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テーマ:DVD映画鑑賞(13966)
カテゴリ:映画/時代劇
【桜田門外の変】
「関さん、何事ですか?」 「井伊直弼が大老になった」 「斉昭様をとことん封じ込めるつもりだ!」 年の瀬になると、必ず『忠臣蔵』が放送されていたのは、すでに昭和のことか? それに代わるものとして取り上げて良いものかどうか分からないが、お正月特番として『桜田門外の変』を放送したら、かなり視聴率をとれるのではなかろうか? 『桜田門外の変』は、吉村昭の同名小説を映画化したものだが、この歴史的事実が日本のその後を大きく変えることになる。 映画では、桜田十八士の一人である関鉄之介の視点によって描かれている。関鉄之介というのは、幕末の勤王志士で、水戸藩士である。(ウィキペディア参照)桜田門外の変では、実行部隊の指揮官を務め、この暗殺計画の全てに立ち会っている人物なのだ。 さらに、本人の性格的な几帳面さからか、事件の全貌を語る日記なども多く残しているようだ。 映画では、この関鉄之介役に大沢たかおが抜擢されている。なんとなく線が細く感じられるが、若い人にも歴史に興味を持ってもらうためには、このぐらい垢抜けた役者さんをキャスティングする必要があったのだろう。演技そのものは、可もなく不可もなくと言ったところで、作品全体に影響を及ぼすほどの鋭い演出は見受けられなかった。 舞台は幕末の江戸。安政の大獄による尊王攘夷派志士に対する弾圧が、過酷を極めていた。弾圧の首謀者は、大老井伊直弼。 水戸藩改革派の先鋒である高橋多一郎、金子孫二郎らを中心に、井伊直弼の暗殺計画を練る。 安政7年3月3日、関鉄之介は桜田門外において、井伊直弼襲撃の指揮を執る。見事その首をとることに成功した関鉄之介は、事件の全てを見届け、まずは薩摩藩を頼って逃亡する。だが門前払いされ、結局は故郷の水戸藩領内を転々と潜伏することになる。 映画では、水戸藩士が頼りにしていた薩摩藩の挙兵と、京へ上るまでの計画が不成功に終わり、失意のうちに次々と藩士たちが捕らえられていく悲哀が描かれている。 ドラマチックにするためには、このあたりの絶望的な状況をもっと過酷で壮絶なものとして表現すれば、あるいはクライマックスにふさわしいストーリー展開になったかもしれない。 吉村昭原作ということもあり、資料に基づいた、地味な歴史小説なので、その後の脚本化は大変難しかったことが想像できる。 これを『忠臣蔵』のような世界観にまで高めれば、『桜田門外の変』も大型時代劇ドラマと成り得るような気がした。 しかし地味ながらも、歴史に概ね忠実な作品なので、評価したい。 2010年公開 【監督】佐藤純彌 【出演】大沢たかお お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.12.25 05:53:17
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