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吟遊映人 【創作室 Y】

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2011.03.01
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カテゴリ:映画/アクション
「私のせいなんです」
「何が?」
「彼の辞職のことです・・・私がくじけたからなんです」
「違うよ。自分を責めるな」
「でも・・・警官の妻になる資格はありません」

ちまたに溢れる刑事ドラマのどれも、何やらどこかで見たようなシーン、聞いたようなセリフ、知っている筋書きで、半ばうんざりしてしまうことも少なくない。
本作「ダーティーハリー」は、そんな刑事ドラマの本家本元、全てはここから始まったのだと言っても過言ではない。
この作品に出て来る様々なシーンが、その後の刑事ドラマで度々模倣されることになるのだ。
「ダーティーハリー」は言わずと知れたクリント・イーストウッドの出世作であり、この作品に出演したことにより一躍有名となった、言わばクリント・イーストウッドの当たり役である。
第一作目の「ダーティーハリー」は、当時アメリカ社会を震撼させたゾディアック事件(※)をモデルにした内容となっている。
※サンフランシスコで起きた連続殺人事件のこと。“星座”と名乗る人物が、警察や新聞社に自らの行為を電話するなど、愉快犯による猟奇的殺人事件。いまだ未解決事件である。【ウィキペディア参照】
一方で、ピーター・フォーク主演による「刑事コロンボ」が大ヒットしたのもこの頃だ。(しかし「刑事コロンボ」はTVドラマである)
吟遊映人の好みは断然「刑事コロンボ」であるが、本来のアメリカ映画を愛する通の方々は、やっぱり「ダーティーハリー」に軍配を揚げるのではなかろうか。
なにしろ「ダーティーハリー」は現代の西部劇と言っても差し支えないほど、銃を乱射するガン・アクション・ドラマとなっているからだ。

事件の発端は、プールで泳ぐ若い女性が撃たれたことであった。
サンフランシスコ市警のハリー・キャラハン以下警察官らは、手掛かりを求めて捜査に当たるが、犯人から10万ドルを要求する脅迫状に騒然となる。
犯人は殺人予告として、次は黒人か教会の牧師を狙うとのことだった。
その後、警察の必死の捜査にもかかわらず、第二の事件が起きてしまう。
犯人の予告どおり、次に狙われたのは10歳の黒人少年で、顔を銃撃され即死であった。

ハリーは、新人警官であるチコとともに、“さそり座の男”と名乗る犯人の行方を必死で追うのだった。

この作品に関する記事を閲覧していて初めて知ったのだが、アメリカには“ダーティーハリー症候群”というものが存在するらしい。
それは一体どういうものかと言うと、警察官が現行犯を前に、その場で正義の下に射殺してしまう行為に及ぶ精神状態のことだとか。
本来なら令状を取って逮捕し、入念な取調べの後は正当な裁判を受けさせるのが法治国家としてのあるべき体制なのだが、言わば一警官の独断と偏見による処刑行為のことなのだろう。
本作「ダーティーハリー」の影響力というのは、現職警官らの精神状態にも及んだのかと思うと、映画とは何て訴求力の高い、社会性を帯びた娯楽なのだろう。
本作が公開されて、すでに40年の月日が経過したが、今も変わらず楽しめて、若きクリント・イーストウッドを堪能できる、古き良き刑事ドラマなのだ。

1971年(米)、1972年(日)公開
【監督】ドン・シーゲル
【出演】クリント・イーストウッド

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2011.03.01 08:34:20
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