幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

2015/12/22(火)10:01

サンク・オ・ピエ、クリスマスディナー2015の詳細

 まずは、Amuse Fondant de foie grasアミューズ、フォアグラのフォンダン フォアグラと卵や生クリームと牛乳などをミキサーにかけて、塩胡椒とナツメグなどで味付けして、湯煎にかけて低温のオーブンでプリンのように火を通して良く冷やします。上に普通はコンソメをのせるのだが、今回は鶏ガラで取ったコラーゲンゼリーをのせてあります。良く焼いた鶏ガラで出汁を取りましたから、褐色で香ばしい味わいです。美肌に良いかもしれませんね! これには、クリスマスですからシャンパーニュ(イギリス王エドワード7世が好んだCharles de Czanoveというシャンパーニュを用意してあります)も良いですが、CAVE相川の相川さんが選んだのは、Alsace Pinot gris Grand cru Furstentum 2008 Rene Fleithアルザス、ピノグリ、グランクリュ、ルネ・フライトです。アルザスの特級ワインですね。熟成して丸みもあり、程よい甘味とコクがあり、蜂蜜の香りや花の香りでフォアグラの滑らかなフォンダンと見事に交じり合います。いきなり至福のマリアージュ!   続く前菜は、Terrine de poison et Homard, Coulis de homard白身魚とオマールエビのテリーヌ、オマールのクーリを添えて です。 オマールは、クールブイヨンで2分間ブランシール(野菜やハーブ白ワインなどを入れた香りのよいクールブイヨンで軽くゆでる)して氷水にとり冷やした後、尾の身やハサミの身や腕肉などを取り出します。殻や頭などはあとで炒めてから出汁を取りソースを作ります。 白身魚と卵白と生クリームでムースを作り、オマールの身を具材としてテリーヌを仕込みます。ソースは冷たいアメリケーヌソースのようなクーリ・ド・オマール。サラダを添えた前菜です。 合わせるワインは、ちょっと珍しいローヌの白でSaint Joseph Blanc 2014 Domaine Mucyn サン・ジョセフ・ブラン、ドメーヌ・ミュサン ルーサンヌというローヌ特有のブドウ品種100%のワインです。相川さんによれば、この2014年は独特のヴィンテージで突出してよい出来とのこと。アンズなど甘いフルーツの香り、まろやかな味わいで酸味も実に綺麗であまり樽をかけていないので、透明感のある果実味が活きています。白身魚のムースとオマールの味わいにとてもよく合いますね! 続くスープは、Consomme de Chevreuil d'EZO aux Cepesエゾ鹿のコンソメ、ポルチーニ風味 鹿という一歩間違えば、臭みやクセが出やすい肉でコンソメをひくのはとても難しいのですが、これは鹿肉の綺麗な味わいがうまく引き出せたと思います。ポルチーニは、別途コンソメで軽く煮込んで火を通してあります。鶏ガラと今回は仔牛の骨も使いだしを取り、それを濾して次の日に鹿の赤身肉をミンチにしてコンソメをひきました。ただの褐色の透明な液体ですが、ぜいたくな料理だと思います。これに合うワインもいろいろあるのですが、今回は皿数が多くワインもそれに合わせるので、コンソメにはワインは無しにしました。じっくりスープを味わって下さい。 魚料理は、Poisson du jour poelee sauce jus de palourde et au thym frais本日の白身魚のポワレ、アサリのジュのソース、フレッシュタイムの香り この魚は、3.5キロもあった銚子産の大きな平目。皮目はカリッと身はしっとりのいつものポワレにソースはロワール河口の白ワインのミュスカデでアサリを蒸し煮にしたジュを使ったもの。アサリの旨味と塩分とバターのソースです。そこにうちの庭の摘みたてのタイムを散らしてかぐわしい青い香りを添えてあります。これには、Muscadet Sevre et Maine Chateau thebaud 2009 Domaine la Pepiere ミュスカデ・セヴル・エ・メーヌ、シャトー・テボー、ドメーヌ・ペピエールもちろん相川さんのワインです。だしに使ったのはこの蔵の一番カジュアルなクラスで普通のミュスカデ、そしてこのワインはこの蔵の一番良い銘柄で、これね、、ミュスカデの味じゃないです。樽発酵で樽熟成もかけているので、まるでブルゴーニュのワインみたいな味がして、ブラインドで出されたらなんだかわからないでしょうね!ソースに使ったワインと合わせるワインが同じ蔵で作られた同じジャンルのワインですから、合わないわけはないですね!保証付きマリアージュです。相川さんがこの秋にこの蔵に行ってきたときに出された食事の魚料理がわりと似たような感じでこのワインがよく合ったそうで勧められました。もう相性はばっちりですね! メインは、Chevreuil ou Filet de boeuf et foie gras chaud sauce madere parfume truffe エゾ鹿のロースト 又は、牛ヒレ肉のステーキ、フォアグラのソテー添えトリュフの香りのマデラ・ソースです。 この画像は鹿肉のローストです。まあ、画を見れば説明の必要はないですね。美味いです。 ワインは、Chasagne Montrachet les Moichots 2013 Domaine Billardシャサーニュ・モンラッシェ・レ・ミショ、ドメーヌ・ビアーです。ブルゴーニュの赤ですね。このビアーという作り手は本当にきれいなワインを作る人で、このシャッサーニュ・モンラッシェも実ににきれいなワインです。やや若いのですが、十分に楽しませてくれます。白ワインが優勢な地域ですが、たまに珠玉のような赤ワインが出来るんです。相川さんに良いワインを選んでもらいました。 デザートは、Gateau au chocolat de VALROHNA Caraibe Grace au cafe ecru de AKAMOTO KO-HI- Petit mille-feuille au fraise , creme de Tira-mi-su ヴァローナ、カライブのガトー・ショコラ さかもとこーひー、カフェ・エクルのアイスクリーム イチゴの小さなミルフィーユ、ティラ・ミ・スのクリーム です。 ヴァローナのカライブは、フランス語でカリブのこと。カリブ海地域のカカオのトリニタニオという品種をただ一つで作られるショコラです。通常ショコラは何種類ものカカオをブレンドするんですが、ただ1種類というのはすごく珍しいです。このショコラはまさに王道的な味わいで、ナッティーな香りと程よい苦み非常にバランスが優れたとても美味しいショコラです。それで作った王道のがトーショコラと、さかもとこーひーのカフェエクルがまたカフェラテの王道的味わいなんです。このアイスクリームは卵を使わずにエクルと乳製品だけで作りました。以前さかもとさんに味わってもらったところ「これは美味い!」とお墨付きいただきました。イチゴのミルフィーユは皿の上で組み立てます。薄焼きのフィユタージュ(折パイ)とコアントローで和えたイチゴにマスカルポーネチーズ入りのクレーム・パティシエール(カスタードクリーム)です。 これには、もちろん さかもとこーひーのサンク・オ・ピエクリスマスディナー専用ブレンドです!コロンビア・エルディビソ、ケニア・キイ、グアテマラ・エルインヘルト・トラディッショナル、グアテマラ・エルインヘルト・パカマラ という豪華絢爛なオールスター的豆の配合です。もちろん味わいのバランス、香りの良さ、絶妙な酸味の具合などデザートに合うこと最高です!こーひー単体でもゆっくり味わうと、さらに食後の楽しみが広がりますね!さかもとさん、今回も素晴らしい仕事でした。ありがとうございます。 今年のクリスマスディナーは、予約数が史上最多の78名になりました。ありがとうございます。 なお、サンク・オ・ピエの年内のご予約受付は終了しております。新年は、1月5日のディナーから営業いたします。  

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