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テーマ:男優たちの華麗な酒盛り(277)
カテゴリ:ラ~ロ
ロッサノ・ブラッツィ、彼の名を永遠に残したのはデヴィッド・リーン監督の名作「旅情」だったのではあるまいか。
恋に臆病なため婚期を逸したキャリア・ウーマンのキャサリン・ヘップバーンの相手役を演じ、中年の揺れる女心を見事に描き出した作品だ。 旅情 彼女が運河に落としたくちなしの花を、彼が手を伸ばして拾い上げようとする。その僅か数センチ先を流れ去る花・・・。 小島の浜で語らうふたりの向こうに見える真っ赤な夕焼け、そして、夜明けのサン・マルコ広場を手をつないで歩く二人の姿、胸にしみいる大人の恋の切なさが見事なまでに描かれるのだ。 この映画の恋の仲立ちをする”赤いゴブレット”、これをベニスのお土産に手に入れた方も、結構多いのではあるまいか。 そして旅立つジェーンを見送りに駆けつけるレナート。人にぶつかり、箱からこぼれ落ちるくちなしの花。ホームの突端でくちなしの花を手にかざして見せるレナートにジェーンは列車の窓から身を乗り出すようにして投げキッスをしてみせる。 永遠の別れになるだろう二人を、これほど見事に映像化した作品はそんなにないだろうと私は思う。 彼は1916年9月18日、イタリアのエミリア・ロマーニャ州ボローニャで生まれた。4歳の時にボローニャからトスカーナ州フィレンツェに移住し、サンマルコ大学に進学した。 学生時代に演劇に関心を持ち、大学卒業後、弁護士事務所に勤務する傍ら、舞台に出演する。その一方でラジオやアメリカ映画のイタリア語版吹替の声優としても活躍していた。 1939年にイタリア映画で映画デビュー。1947年に渡米し、マーヴィン・ルロイ監督の「若草物語」(1949年)に出演するが脚光を浴びることなく、帰伊する。 その後、再度渡米し、「裸足の伯爵夫人」(1954年)に出演して再出発を果たし、以後、人気を博して国際的に活躍した。 ロッサノ・ブラッツィの主な作品を記しておこう。「愛の泉」「裸足の伯爵夫人」「南太平洋」「オーメン/最後の闘争」「女と女と女たち」などである。中でも個人的には「南太平洋」が好きな作品だ。 彼は1994年12月24日、享年78歳で没した。結婚は2回である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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