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吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.04.11
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カテゴリ:映画/ヒューマン
「私が行きたい所はジワタネホだ。・・・ジワタネホ。メキシコの町だ。太平洋に面してる。太平洋の別名を(知ってるかい)? “記憶のない海”。あそこに住みたい。記憶のない場所に。海岸近くにホテルを開くんだ。古いボートを買って修理し・・・客を乗せて釣りに出る。」
「ジワタネホか・・・。」

当時の刑務所がこれほどまでに劣悪な環境で腐敗が進んでいたとは知らなかった。
あるいは、映画の中での脚色なのか、いずれにしても囚人たちの更正を手助けしなければならないはずの所長や看守たちの水準の低さに驚きを隠せない。
この映画は、数少ないフランク・ダラボン監督作品の最も秀逸なものである。
トム・ハンクス主演による「グリーンマイル」も素晴らしかったが、ファンタジー色が強かったため、評価は分かれた。
(しかし興行的には大成功を収めている。)
作品の後半から、静かでおとなしいはずのアンディーが、生きることへの執着と自由を謳歌するための希望を畳み掛けるように訴えて来るのだ。

窃盗罪でショーシャンク刑務所に投獄された若者トミーは、読み書きすらできない無学な者だった。
そんなトミーは、自分を変えたいと一念発起して高卒の資格を取りたいからと、アンディーに勉強を教えて欲しいと頼む。
ある日トミーはレッドに「アンディーは一体どんな罪を犯したのか」と聞く。
それに対しレッドは「アンディーは元銀行員で、彼の妻とその愛人を殺った罪だ」と答える。
それを聞いたトミーは、トマストン刑務所にいるころ、そこの囚人の一人が強盗に入った先で銀行員の妻とその愛人を射殺したという話を思い出した。
その話に衝撃を受けたアンディーは所長室に駆け込み、再審請求を願い出る。
だが、アンディーが所長の脱税に一枚かんでいることもあり、その露見を恐れ、証人となるトミーを謀殺しアンディーを一ヶ月間も懲罰房へと閉じ込めてしまう。

物静かでとつとつとしたアンディー役をティム・ロビンスが好演。
悪人らしからぬ終身刑を受けた囚人レッド役のモーガン・フリーマンも、その存在感と演技力で観る者を惹き付けて止まない。
このストーリーが希望を見失わないことへの応援歌であり、人生とは粘り勝ちなのだと言おうとしていることもよくわかる。
だが、さらにもう少し掘り下げてみると、意外なテーマが浮かび上がるのだ。
それは、“知識と教養は生きる上での武器になる”のだということ。
我々に与えられた人生の時間には限りがある。
必死に生きるも必死に死ぬのも各人の自由かもしれない。
だが、無知であること、無学であることは不利なのだ。
どんなつまらないことでも、どんな面倒なことでも、生きる糧にしようではないかとこの作品は提案しているようにも思える。

1994年(米)、1995年(日)公開
【監督】フランク・ダラボン
【出演】ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.04.11 06:21:05
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