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カテゴリ:現場から
現在、巷には様々なトレーニング方法論が出回っている。
十人十色の言葉の通り、人間の身体は人それぞれであるがゆえに、各個人にあったトレーニング方法を選択することが出来るようになったという面では非常に良い状況にあるといえる。 しかし、ここで注意しなければならないポイントがある。 それは、我々指導者が一つの方法論に固執しすぎてはいけないということである。 現在の日本では、スポーツやトレーニングの指導に関して統一された明確な資格がないといっても過言ではない。従って、多くの指導者は、自分の指導の拠所となるべき一つの方法論に固執しやすい傾向にある。極端にいえば、自分の支持する方法(論)以外は全てダメなトレーニングであるという訳である。 以前、ある若いパーソナルトレーナーと話をしたことがある。彼は非常に優秀なトレーナーであったが、決してクライアントに恵まれているという訳ではなかった。なぜなら、彼は一つの方法論に固執しすぎていたからである。 彼が、支持していた方法論は非常に素晴らしいものであった。しかし、彼は全てのクライアントに対して、常に同じスタンスでその方法論に基づく指導を行なっていた。それが、時としてクライアントの意に沿うものではなかったのである。 つまり、彼の支持していた方法論に基づく指導がクライアントの(身体、意識)レベルを超えたものであったのだ。クライアントの中にはただ単に身体を動かすだけでいいという人もいる。その人にとっては、彼の指導は高度すぎてしまったのである。厳密にいえば、高度すぎてしまったという訳ではない。クライアントのトレーニングに対する意識がそこまで達していなかっただけなのである。いい換えれば、その人の意識レベルに合わせて指導方法を工夫すれば充分に受け入れられるのである。 彼の習得していたテクニックや知識は非常に高度なものであったが、彼にはそれをカスタマイズするテクニックがなかったのだ。 彼の相談を受け、私はその旨を伝えた。 彼は、その後、その方法論をベースに様々なトレーニング方法を融合させ、あらゆるクライアントに対して対応できるようにトレーニング方法をカスタマイズしていった。自ずとクライアントの数も増加した。そして、一流のパーソナルトレーナーになっていった。 私のアドバイスで彼は一流になったのだが、当の私はいまだに三流トレーナーから抜け出せずにいる・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.05.30 23:09:52
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