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佐野洋子著、2008年4月新潮社刊、1400円+税。
号泣、というのとは違うが、かなりホロホロと落涙し続けました。移動の公共交通機関や喫茶店で読んだので、他人様からジロジロ見られて、ちょっと困ったほど。 内容としては、「波」誌に2006年1月号から2007年12月号まで連載された、佐野洋子(「100万回生きたねこ」が有名)が、「ずっと好きでなかった母さん」シズコさんの壮年期から死までを書いたエッセイであります。が、やっぱ佐野洋子、めっちゃ文学だす。 佐野洋子とシズコさんとの関係は、あまり良好とは言い難いのだが、高級老人ホームで暮らすシズコさんがはっきりとぼけた時から、和解に向かう。それまでもそこからも、母子って、しんどくも切ない。 アタシも我がママと「母一人子一人」、年がいってからの子どもなので、同級生のお母さん方よりかなり年上だったせいか、他の子達よりけっこう仲良し母子だと思うのだが、そこはそれ実の親子の遠慮なさ、時には本気でムカつくこともある。まぁ、一般的な親子関係っちゃー、そうなんだろう。 だから母子の相克については、そんなこともあるのか、というカンジだが、我がママが、早くになくなった母親とあまり相性がよくなかったようで、似たような話を時々聞かされたことがある。こういう風だったのかもなぁ、とぼんやり思ったが。 ではなんで泣かされるかと言えば、母親が「老いていく」というコトを、頭(=理性や知識)では分かっているのだが、心と情がついて行かないのが、めっちゃ身につまされるからだ<アタシの場合。 また、佐野洋子の姉妹関係がーやっぱ性格って、長女とか次女とか末っ子とか、立場に規定されるのだろうかー我がママんとこの姉妹関係とうり二つで、しっかりしているようで搾取される佐野洋子の長女気質が、我がママのコピーのようで、劇中劇っていうか、またそれが我がママの姿とダブり、涙を絞られる。佐野洋子の姿が、我がママとも、我と我が身とも見えるのよー。 なんだか、凹むような、励まされるような、不思議な本である。学生時代に読んだ「うそばっか」という、童話集の佐野流解釈小説を読んで以来、その距離感は近くなったり遠くなったりしながらも、好きだからな、アタシ、佐野洋子。 ご自身も乳ガンが再発し、闘病中だと聞く。多分佐野洋子らしい経緯をたどるのだろうが、命長らえて、もっと文章を書いて欲しいと祈らずにはいられない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年05月27日 16時47分15秒
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