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2008.01.28
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カテゴリ:映画/戦争・史実
「宮川さんていう軍曹さんがおってね、一度目の出撃の時に機体の故障で引き返されたのをえらい気にしなすってね。ようやく二度目の出撃が決まった前の晩にうちに見えてね、お給仕する私に“今度こそどんなことがあっても敵艦を撃沈して帰って来る”って言われる。私は不思議に思って“どげんして帰って来ると?”って聞いたら、“ホタルになって帰って来る。だからホタルが来たら僕だと思って追っ払わないで、よく帰って来たと迎えて下さい”って言うの。」


映画評論家である故・淀川長治氏の言葉なのだが、「映画界の動向は情報イコール資本の流動性に抗えないので、観客自身が批評家の目をもつ必要がある。」とおっしゃっている。
つまり我々は、数多製作されている映画の山から優れた作品を見出すセンスを鍛えねばならない。
「傑作」と呼ばれた作品の影には、泡と消えた「駄作」が無数に存在するのも事実である。
しかし、そういうB級、C級の中にも必ずメッセージが隠されている。
思ったほど楽しめなかった作品を、あとから反芻して、どんな点がつまらなかったのか、どのように改善すればもっとおもしろくなるのか、など自分なりに分析、追究してみるのも逆に楽しいかもしれない。

「ホタル」は、悲惨な戦争を二度とくり返してはならないというメッセージ色の強い映画に仕上がっている。
反戦映画には必ず賛否両論が付きまとい、人の数だけ感想もまちまちだ。
この作品は鹿児島の南端の漁村が舞台になっている。
山岡は漁船「とも丸」に乗り、沖合いで漁をして生業を立てていたが、妻が身体を患ったことで漁を辞め、養殖を始める。
激動の「昭和」が終わり、「平成」の世が始まったある日、藤枝が冬山で亡くなったという知らせに山岡は愕然とする。
山岡と藤枝は、共に特攻隊の生き残りだったのだ。

全体を通して視覚効果にあふれ、日本の美しい自然が平和な日常の「今」として反映されている。
その美しい構図からは、すでに半世紀も前に起こった戦争の傷跡などどこにも見られない。
この静寂さと自然美を後世まで残すことが、我々の大切な使命なのだと訴えかけてくるような、じっくりと計算され練られた美しいアングルに魅了された。

2001年公開
【監督】降旗康男 
【撮影】木村大作
【出演】高倉健、田中裕子

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.01.28 20:14:21
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