2008/09/16(火)19:19
プラダを着た悪魔
「俺は朝から晩までワインを煮詰める仕事をしてる。誠実に仕事するなら君がストリッパーでも構わない。(君は)以前は“ランウェイ”の女たちを鼻で笑ってた。今や君もその一人だ。」
「バカな(こと言わないで)。」
「自分をちゃんと認めろよ。もう俺たちに共通点はない。」
作中では、女性が仕事を持って生きていくことの大変さをモチーフにしたところからストーリーが展開していく。
大学を出たばかりの娘が、都会で貧乏生活に甘んじている姿を見かねて、父親がさり気なく金銭を援助するシーンも出て来た。
だが今や働く人にとって、男も女も関係なく大変なのだ。
ヒロインの夢はジャーナリストになること。
しかし、若さだけで叶うほど簡単なものではなかった。
食べていくためには稼がねばならない。
畑違いとわかっていながらも、アパートの家賃、生活費を捻出するためにファッション雑誌の出版社の面接を受ける。
「だって仕方がないじゃない。」
彼女は望まないファッション業界への就職をグチるのだ。
鬼上司の下での雑用係は多忙を極め、やがて恋人との関係もギクシャクしてくる。
「だって仕方がないじゃない。」
先輩アシスタントであるエミリーに代わって、ヒロインのアンディがパリ行きを示唆された時、アンディは躊躇した。
なぜならエミリーが夢にまで見た念願のパリ行きで、それを横入りして奪ってしまうような気がしたからだ。
しかしアンディは、結局パリ行きを選ぶ。
「だって仕方がないじゃない。」
全て彼女は責任を周囲に押し付け、誰かに転嫁してして来た。
しかし、それは違った。
ノースウェスタン大学を卒業し、ジャーナリストを目指すアンディは、ニューヨークで目下求職中。
恋人と同棲しながらの貧乏生活に甘んじる中、いくつかの求人情報からファッション雑誌“ランウェイ”編集部での仕事に目を留めたアンディは、さっそく面接を受ける。
編集長はファッション業界に君臨するミランダで、仕事はその第二アシスタントとして彼女の身の回りの世話をする役回りだった。
鬼のような上司であるミランダの横暴な要求に耐えながら、アンディは本来の目的であるジャーナリストへの足がかりとして必死に働くのだった。
自立して生きていくということは、自分で物事を選択して実行に移して行くことだ。
成り行きとは言え、拒否せず受け入れた自分が全て選択した人生ではないか。
ヒロインのアンディの生き方は、観る側の立場とか背景によってずい分捉え方が違ってくるかと思われる。
だが、一つ言えることは、被害者面して「仕方がない」とグチるのは、大人としてみっともない。
今ある状況を選んだ自分を受け入れ、自分の信じた道を歩いて行こうではないか。
泣いても笑っても「全ては自分の責任」なのだと、この作品は教えてくれる。
2006年公開
【監督】デビッド・フランケル
【出演】メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ
また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)