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吟遊映人 【創作室 Y】

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2008.10.08
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カテゴリ:映画/ヒューマン
「君は彼のお気に入りだ。“独占インタビュー”という贈り物を彼からもらった。」
「贈り物? プロパガンダよ! 食らいつくのは危険だわ。」

自己主張の強い映画は、時として押し付けられた娯楽のように感じてしまうこともある。

本作は、ロバート・レッドフォードがメガホンを取り、出演も果たしている大作なのだが、“反戦”というテーマが全面に打ち出された内容となっている。
もちろん、「もっとグローバルに考えなさい」とか「無関心は許されないぞ」とか細かい主題はそこかしこから窺えるけれど、取りも直さず根底に流れているのは“反戦”というメッセージだ。
リアルな現場を実況中継されているような感覚さえ覚え、気を抜く暇もないストーリー展開になっている。
鑑賞後は、社会に対してなのか自分に対してなのか、むしょうに腹立たしい気持ちにさせられる。
それだけにこの世の様々な問題点を提示している作品と言って差し支えないだろう。

五十七歳の女性ジャーナリスト、ジャニーン・ロスはアーヴィング上院議員の独占インタビューの機会を得る。
アーヴィングは対テロ戦争における新作戦というスクープをジャニーンに提供するものの、彼女はその情報に対して懐疑的な気持ちになる。
一方、時を同じくしてカリフォルニア大学のマレー教授の研究室に、欠席が目立つようになった学生トッドが呼び出される。
トッドは本来、将来性のある優秀な学生であったが、学問に対する不信感や本人の怠惰が災いして学力が低下していた。
そんなトッドに、マレー教授は、志願兵となってアフガニスタンへ出向いた二人の教え子についての話を始めるのだった。

作品は、デカダンスな生活を享楽している学生たちへの糾弾のようにも思えるし、戦争に向かう負のエネルギーへの警鐘のようにも受け取れる。
経済の混迷と虚脱の中から生まれた真実の作品は、人々に苦悩を与える。
だが、徹底的に批判、否定することによって、偽善を許さない強さが見られる。
この映画は、ロバート・レッドフォードのアメリカ国家、あるいは世界に向けて発信した表現者としての最大限の革命であったのかもしれない。

2007年(米)、2008年(日)公開
【監督】ロバート・レッドフォード
【出演】ロバート・レッドフォード、メリル・ストリープ、トム・クルーズ

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2008.10.08 05:06:32
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