クレオパトラの夢

　先日、うちの近所で樹木の花のいい香りがして、沈丁花？　金木犀？　どっちが春でどっちが秋だっけ、という風に考え込んだ植物おんちな私です。どちらも美しい名ですよね。響きも文字づらも。
　そのうちアッというまにいい香りもしなくなりました。短いですね。

　美しい名で連想する花がもう一つ、｢御衣黄｣。
　緑色の花を咲かせる桜です。
　ある国立公園で見ました。いや、見せてもらったというのが正しいでしょう。その公園では御衣黄があるなどという広報はしていません。広報するとすぐ持ち去る不逞の輩が現れるからです。お願いして見せてもらいました。折りしも桜の季節。その桜はほかのものと混じってひっそりと花を咲かせておりました。決して特別な場所にではなく、道路沿い、誰でもがすぐに触れられるところに植わっていたのにはちょっとビックリしました。桜を隠すには桜の中？　ちっちゃくて花びらのしっかりした美しい桜です。何よりその不思議な花の色に魅せられます。