、地理的な学ぶためのツールとして位置づけられているのか、そこをはっきりさせる必要があるのではないか。 そのどちらであれお願いしたいのが、地理教育の効果として、空間的思考を身につけるというものがあるが、現在の日本の空間的思考はまだまだ2次元であると感じている。 そこを地理総合では3次元に持っていって欲しいと思う。 そのためにGISは少なからず役に立つはずだし、そのベースとして、G空間業界は3次元地理空間情報の整備を急ぐ必要があるのではないか。 などと考えさせられた充実したGeoエデュケーションプログラムだった。 明日は最終日。 土曜日ということで一般の来場者が楽しめるイベントも用意されている。 測量船の公開もあるのでこちらも楽しみ。

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