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2013.12.09
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テーマ:コラム紹介(119)
カテゴリ:コラム紹介
20131209
画像はSankei Photo


マンデラ氏の訃報にふれ、吟遊映人でもその死を悼む記事を掲載したが(コチラ)、新聞のコラムでも、連日マンデラ氏を扱いその死を悼んでいる。

あらためてマンデラ氏の偉大さを思った次第だ。
その中から佐賀新聞と神奈川新聞のコラムを掲載する。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【佐賀新聞 有明抄】
~虹の国~
元南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)の撤廃闘争を率いた同国初の黒人大統領ネルソン・マンデラさんが永眠した。95歳だった。世界の指導者からも畏敬の対象だった。
 
「マンデラの犠牲があまりにも大きかったために、世界中の人々は、人類の進歩のためにできることをしなければ、と駆り立てられた」。数年前に出版されたマンデラ氏の自著に、心酔する米国のオバマ大統領が序文を寄せている。
 
武力闘争の末の27年の投獄生活は想像するに余りある。だが家族の心配を和らげるためか、同著で紹介する獄中からの手紙にはユーモアも。「独房は自分を知るのに理想的な場所」と就寝前の瞑想(めいそう)を妻に勧めた。自分の欠点が見えるまでは10回くらいは試すようにと促し、「聖人とは絶え間なく努力する罪人なのだということを、決して忘れないように」。
 
この長い瞑想で悟ったのが、白人を許し、報復を戒めることだった。獄中に武力闘争を放棄し、白人政権との対話を提唱、1994年に選挙による政権交代を実現して大統領に就任した。
 
「黒人も白人も恐れを抱くことなく、人間の尊厳に対する権利に確信を持ち、虹の国を築き上げよう」。就任演説で多様な人種が共存できる国をそう表現した。式典には投獄中に知り合った白人の看守も招いた。「やられたらやり返す」とは程遠い人だった。
(12月8日)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【神奈川新聞 照明灯】

優しさに満ちた笑みが印象的だった。ノーベル平和賞受賞者であり、最も敬愛されたアフリカ人の一人だったともいえる。南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領が亡くなった。
 
享年95。長寿とはいえ、その人生を反アパルトヘイト(人種隔離)闘争にささげ、27年半は政治犯として獄中にあった。長く収容されていたロベン島では、粗末な食事や重労働に苦しめられた。
 
夜には「内なる敵」が忍び寄った。政府の卑劣な仕打ちが家族に及んでいないかという不安に襲われたが、差別のない国を目指す闘士は不屈だった。自著によると、妻に送った手紙に「暗澹(あんたん)たるときでも真実を見限ることなく、あきらめることなく何度も試み、愚弄(ぐろう)されても、屈辱を受けても、敗北を喫してもくじけない人に、栄誉は与えられます」とつづっている。
 
アパルトヘイト廃絶の実現を獄中から訴えた。釈放後、白人への報復を戒め、人種間の融和に尽力した。内戦ではなく選挙による民主的な国民統一政府の誕生は、アフリカ大陸の各国にも影響を与えた。
 
南アフリカ国民ならずとも、父のような偉大な政治家を失った悲しみは深い。世界各地で起きている紛争や差別の解決に向け、その高潔な精神や不屈の闘志が受け継がれることを望みたい。
(12月7日)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

両紙とも、氏を敬いその死を悼む気持ちが伝わってくる。人の尊厳に触れた、とても健全なコラムだと思う。

しかし、残念なことに、新聞社の中には、昨今の『特定機密保護法』にかこつけてマンデラ氏の記事を掲載していたところがあるのも事実だ。
法案成立以前、ことさらに「絶対阻止」を叫んでいた新聞である。手法はどこも同じで、前半にマンデラ氏の死を悼みそして功績を引き、後半でこう唱えるのだ。

「だから我々もマンデラ氏にならい絶対反対を叫び続けよ」

異口同音である。ただただ鼻白むだけだ。不健全なコラムの、人の尊厳に対して真摯にむかいあえない人々に、憐れみを覚え深い悲しみを抱くのだ。

それはそれとして、各紙のコラムを読み、私は中村元先生が書かれた一文を思わずにはいられなかった。

『みずからは正しい誓願を起していること。
これこそ人生に喜びと確信を与えるものである。高らかな誓願を立てていれば、挫折に屈することもないし、気のめいることもない。他人からとやかく悪口を言われても、誓願をもっている人なら、蚊のなくほどにも気にとめないであろう。
いかなる困難も誓願のまえには無にひとしいのである。』


著書「ブッタのことば(スッタニパータ) ~こよなき幸せ~」の解説文である。

マンデラ氏の、獄中での27年間も、釈放後の活動も、その基となり支えとなったのは、すべては氏の誓願によるものであろう。
マンデラ氏とは信じるものは異なれど、発露であることは間違いなく、またその「念い」は同じはずだ。

マンデラ氏の誓願を思い描きながら、今ふたたび哀悼の意を表し、衷心からの合掌を捧げる次第だ。南無阿弥陀仏、合掌。

20130124aisatsu





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最終更新日  2013.12.09 06:14:21
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