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吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.06.08
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カテゴリ:映画/歴史・伝記
「主よ、エジプトで苦しむ子孫の声を、なぜお聞きになりませぬ?」
「エジプトにいる私の民の悩みを見た。追い使われて叫ぶのを聞いた。彼らの苦しみのゆえに・・・お前をファラオの所に遣わして、私の民をエジプトから導き出させよう。」

この作品を今さらのように観てしまった。
だが、アナログだというのにこれほどの完成度の高さ、緻密さ、それは時代を越えた悠久の歴史スペクタルなのだ。
反戦映画などに度々登場するキーワード。
それが、宗教問題であり民族問題である。
これを島国民族である我々が、しかもキリスト教圏ではない日本人が、頭の片隅でちょこちょこっと思考したぐらいではとうてい理解できない問題を、この作品を鑑賞することで多少の知識としてなら認識の手助けになるかもしれない。
この「十戒」の主人公であるモーゼはユダヤ人であるが、ユダヤ人というのはこれまでの歴史で多大な迫害を受けて来た民族なのだ。
幸いにも民族の絶滅は免れたものの、迫害の原因は根が深く、信仰の自由を許さなかったことや、イエス・キリストを殺害した民族であり、さらには国家を持たない流浪の民という曰くも重なり、後世、その子孫はホロコーストなどの悲劇に見舞われる。
そう言った知識を踏まえて「十戒」を鑑賞すると、一段と作品を理解し易くなるのではなかろうか。

舞台はエジプト。
聖書中の『出エジプト記』をもとに製作されている。
それはモーゼが虐げられていたユダヤ人(ヘブライ人)を率いてエジプトを脱出する物語なのだ。
ユダヤ人の嘆きを聞き取った神が、エジプト人の奴隷となっていたユダヤ人を解放するため、救世主として一人の男児を誕生させる。
その者こそモーゼであった。
エジプト人の王ファラオは、救世主の誕生を恐れ、ユダヤ人の男児を全て殺すよう命令。

モーゼの母は難を逃れるために赤子のモーゼを籠に入れナイル川へと流す。
その籠は沐浴中のエジプトの王女に拾われ、モーゼはエジプトの王子として成長する。

とにかくものすごい人数のエキストラを起用しての“都市建設”シーンは圧巻。
いかに当時のエジプトの王に絶大な権力があったかを象徴している。
また、ギリシャ彫刻のような端正な顔立ちと長身を誇るチャールトン・ヘストンと、演技派ユル・ブリンナーの掛け合いは、芝居を越えた迫力と神話を覆すほどのリアルな重厚感をもたらしている。
製作から半世紀もの経過を全く感じさせない、色褪せることのない輝きを放つ名作なのだ。

1956年(米)、1958年(日)公開
【監督】セシル・B・デミル
【出演】チャールトン・ヘストン、ユル・ブリンナー

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.06.08 15:53:29
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