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吟遊映人 【創作室 Y】

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2011.05.04
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カテゴリ:映画/アクション
「(私を)どうする?」
「やっぱり君を・・・」
「逮捕する? 人権って何なの? 私が暴行された時の人権は? 妹が暴行された時の人権は? 正義は言葉だけ? 暴行犯を見逃すのが正義? 私の気持ちが分かる?」

吟遊映人の個人的な好みで恐縮だが、「ダーティハリー」シリーズ中、この4作目が秀逸に感じられるのはなぜだろう?
これまでアクション性の強かった「ダーティハリー」が、この4作目に来てにわかにテーマ性の強い作品に様変わりしたことは、長年のハリー・ファンにとっては一目瞭然の事実である。
本作「ダーティハリー4」のメガホンを取ったのは、なんとクリント・イーストウッド本人で、彼の表現したかった底知れぬ人間の暗い闇の部分が、遺憾なく発揮されているのだ。
このイーストウッド・カラーが鮮やかに表現されることになったのは、「マディソン郡の橋」や「ミスティック・リバー」をご覧いただければ納得するはずで、前者は不倫を、後者は性犯罪の絡む重厚なサスペンスを手掛けている。
「ダーティハリー4」は、正に「ミスティック・リバー」を予感させるような、暗く陰鬱で、人間の倒錯した性愛の一面に、真っ向からメスを入れているのだ。
この問題は実に根の深い、どうしようもなく人間的な悪性の強いもので、一筋縄では解決できない犯罪なのだ。

ある日、車の中で股間を撃たれて死亡している男が発見された。
サンフランシスコ市警のハリー・キャラハン刑事は、さっそく事件を解明するべく捜査を始めた。
ところがハリーは、強引な検挙や、現場での多額な損失損害を出すことから、半ば左遷的な意味合いも兼ね、田舎のサンポーロへと出張を命じられる。
そこで、サンフランシスコの怪事件に似た手口の事件が発生する。
そんな中、ハリーはひょんなことから画家のジェニファーというミステリアスな女性と出会うのだった。
20110504b

こういうテーマ性の強い作品を手掛けることで、必ず突き当たるのがラストのオチだ。

一体どういう結論を出すことで視聴者を納得させるのか。
本作「ダーティハリー4」は、必ずしも視聴者が納得のいくラストではなかったかもしれない。
あるいは、ラストに来ていきなりドラマ性が打ち出された感も否めない。
しかし、刑事でありながらその警察組織でさえ心底から信じていない、ハリー・キャラハンという一匹狼的キャラクターなら、こういう結果を出すことも許されるのかもしれないと、妙に理解を示してしまう自分もいる。
「ダーティハリー」シリーズ中、唯一、ファンにとっては踏み絵ともなる重厚なサスペンス作品となっている。

1983年(米)公開
【監督】クリント・イーストウッド
【出演】クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2011.05.04 12:34:21
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