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カテゴリ:アメリカ ・ ハートウォーミング
目を閉じると現在は消え去り、懐かしい谷が見えて来る。緑に染まった美しい谷がーー。 19世紀末の英国・ウェールズ地方。一人の少年が、炭鉱で働く父と母、姉、兄と暮らしていた。やがて世の中は不景気になり、一家にも次々と不幸が訪れる。家族の死、姉の不幸な結婚、そして・・・。 西部劇の巨匠、ジョン・フォードが贈る感動作。家族の絆、愛、人生といった普遍的なテーマを、詞的な映像で描き出したヒューマン・ドラマだ。光を巧みに使いこなすことによって生み出された秀逸な映像は、モノクロでありながら溢れるほどの色彩を感じさせる。 舞台は19世紀末のイギリス・南ウェールズの炭鉱町のモーガン家。経済的繁栄の絶頂期にあった炭鉱町はアメリカなどの台頭で活力を失い、一転して不況に喘ぐ。末っ子ヒュー(ロディ・マクドウォール)の目を通して写し出されるのは、20世紀を目前にした地方の町や変わりいく人々の暮らしと考え方である。 モーガン家の息子たちは急速にさびれゆく炭鉱町から次々と去り、家庭は崩壊していく。 「みんなは今でもこの家にいるよ」 兄たちの住む国を地図で指し示すヒューに、母は寂しげにこう言うのだ。 炭鉱主の息子と望まぬ結婚をして南アフリカへ行っていた姉アンガラード(モーリン・オハラ)と再会するヒューは、輝きを失い、哀しそうな姉の姿に心を痛める。 姉は結婚前グリュフィド牧師(ウォルター・ピジョン)に想いを寄せていた。 「私は自分の一生を犠牲と献身に捧げると決めた。私はその覚悟だが君にまで・・・」 と想いを打ち明けるアンガーラードにグリュフィドは応える。 モーリン・オハラは今作品で”フォード一家”の仲間入りを果たした。 フォードは「わが谷は緑なりき」についてこう語っている。 「この映画は家族全員が主役であって、スタッフとキャストはひとつの家族のようなもの。これこそ自分の好きな作品だ」 名子役、ロディ・マクドウォール、ドナルド・クリスプら出演陣の演技も見事だ。'41年アカデミー賞作品賞、監督賞、助演男優賞、撮影賞(白黒)など、通算6部門を受賞した名作である。 故郷への想いはいつまでも消えることがない。開発の名で"故郷"を失った人はいかに多いだろうか。そして家族も・・・。 1941年 アメリカ・モノクロ 監督: ジョン・フォード 出演者: ウォルター・ピジョン、モーリン・オハラ、ロディ・マクドウォール、ドナルド・クリスプ、バリー・フィッツジェラルド、ジョン・ローダー ブログランキング参加中 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.04.12 11:11:32
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