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うきぐも(昔の名はほっけ)

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カテゴリ:いまむかCD
3月17日、午後12時20分。
NHKの昼の帯番組「お昼ですよ!ふれあいホール」が始まった。

今週の特集は「今ドキ・卒業式の歌」と題して、文字通り学校の卒業式でいま歌われている歌を、オープニングテーマを担当するVanilla Moodの伴奏でNHK東京児童合唱団のコ達がうたい、ゲストが当時を懐かしむという趣向の企画である。

先日15日(火)は、元プロ野球選手の金村義明氏と、高校を卒業したばかりのの演歌歌手神園さやか女史がゲストで、まさにタイムリーなキャスティングだ。
ちなみに、ASAYAN出身でこんなブログを運営しているシンガーの神山さやかさんは別人である。
彼女はクラウンレコード創立40周年記念新人として、2003年8月21日に『初めてのひと』でデビュー。キャッチフレーズは
"エクボ輝く さわやか さやか"
なんだそうだ。いまどきのアイドルにキャッチフレーズなんてちょっと古風な気もするが、それだけクラウンレコードが(私の好きなコトバを借りれば)社運をかけている歌手といえるだろう。唯一つ残念なのは、『元祖だんご4兄弟』(3月2日の日記を参照)を出した会社と同じだということだ。

今回はその彼女のCDをわざわざレビューするわけではない。
問題はその生放送だ。小道具である中学の卒業アルバムを阿部アナが手に取り話が進む中、笑顔あふれる神園女史のその口から出た言葉に、私も耳を疑った。

私の中学校の卒業式では、あしたがあるさを歌ったんですよ~

司会の阿部渉アナも、金村氏も呆気にとられているではないか。時代も変わったものですねぇ、と金村氏もフォローしているが、確かにそうである。
へそ曲がりの私なんか、『あしたがあるさ』と『あきらめましょう』(←うた:華原朋美)は缶コーヒーメーカーの代理戦争を音楽業界でやってるだけぐらいにしか思っていなかったので、思い入れのカケラもないが、まさか卒業式で歌うような素材であったとは知らなんだ。
普通ならば卒業式で歌う歌といえば「仰げば尊し」や「巣立ちの歌」だろうし、私でも「さくら~独唱~」ぐらいなら理解できる。

合唱曲などもいいけれど、
もっと卒業式にふさわしい歌を
J-POPから発掘したっていいじゃないか。


そう声を大にして叫びたいほっけの、今日の[いまむかCD]の特集は"知らなくてもいい卒業ソング"と題して、独断で3曲選んでみた。
ついてこれるヒトだけ反応してもらえれば結構。ついでに言えば、卒業とはあまり関係ないコメントを織り交ぜてみたい。

まず一枚目は、小中学校向けのコチラ
いつか逢おうね
TITLE :いつか逢おうね
ARTIST :高橋由美子
RELEASE:1992/02/05
CD NUM :VIDL10206
LABEL :VICTOR

作詞:秋元康
作曲:筒美京平
編曲:若草恵

ACQUISITION(入手容易度) :☆☆☆(オークションなどで)
STUPIDITY (バカバカしさ):☆
CURIOSITY (ヘンテコ度) :☆

10年以上前、当時のアイドルとしてダントツの人気だった高橋由美子の卒業ソングである。
3拍子のスローテンポな楽曲は、第一印象としては卒園式の定番『おもいでのアルバム』とよく似ている。
がしかし、この曲はタイトルからして「会おうね」ではなく「逢おうね」である。「いつか巡りあう」のである。「そして…めぐり逢い」では五木ひろしになってしまうが、未就学児に「逢う」というコトバの重みは知る術もなかろう。

春の風にふかれて
昨日 咲いた桜が
そっと 枝を離れ
青い空で 手を振る


春の風は枝が飛ぶほどそんなに強いのか、と思う。
それを桜の枝が「別れの手振り」と擬人化するレトリックに変えてしまうところは、後半の歌詞

思い出の背中に
少し 甘えてみたい


にもテクニックとして垣間見える。思い出そのものが頼りがいのある何かのように。
ま、こんな昔のCDシングルを引っ張り出してきてレビューしている私自身が、すでに甘えている。いずれにしても、過去におニャン子クラブを仕切ったプロデューサー、天才秋元氏のなせる技である。

ちなみに最近は1500円という安価で彼女のベストアルバムが"復刻"発売されている(『SINGLE COLLECTION Steps』VICL41114 2004/09/22発売)。限定生産であるが、シングル盤は廃盤であり、こちらのほうが比較的入手しやすい。

2枚目は、中高校生向けのコチラ
さよならのチャイム
TITLE :さよならのチャイム
ARTIST :Qlair
RELEASE:1992/01/22
CD NUM :ESDB3278
LABEL :LIFE SIZE/EPIC SONY

作詞:西尾佐栄子
作曲:山口美央子
編曲:新川博

ACQUISITION(入手容易度) :☆☆(オークションなどで)
STUPIDITY (バカバカしさ):☆
CURIOSITY (ヘンテコ度) :☆

2枚目に登場したこの3人娘クレアは、乙女塾という、「おニャン子クラブ」を輩出したフジテレビのその次に企画されたタレント養成プロジェクトに在籍したで方々。
わかりやすくいえば、冒頭で緑細字でちょっとでてきたASAYANという番組で育成されたモーニング娘。に近いかもしれない。詳細については、私も懇意にさせて頂いている、かつやさんによるこちらに譲ろう。

すでに当時、大して歌もうまくないのに、リリースした翌週にチャート1位を獲得しすぐに急落するという、悪くいえば「粗製濫造」のような方法論でおニャン子クラブの会員達がゾクゾクとソロシンガーとしてデビューし、すなわちアイドル歌手を乱発してしまったために、一所懸命育てて売り出すという日本伝統のメソッドがまったく通用しなくなってしまってすでに数年たっていた。そのため次の逸材がなかなか育たなかったといえるが、これは後に「アイドル 冬の時代」とまで呼ばれることになり、広末涼子やSPEEDらの登場までその氷河期は長く続くことになったのである。
そんななか、ラジオ番組のサークルでこのコらとも関わることができ、彼女らの所属する事務所の社長にあってお話も聞いた。ご一緒してくれたあきんど氏の過去ブログでも少し触れられているが、もともと渡辺プロ時代に沢田研二氏のマネジメントに携わった実績もあり、語るコトバは深く、重みがあった。

こんなことも話しておられた、と記憶している。

彼(沢田)を追いかけて、上京してくるファンだっているわけですよ。
そう考えるとね、(僕の仕事は)そんな彼女達の人生までも左右してしまったのだから、
彼女らの人生をもムダにさせないような仕事を、彼にもして欲しいと思ったんです。


今思えば、かなりの理想論者であるといえる。もちろん、沢田研二などと違い、Qlairなどのファンにいたっては少数派のアイドルマニアと言い切っていい。
しかし、そんなマニアな男子達に対しても同じスタンスで接して頂き、彼女らへの妥協なきマネジメントに取り組む森本精人社長がそこにあった。すでに我々は彼女らだけでなく、かの社長にも我々は心酔していたのだ。

思い入れがかなりはいったトコロで、楽曲に話をググッと戻そう。

大サビで3人のハモりがからむ、ごく普通のミディアムテンポのポップス。最近のこのテのティーンのユニットはユニゾン(斉唱)ばかりで正直がっかりすることが多いが、こちらは当時としては珍しくコーラスワークに重きを置いていたユニットである。

古い廊下 階段にさえ
映る思い出なの 心のスクリーン

♪かざした手にヒラヒラと散る
ピンク色の花はキライになりそう


折れて飛んだ桜の枝でさえ別れの挨拶をしているとうたう『いつか逢おうね』と違いさくらはキラい、とポジティブな歌詞とはいえない。
この曲の根底には、片思いの彼との惜別という背景があるので、実は大勢で合唱するという趣ではない。でもハモりが心地いいので、どこかの学校で合唱やってほしいなぁと思う今日このごろ。

さて肝心の入手方法だが、すでに廃盤で通販でも在庫は皆無。また高橋由美子と違って復刻版のリリースもまったくなく、オークションで時折出品されているシングル盤を狙ってみるのがベストだろう。

ラストは小学校から大学まで、どんなシーンにも
Thank you
TITLE :Thank you
ARTIST :小林幸恵
RELEASE:2001/09/19
CD NUM :FLCF3869
LABEL :FOR LIFE

作詞作曲:BANANA ICE
編曲:Stay Kool

ACQUISITION(入手容易度) :☆☆☆☆
STUPIDITY (バカバカしさ):☆
CURIOSITY (ヘンテコ度) :☆

最後は、またも登場のキーワード、正真正銘のASAYAN出身のボーカリストの登場である。6年も前のことなので、経緯というか、彼女を輩出するきっかけとなったオーディションはこれ
小室哲哉氏のプロデュースだったのであるが、結果から先にいうと
売れていない。
でも、いいのである。このオーディションの骨子は
20世紀を締めくくる
楽曲と歌手を世に送る

ことであり、
歌優先。心を打つ歌声の人。
であることが必要条件であったのだから、売れるのは、その次。
ソレが証拠に、どこにも「ビッグヒットを出す」などというステータスは記されていない。
渡米中の奮闘記はTVでも毎週のように放送されたがこちらでも再現されている。ぜひとも当時のナレ川平慈英の声を頭に浮かべてステータスを通読されることを強くオススメしたい。

さて楽曲だが、あのうんこちゃんのCDにも登場するBANANA ICE師である。念のためにいうと「下町兄弟=BANANA ICE」である。実はこれだけの楽曲を手がけており、単なるラッパーにはとどまらない名手である。

いつかまた会えたら
唄おうよ この歌を
幸せをのせて始まる
旅立ちの季節(とき)へ


ミディアムスローのバラード。オケには手拍子が効果的にインサートされている。この歌詞のように、大勢で歌いたい唄である。
お気づきかもしれないが、卒業シーズンとはまったく関係ない時季にリリースされているのも興味深い。

小室プロデュースとはいえ、全米デビューという野望は潰えたけれど、某U女史でさえサクセスとは言い切れない結果に終わっているのだから、なにも悔やむことではない。
振り返れば、立派に20世紀を締めくくる楽曲と歌手を、世に送ることができていたのではないだろうか。
とはいっても、この曲出たのは21世紀になってからだが(汗)。
なお、現在の彼女のサイトはこちらに移行している。

さて入手だが、お近くのCDショップにひょっとすると在庫があるかもしれないぐらいいたって容易。悲しいことに、中古では100円以下で流通しているケースも散見されるが、その値段以上の価値がこの曲には内包されているので、興味があるかたはぜひ手にしてほしい一枚だ。





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Last updated  Mar 18, 2005 12:00:52 AM
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