カテゴリ:シェフの雑記帳
これはクリスマスディナーコースのエゾ鹿のコンソメポルチーニ茸入り これはプレクリスマスコースの前菜のフォアグラと黒豚のパテ・アン・クルート
昨日は定休日で今夜はご予約のお客様のみの営業で今年は終わりです。19日から始まったクリスマスディナーは、19日に15名、20日に14名、21日は定休日、22日に9名、23日に14名、24日に13名、25日に13名と全部で78名とたぶんサンク・オ・ピエ史上最多クリスマスディナーのお客様でした。ありがとうございます。 数年前からホームページに12月だけは予約状況がわかるカレンダーを掲載していて、12月24日や23日と19日の予約は1日の時点ですぐにいっぱいでした。そのほかの日もじわじわ埋まり、12月半ばあたりで年内の予約は締め切りさせていただきました。特にクリスマスディナーは、80名近くなってちょっと怖くなって止めました。ホームページにカレンダーを作ったおかげで、予約がいっぱいの日に予約を取りたい方からの電話やメールが減りました。それをやる前は、クリスマスイヴなどは、受けた予約のはるかに多いお客様をお断りしてました。毎年軽く百人はお断りしてたでしょうね!客商売ですから、お客様をお断りするというのは結構ストレスです。中には、「クリスマスイヴは?」「申し訳ありません満席です。」「23日は?」「23日も満席です。」「じゃあ何日はなら空いてるんだ!」なんて、切れる方もいたりして、、、。カレンダーのおかげでそれも少なくなりました。それでも、クリスマスイヴ当日に「今日空いてますか?」なんて、電話が数件はきますね。空いてねーですって。(笑)クリスマスイヴに予約で埋まらないフレンチレストランなんて早晩閉店ですよね。 なにしろ、お一人一万円もいただくコースですから全部の皿を完璧に仕上げなければいけません。失敗は許されないので、その日に使う食材のスペアも一切用意しません。サンク・オ・ピエでは、普段は10名以上の予約は受けないのでクリスマスの13名とか14名というのは、特別な人数なんです。 クリスマス期間中は、朝は8時か9時ころから店に入って仕込みを始めます。アミューズのフォアグラフォンダンは朝一に仕込んでよく冷やしておかねばなりません。デザートのミフィーユのカスタードクリームもやはり早めに作って冷やしておきます。それにデザートのガトー・ショコラとカフェ・エクルのアイスクリームも作ります。 サラダ用のレタス類などもよく洗ってちぎってから水を切って冷やします。サラダに使う、蕪やニンジン、ビーツや紫キャベツのマリネなども用意します。魚料理に付け合わせるブロッコリーをゆでたり、肉料理に付け合わせるジャガイモや蕪やニンジンの用意、魚料理のソース用のアサリのジュの仕込み、肉料理用のトリュフ風味のマデラソースの用意。などなど、やっているうちにすぐに午後4時くらいになります。ここで昼食。遅いのですが、私たちは、お客様に常々お昼を召し上がっていただき、お客様がお帰りになるのがだいたい15時過ぎです。それから片付けて自分たちの食事なので、いつもお昼ご飯は、16時ころになるんです。パスタやうどんなど麺類が多いですね。たまにカレーなんかも食べます。食後少し休憩いれて、17時前くらいから再始動、予約の内容を確認して、人数分の魚や肉やフォアグラの切り出しをします。この時に失敗した時のために普通だったら2~3人前多めに切っておいたりするのでしょうが、私の場合は人数分ぴったりしか用意しません。 さて、18時に開店時間なるとお客様が続々といらしゃる。特に23日は18時に12名スタートでしたね。始まると、集中を高めてとにかく正確な仕事をすることですね。打席に入ったイチローやキックの前の五郎丸や立ち合いの白鳳ほどではないでしょうが、それに近い状態じゃないでしょうか、、、。しかも、作った料理はクリスマスディナーの場合すべて私がテーブルまで運んで軽く説明します。その時の厨房では結構険しい顔しているはずですがその顔のままお客様の前には出るわけにいかないので、切り替えが大変です。なんだかんだで一番疲れるのは脳だと思います。元々、私は仕事を力ではなく、技で片づけるたちなので筋力よりも脳力を使うほうですからね。 この期間中は、どうしてもマダムと二人きりでは回らないので、皿洗いにヘルプに来てもらいます。初日は私の友人のシニアソムリエの奥さんが来てくれました。2日目は娘が、22日は予約が9名だったので二人でやって、23日はそのシニアソムリエの高山君がなんと皿洗い!都内の大きな店の支配人をしているソムリエが皿洗いという贅沢!(笑)24日はまた娘が来てくれ、25日はマダムの母のグランマダム?が来てくれました。皿数が多いコースですから、一人当たり細かい食器も入れると皿やカップやソーサーやナイフフォークやスプーンなど30点くらいの食器を使い、ワイン飲む方にはさらにその分のワイングラスが出ますから、それを洗うだけでも大仕事なんです。ですから、皿洗いに来てくれるととても助かります。高山夫妻、娘とグランマダムありがとうございます!! その高山君が、「これだけの料理をこの人数分シェフ一人でこなすなんて、うちのスタッフに言っても絶対誰も信じないでしょうね!」と笑ってましたが、自分でもよくまあやり遂げたもんだと思います。創業2~3年目の一番苦しい時などはひと月やってもこの6日間の売り上げに追い付かない時がありましたからね。つまり、暇な時のひと月分の売り上げを6日でやるわけですから、そりゃ尋常じゃないですよ。綿密に精密に準備して一部の隙もなく整えないとできることではないですからね。 ディナーが終わった翌日も10名の貸し切りがあり、クリスマス期間中は普通のコース用の料理は一切用意してないので、通常営業用の料理の仕込みをまた全部しなければならないのでこれも結構大変でした。 まあ、料理の評判も良く皆さんにこやかに帰って行かれたので一安心です。 ほっと、一安心。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 29, 2015 08:30:45 AM
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