個人コーチングの進め方ー25
Aさんの話を聞いていたコーチは「Aさん、そうですね。私たち人類は、言葉を発明したことで、生き残れてきたという歴史的な事実が、ありますよね。言葉によって、多くの情報を共有できるようになり、コミュニケーションを深められたことが、今私たちがここにいることに、繋がっているということだと思います。ペンは剣より強しと、言いますが、先日の大統領選での、オバマ大統領の演説を聴いていると、私もYes,We canといった気持ちになりました。そこで改めて、言葉の持つ力の強さを感じました。そして、勿論コーチングでも、言葉が大きな役割を果たしています。質問する時は当然ですが、承認したり、共感する時、言葉は大きな力を発揮します。しかし、Aさんが感じたように、その一つ一つの言葉には、私たち夫々の個人的な体験が、大きく影響していて、個人的な意味を持たせています。Aさんと私の間でも、一つの言葉に持たせている意味に違いがあると思います。それから、食べ物に好き嫌いがあるように、使う言葉にも好き嫌いがありますよね。そんなことも、影響してくるのではないでしょうか。そして、使う言葉の個人的な意味の違いから、お互いの中で、誤解が生まれることもあるようです。それだけに、言葉の持つ怖さも感じます。しかし、だからといって、恐れすぎては話が出来なくなります。何せ、私たち人類は、言葉を手に入れたことで、今日まで生き延びて来れたのですから、言葉を使わない手はありませんよね。コミュニケーションと言うと、よく使われる、メラビアンの法則では、言葉で相手に伝えられるのは、7%で、聴覚情報が38%、視覚情報が55%だと言いますが、伝えられる情報量の多さでは、言葉が他の要素を圧倒していると言えるでしょう。そして、相手との間で、使っている言葉の意味の違いを知ったとき、自分だけの広辞苑に、新しい意味が増えた喜びなども味わえるのですから・・・。こんな収穫があるのも、言葉によるコミュニケーションの素晴らしさだと思います。コーチングしていても、私にとって勉強になることに、沢山巡り会えるのですから、一方で言葉の持つ欠点を意識しつつ、又一方で言葉の持つ圧倒的な情報量を活かしながら、コミュニケーションを楽しみたいと思っています。やはり、人間は一人では生きて行けない動物だと思うのです。」と、ここまで話して、コーチは一息ついた。続く・・・