あなたを忘れない…26yearsDiary &光州5・18
この夏、いくつかの映画作品を鑑賞しました。最初は、「光州5・18」1980年5月、韓国・光州市で起こった悲劇…軍事クーデターによって権力を握った勢力側の戒厳軍が、民主化を要求する学生らと衝突。軍の弾圧は多くの市民をも巻き添えにした。パンフレットに掲載された資料では、当時の日本の各新聞記事が紹介されているが、「光州暴動」と言った見出しが掲げられる等、民衆が悪いかのような論調であった。当時の韓国内ではマスメディアの情報操作により、その悲劇は正確に伝えられることもなく真実は闇に葬られようとしていたが、海外メディアの外信により事件は初めて公にさらされた。一般市民が、なぜ武器を手にしたのか…、何のために闘ったのか。しっかりと納得しながら観ていました。愛する人のため、自分自身の(平和への)正義のため、行動をする勇気を学びました。 * * * * * * * * * * * * * * * * 次に観たのが…「崖の上のポニョ」まぁ、これについては、誰もがよくご存じで…コメントは省きますね。(笑) お次は…靖国[YASUKUNI]。三重県では上映館が見つからず、市民団体の自主上映の形で、上映されました。一日限りという開催で、一日三回上映の券がほぼ完売!僅かな当日券を求めて、多くの方が行列をつくっていました。「靖国問題」をテーマに制作されたドキュメンタリー映画で、淡々と、靖国神社での様子等が切り取られ、映し出されている。敗戦記念日(…終戦記念日,解放記念日)の日の境内の様子を中心に、「靖国刀」を作り続ける刀匠との会話や、遊就館のこと…。合祀の姿勢は、個々の意思ではなく神社側の考えで決めるといったこと等。小泉元首相がさんざん「心の問題」とやらを力説されていましたが、「民衆の心」は靖国では無視されていることがよく解りました。 * * * * * * * * * * * * * * * * 続いて、「あなたを忘れない」です。(※これはロードショーで観た訳ではないので悪しからず)某DVDレンタル店のセールで、物色中に、ふと目に飛び込んできたのが、「2001年1月26日の新大久保駅でのホームからの転落死亡事故の実話をもとにした映画」…「あなたを忘れない」だったのです。韓国からの留学生、イ・スヒョンの姿を追う形で、ストーリーが展開します。彼が、音楽(ギター)とスポーツ(バスケやサッカー)を愛する普通の二十代の青年ということや、26歳で生涯を閉じたという点が、尊敬する私と同い年だった故尾崎豊さん(享年26歳)とも重なり、とても興味深く鑑賞しました。キャストを見ると、マーキーさん(通称、ハイカラのボーカル)さんが出ていることも知り、即買いでした。(※私が大好きなドリカムの中村正人さんとご結婚されたという話題もありましたし…。)とにかく、彼の生き様から、終盤のホームへと飛び降りる場面は、やはり必然でした。「なにやってんの!皆さん!助けなきゃダメでしょ!」と実際にはセリフには無かったのですが、私には、彼が叫んでいるように聞こえました。事故の後の母親の声…母親シン・ユンチャンさんの「息子は普通の事をしたまでです」というお話にもつながります。たくさん泣きました。そして、たくさん考えました。韓国では日本へ…に限らず、アメリカに対してでも、中国に対してでも、「おかしい」と考えるような行為に対して抗議行動(デモ)で示すことがあります。それをともすれば、過激だと捉えてしまいがちですが、人助けの際にも行動が出来なかった日本人たちと…どちらの姿勢を主軸に据えると世の中が良くなるのかなとも、感じました。先の「光州5・18」でも、普通の市民たちの立ち上がりに触れましたが、日本人が、主張しないという美学が、世の中を…例えば…戦争へと…少しづつ駒を進められている現状に「NO」と言えない…つながっていませんか。対アジアへの友好関係においても、問題発言頻発してきた、阿倍元首相や麻生等が、政府や内閣の主要なポストに座ることがいかにアジアの人たちの心的外傷を与え続けてきているか!また、あれこれ、考えさせられました。今回は以上にしておきます。以下は、あなたを忘れない公式ホームページから抜粋です。よかったらお読みください。 * * * * * * * * * * * * * * * * 【参考資料】◎日韓合作の理由 イ・スヒョンさんを描くにあたって、日本に就学してくる前の韓国での生活もあり、またそれらのシーンは全て韓国俳優による韓国語のセリフのシーンであり、技術的にも韓国スタッフ、キャストとの合作であらねばならない。また、製作の趣旨そのものが、映画制作という作業、現場を通して日韓が「民」のレベルで「何かに」共感し、それを共有できればということでもあった。 ◎故関根史郎さんについて まずこの映画はあくまで過去に祖父と父が暮らした日本を知ろうとして留学した韓国青年を題材とした青春映画という事を申しておきます。 ラスト近くの1シーンで2001年1月26日の新大久保駅の件が出てきます。このシーンを制作上、御報告を関根さんサイドにお願いしてきましたが、なにぶんにも「そっとしておいて下さい」という事だったので、それ以上御無理な取材等のお願いは差し控えました。ただ私どもと致しましては、日本人も一緒に懸命に救助したという事実を必ず残さなければいけないと思いました。 御遺族にとっては本当に辛い事だったと思います。ですから関根さん、また御遺族のお名前がマスコミ等に取り扱われる事を最小限になるよう配慮致しました。 ★決して韓国よりの美談ではない 私たちは事故当時「美談」「英雄談」として報道、認知された実際の事故を母親シン・ユンチャンさんの「息子は普通の事をしたまでです」という言葉、姿勢に触発され脚本を書く段階でピュアで素朴、且つ本当に普通の青年だったイ・スヒョンさんに取材を通して出会い、そうした人間性、魂を大切に描きました。彼が線路に飛び込もうと思った時、落ちた人が日本人だから、韓国人だからとは思わなかったはずです。したがってキャスティングも出来上がったスターではなく無名に近い、色のついていないイ・テソンさんに決めたのです。 ★当たり前の行為だが万人が出来る事ではない もちろんイ・スヒョンさんの行動は人間としては万人に出来る事ではなく、まして外国での事。家族や大切な人以外同じような行動が取れるでしょうか?私たちは普通に心を打たれたわけです。 ★日韓問題等の政治的な映画ではない 映画に描かれているようにサッカーワールドカップの日韓同時開催を巡っての話題も含めまだまだの頃。映画は所詮映画であり、政治的云々など製作側にあるわけもなく、見た方々がそれぞれの解釈をすればいいと思っています。つまり、政治的な映画だと思えばそれはそれで、その方の中でそのように消化するのだろうし。という風に考えています。以上。