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吟遊映人 【創作室 Y】

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2012.02.19
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カテゴリ:映画/SF
20120219

「自分を隠すな。虎は自分の縞模様を隠すか?」
「いいえ、でも・・・」
「君は魅力に満ちている。世界は君を抑圧してきた。これからは自由になれ」

結論から言ってしまい恐縮だが、『X-MEN』シリーズ中、一席をつけたいほどの傑作に仕上がっている。
もちろん、一作目のメガホンを取ったブライアン・シンガー監督の“差別される側”の状況描写は見事だった。
関係あるかどうかは分からないが、シンガー監督が同性愛者であり、様々な苦境に立たされて来た体験が、作品にリアリティーを与えていたのかもしれない。
その点、ファースト・ジェネレーションにおいても、ミュータントという特殊な能力を持つ人間たちを明らかなマイノリティーとして表現することに成功している。
CGを駆使しただけの単なるヒーローモノとはまるで趣を異にしていることも、ポイントが高い。

1944年、ニューヨーク州ウェストチェスター郡のとある豪邸。
少年チャールズ・エグゼビアは、キッチンでいるはずのない母親と遭遇。
すぐにそれがミュータントで、変身能力を持つ者の仕業であることを見破る。
だがチャールズは、ミュータントの少女レイヴン・ダークホルムを家族として迎え入れた。
一方、ポーランドの強制収容所において、母親と引き離された少年エリック・レーンシャーが、超能力で頑丈な鉄の門を捻じ曲げるという事件が起きた。
その様子を目撃した科学者のシュミットは、エリックを呼び出し、自身の目の前でその特殊な能力を見せろと迫る。
もしもできなければエリックの目の前で母親を撃ち殺すというものだった。
結局、エリックの母親は殺害されるが、皮肉にも、その時の怒りによってエリックは己の能力に目覚めるのだった。
こうして18年後、成人したエリックはシュミットに復讐するため、チャールズはオックスフォード大学でミュータントに関する研究者として、運命の出会いを果たすのだった。

若かりし頃のチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)役に扮するのがジェームズ・マカヴォイだが、ふさふさで艶のある頭髪がまぶしい。
演技も若々しく、ハツラツとしていて好感が持てる。
一方、後のマグニートー役をマイケル・ファスベンダーが好演。
母親を殺された怒りと、殺した相手に対する復讐心のみが、己の能力を強大なものにした件を見事に演じていて、後の悪役に回るキャラとは思えない悲劇のヒーローを確立している。
シナリオはキューバ危機を背景に、海上で睨み合う米ソと、若きミュータントのプロフェッサーXとマグニートーとが生きる道を分けるまでのプロセスが展開されている。
この見事なストーリー描写が、作品の完成度を一層高めたことは言うまでもない。
シリーズ中、最も良質なSFアクション映画である。

【掲載紹介】
◆X-MENはコチラ

◆X-MEN2はコチラ

◆X-MEN:ファイナルディシジョンはコチラ

◆ウルヴァリン:X-MEN ZEROはコチラ

2011年公開
【監督】マシュー・ヴォーン
【出演】ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ケヴィン・ベーコン

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2012.02.19 09:16:32
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