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2014.09.08
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カテゴリ:映画/ヒューマン
【エデンの東】
20130902

「『カインは立ってアベルを殺し、カインは去って、エデンの東ノドの地に住めり』・・・お前も去れ」
「・・・そうだな。言うとおりだ。僕はよそへ行くべきなんだ」


この作品は言わずと知れたジェームズ・ディーンの出世作でもあり、初主演の映画である。
『エデンの東』におけるジェームズ・ディーンは、間違いなくスターとしての圧倒的な存在感をかもし出している。
あの上目遣いの、物欲しげな視線と言ったらどうだ?! 愛情に飢え、それゆえに反抗的な態度を取り続ける若者の、歪んだ心理を臆面もなく表現しているではないか。
青春の苦悩を、演技を超えた演技で、視聴者の心を鷲?みにするのだから、もう何も言えない。
だが、その神がかりな演技にも理由があった。
ジェームズ・ディーン自身に、不幸な生い立ちがあったことはご存知だろうか?
なんと母親を9歳の時に病気で亡くしており、無償の愛を注いでくれたただ一人の存在を失ってしまったのだ。というのも、父親はジェームズ・ディーンの誕生を喜ばず、その存在をずっと黙殺して来たという経緯があった。だからジェームズ・ディーンは、母親の死とともに、自分の存在価値も見失っていたに違いないのだ。
ウィキペディアなどによれば、苦学の末、カリフォルニア州立大学(UCLA)の演技科で学ぶものの、中退。
収入がないことからバイトに精を出すが、そこで知り合いになるのが某人物。この人物は同性愛者と見られていて、ジェームズ・ディーンをことさら可愛がる。
ジェームズ・ディーンにそういう趣味・嗜好があったかどうかは定かではないが、皮肉にも、この人物のおかげで住居をあてがわれ、CMや映画などの仕事を次々と紹介してもらうこととなるのだ。
余談が長くなってしまったが、そういう複雑なプロセスを経て『エデンの東』に望んだジェームズ・ディーンなので、彼の演技に欠点など見つけられるはずがないではないか。

ストーリーはこうだ。
舞台は1917年のカリフォルニア州の小都市サリナス。
広大な農場を経営するアダムは、双子の息子たちと暮らしていた。
双子の兄・アーロンは、父親譲りの潔癖なまでの真面目な青年、弟・キャルの方はどこか斜に構えた、反抗的な性格だった。
キャルは幼いころより、父親から愛されていないのではないかという悩みを持ち続けていた。というのも、父は兄のアーロンばかりを可愛がり、自分にばかり辛く当たることが多々あったからだ。
そんな中、キャルはもっと自分のことを知りたいと思った。
物心ついた時には母親は死んだと聞かされていたが、実はモンタリー郊外でいかがわしいバーのオーナーであることを知ってしまった。
母は水商売の女だったのだ。
こうしてキャルは、「自分が不良なのは母親譲りの血統なのだ」と信じ込むことになる。

一方、アダムはレタスを冷凍して東部へ輸送する計画に全力を尽くしていた。
財産のほとんどを氷を買うことに投資し、その氷で冷やしたレタスを貨物列車に乗せ、東部へと輸送することにしたのだ。
ところが東部の市場への輸送途中、トラブルに巻き込まれ、氷が全て溶けてしまい、レタスは売り物にできなくなってしまった。
キャルは、財産のほとんどを失ってしまった父親をどうにかして助けてやりたいと、先物投資の目利きであるウィルと共同して豆に投資をすることにする。
出資金は、自分を捨てて憎いはずの母親に頼み込み、用立てするのだった。

ストーリーそのものは、青春期における若者の苦悩とか、親子の確執をテーマにしたものだが、ネタ元はやはり聖書である。
「カインとアベル」の章を読めば、道徳的で倫理的にいろどられた内容をイヤでも納得することになるだろう。
『エデンの東』を見てつくづく思ったのは、何事にもほどほどが良いということかもしれない。
あれだけ真面目で平和主義者の兄・アーロンは、余りの潔癖さゆえに、実母が水商売女であることを受け入れられず、半狂乱に陥ってしまう。
対する不良の弟・キャルは、愛情には飢えつつも、適度な要領の良さを発揮して、上手く人間関係に立ち回っている。
結局、兄の恋人のアブラでさえ、キャルの烈しい性質を恐れながらも惹かれてゆくのだから。
ジェームズ・ディーンの異彩を放っている『エデンの東』は、正に、若者たちにとっての青春の象徴なのだ。
アメリカ映画史上、必見の逸作である。

1955年公開
【監督】エリア・カザン
【出演】ジェームズ・ディーン、ジュリー・ハリス、レイモンド・マッセイ

20130124aisatsu





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最終更新日  2014.09.08 05:56:38
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