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吟遊映人 【創作室 Y】

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2011.06.14
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カテゴリ:映画/ヒューマン
「健康が第一。私もさ、復帰した大川さんが作った福祉会館で頑張ってるんだからさ」

「フフフ・・・」
「何?」
「みんなそうやって繋がってるんだなぁって思って」
「弘平だってそうよ。ちゃーんと繋がってる」

本作「孤高のメス」は、サラリーマン向けのマンガである『ビジネスジャンプ』誌で連載されていた作品を元に、実写化されたものである。
主に、1980年代後半という設定でストーリーが展開されてゆくが、内容が内容だけにさほどの時代性は感じられない。
むしろ、今も昔も医療現場の裏事情や、脳死をめぐる問題など、なかなか一筋縄ではいかないことが伝わって来る。
患者第一主義を貫き、どんな圧力にも負けない孤高の医師と、その医師を取り巻くスタッフ、そして病院にかかわる市民たちの熱いヒューマンドラマに仕上げられている。

母一人、子一人の世帯で地道に生きて来た弘平は、今や新米医師として立派な社会人となっていた。
ところが看護師として働く母・浪子が急逝したことで、弘平は葬儀のために田舎に帰る。

遺品の整理をしていたところ、母が看護師として働く傍ら、日々の記録を書き綴って来た古い日記帳と、病院内のスタッフの写った記念写真が見つかった。
弘平は、自分がまだ保育園に預けられていた幼いころ、母がさざなみ市民病院に勤めていたころの足跡を、日記帳のページをめくって思いをめぐらせるのだった。

本作の主人公である当麻という外科医師に扮するのは堤真一だ。
キャラクター設定としては、ピッツバーグ大学で肝臓移植を手掛けた優秀な執刀医ということになっている。
堤真一の代表作として「ALWAYS三丁目の夕日」などがあるが、本人が役者としてその気になったのは35歳のころだそうで、それまでは何事にも意義を見出せない、自分さがしの時期が続いていたようだ。
学歴も高校をやっと卒業しただけの、輝かしいものとは程遠く、以前の堤なら、よもや自分がエリート医師の役など演じるとは思ってもみなかったであろう。
そう考えると、人生とはなんと数奇な運命を及ぼすものであろうか。
一方、夏川結衣は元モデル出身の女優さんだが、NHKテレビドラマでは常連と言っても過言ではない、正統派の役者さんである。
役柄としては、薄幸で病身なキャラクターが多いような気がするのだが、気のせいだろうか?
本作の見どころとしては、やはり脳死による臓器提供により、人命が救助されるまでのプロセスであろう。
だが、ここはあくまで冷静になりたい。
脳死=(イコール)肉体の死、と受け入れるか否かは残された親族の倫理観に任されている。
脳死の肉体は、それでも心臓が動き続けているのだから。

2010年公開
【監督】成島出
【出演】堤真一、夏川結衣、柄本明

また見つかった、何が、映画が、誰かと分かち合う感動が。
See you next time !(^^)





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最終更新日  2011.06.14 08:27:10
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