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吟遊映人 【創作室 Y】

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2024.04.27
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【キュア〜禁断の隔離病棟〜】

『我々は病んでいる。病が胆汁のように込み上げ、喉の奥に苦いあと味を残す。テーブルを囲む皆が病んでいる。だが我々は認めないのだ。体が心に反してこう叫ぶまで。私は病気だ!』

昔はとにかく日本人の働きすぎる民族性を海外のメディアから非難されたものだ。
例えば、都心の通勤ラッシュ時の満員電車なんか、今でこそ外国人観光客に面白がられ、インスタなどにアップされているけれど、昔はこの模様がかなり深刻に受け止められていたのだ。
余談だが、学生時代、午後の講義を受けていると、先生の単調な話が子守唄となり、大半の学生が船を漕ぎ出す(笑)
すると先生が苦笑いしながら「君たちにもシエスタが必要だなぁ」と言ったものだ。
シエスタ(※)とは、スペイン発祥の昼休憩を指す時間帯のことだが、日本の昼休憩が約1時間であるのに対し、スペインはなんと3時間なのだ⁉︎
※シエスタの慣習は、EU統合により廃止の傾向が見られる。(Wikipedia参照)
もちろん、その国の持つ歴史的背景とか文化があるので、シエスタが良いか悪いかは一概には言えない。
ただ、そうは言っても働きすぎることで、人には様々な弊害が生じるのは否めない。
(例)過労死・家庭不和・精神疾患・自死etc・・・

そんな折、amazonプライムを検索していたら、『キュア〜禁断の隔離病棟〜』という作品を見つけた。
これは正に、冒頭からして過労死に対する警鐘かと思った。
と言うのも、ウォール街のさる金融商社で、深夜まで働き詰めのビジネスマン(モリス)が、心不全で倒れるシーンから始まるからだ。
あらすじは次のとおり。

ウォール街の大手金融会社のエリートビジネスマンであるロックハートは、取締役会から呼び出しを受ける。
そこではロックハートの不正を追求されるのだが、警察に突き出さない代わりとして、ある条件を突きつけられる。
それは、スイスに行ってCEOであるペンブロークを連れ戻すというものだった。
ペンブロークは休暇療養のためにアルプス山中にある療養所に入所しているのだが、会社には戻らないという手紙を送って来たのである。
ロックハートは、CEOを連れ戻すのなら彼と親しくしているモリスの方が適任であると答えたところ、そのモリスが心不全で亡くなったと一蹴される。
仕方なくロックハートはスイスへと旅立つ。
スイスへ向かう途中、ロックハートは幼い頃のことを思い出す。
かつて、パリパリの金融マンだった父は、心労による精神の崩壊で、車内に幼いロックハートを残したまま橋の欄干から飛び降りてしまった。
そんな父の最後を目撃していながらも、皮肉なことに、自分も同じ道を歩むことになってしまった。
毎日が仕事漬けでまともに睡眠も取れず、青白い顔をしているロックハート。
スイスに到着してさっそく山奥にある療養所に向かうが、タクシーの運転手からその施設にまつわる言い伝えを聞く。
それは、200年程前にはバロンという貴族の城があって、高貴な血を絶やさないようにと城主は妹と交わっていたというのだ。
近親結婚を忌み嫌った村人たちは、バロンとその妹を火炙りにするという忌まわしい出来事のあった場所こそが、その療養所のあるところなのだと。
さらには不思議なことに、その療養所に行く者は年間に何人もいるが、そこから出て来る人はほとんどいないというものだった。
ロックハートは一抹の不安を覚えるものの、とにかくNYの本社へとCEOを連れ戻さねばならないと思うのだった。

この作品そのものは、かなり評価の分かれるものだと思う。
私も一回見ただけでは上手く消化できず、せめてもう一回見てから記事を書きたいと思ったぐらいだ。
とは言え、娯楽であるはずの映画を小難しく考えるのも意に沿わないので、私なりのざっくりとした感想を書き留めておくことにした。

この作品はおそらく、〝仕事のし過ぎには気をつけろ!〟と言いたいに違いない。
あと、〝怪しげな健康飲料(水)には手を出すな!〟とも受け取れる。
監督であるゴア・ヴァービンスキーは、日本のホラー映画である『リング』をハリウッド版にリメイクした人物でもあるので、『キュア』のカテゴリにはずいぶんと悩んでしまった。
で、結局のところ【サスペンス&スリラー】として分類してみた。(でも本当のところは【ホラー】にも当てはまる)
独特のムードがあって、場面ごとに闇を感じさせるのに、ストーリー展開が追いついていない。こういうのを支離滅裂とでも言うのだろうか。(ごめんなさい)
なぜなのかは不明。脚本がイマイチなのか?
素材が良いだけに、ものすごく惜しいような残念な気持ちでいっぱいだ。



(ネタバレごめん)ラストのロックハートとハンナが療養所から自転車で逃げるシーン。
2人は自転車をこいで山を下りるのだが、シビレを切らしてCEOを迎えに来た会社の役員連中とバッタリ遭遇してしまう。
その役員らはロックハートに自分たちと一緒に戻るよう命じるのだが、それを断り、ハンナとともに走り去って行く。
このシーンは、私には決して清々しいものには感じられなかった。
多くのレビューでは、ロックハートが笑顔で走り去ると捉えているが、私にはそうは見えなかった。
古い映画だが、ダスティン・ホフマン主演の『卒業』を見たことがある人なら、私の言おうとしていることに理解を示してもらえるかもしれない。
ダスティン・ホフマン扮するベンジャミンが、式場から花嫁であるエレーンを連れ出すあのラストはあまりにも有名だ。
その後、嬉々として路線バスに乗り込むものの、ふと我に返ったベンジャミンは、虚な表情を見せるのだ。
それはまるで、将来への漠然とした不安を暗示させるものなのである。
私には、ロックハートがハンナを連れて逃げ出すこの一連のシーンが、どうしても『卒業』のラストと重なって仕方がないのだ。



2017年(米)(独)公開
【監督】ゴア・ヴァービンスキー
【出演】デイン・デハーン、ジェイソン・アイザックス、ミア・ゴス






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最終更新日  2024.04.27 08:00:11
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