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シネマに賭けた青春「夢を追いかけた日々」の想い出

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カテゴリ:タ~ト
ダーク・ボガード、彼の演技で印象に残るのはなんといっても「ベニスに死す」であろう。これはまさにルキノ・ヴィスコンティの退廃の美の究極の一篇と言うべき作品である。

ベニスに死す

ヴェネツィアに療養にやって来た音楽家アッシェンバッハ(ダーク・バガード)は滞在先のホテルで美少年タッジオ(ビョルン・アンドレセン)に出会う。少年に魅了された音楽家は毎日のようにタッジオ一家を追いかける。

美を信奉する音楽家の破滅に至る道程を延々と描いたこの作品、ダーク・ボガートも演技にさぞや戸惑っただろうと思われる。

表情だけで演じるという難しい役をこなした彼は、役作りについて「死刑囚のように辛かった」と云ったそうだ。

少年とは言葉を交わすこともなく、付かず離れず少年の動向を見守るだけで映画は進行していく。作曲家グスタフ・マーラーの「交響曲第5番」が劇中ふんだんに散りばめられ、大作曲家マーラーを主人公のモデルにしていることを匂わせている。

サハラ砂漠から熱風シロッコが吹きつけ、コレラが流行し始めるこの街で、アッシェンバッハは惨めな死を迎えるのだ。海に立つ美少年を遠望しながら・・・。

これは果たして芸術作品なのだろうか。正直言って私には理解しがたい作品の部類に入るだろう。


ダーク・ボガートは1921年3月28日、イギリス・ロンドン・ハムステッドで生まれた。本名、デレク・ファン・デン・ボガール。父親はオランダ人でタイムズの編集者、母親は元女優・マーガレット・リーヴェン。

美術学校で舞台美術などを学び、1939年にはロンドンの舞台で裏方として働いていた。ある時、俳優の一人が急遽出演出来なくなったため代役として舞台に立って俳優としてのキャリアをスタートさせた。

しかし同年、第二次世界大戦に従軍、ベルゲン・ベルゼン強制収容所に辿り着いた最初の連合国将校の一人でもあった。また公式命令により戦争画を描き、そのうち二点は大英博物館に保存されているという。

大戦終了後の1947年に再び俳優として活動を始め、舞台出演が高い評価を得て、同年映画デビュー。以降イギリスを代表する名優として活躍した。

1963年の「召使」と1965年の「ダーリング」で英国アカデミー賞を受賞。ハリウッドから誘われ続けたが、アメリカ映画は「わが恋は終りぬ」一本のみ。イギリス・フランス・イタリアなどヨーロッパ映画で活躍した。

上記以外では、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」「ベニスに死す」や「愛の嵐」などが有名。

 

1958年の映画「風は知らない」では日本の女優・谷洋子と共演した。

ボガードは長い間マネージャーのアンソニー・フォーウッドと同居し、一度も結婚しなかったため、ゲイであると噂されていた。ボガード自身は常に、フォーウッドは単なる友人関係にあると語っていた。また、「わが恋は終りぬ」で共演した女優のキャプシーヌと交際していたことがある。

その他、彼の出演作品には「唇からナイフ」「わたしのお医者さま」「二都物語」などがある。

 

そして1999年5月8日、彼は享年78歳で天国に迎えられた。





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Last updated  2010.05.24 16:06:38
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