新国立劇場 椿姫
日曜日の午後は、新国立でオペラ・椿姫を見てきました。 人気の演目とあって、いつもよりも客席に若い女性が多かったような気がしたのは気のせいでしょうか。華やいだ感じがして、なかなか良い雰囲気でした。 さて、肝心の舞台のほうですが、タイトルロールのパトリツィア・チョーフィは、ヴィジュアル的に役柄にぴったりで、出だしはちょっと声が苦しそうだなと思ったのですが、段々、病気の主人公にぴったりになってきて、なかなか良かったと思います。 また、アルフレード役のテノールは韓国人だったのですが、なかなか甘い声で悪くなかったですし、ジェルモンは、この前のMETLIVEでジャック・ランス役をしていたルチオ・ガッロで輝きはともかく安定感はありました。 ちなみに、ルチオ・ガッロは、去年の新国立のオテロのイアーゴ役もしていてこれは素晴らしかったですし、ドン・ジョバンニのタイトルロールもしいてたので、なんだかなじみが出てきました。 一時、ジェームズ・モリスばかり出てくるなと思っていたので、こういうことにも波があるのでしょうか。 演奏ですが、実をいうとそれほど良い感じがしないなと思っていたら、最後に指揮者だけブーイングを浴びていました。 新国立であれだけはっきりしたブーイングは、ニーベルングの指環のエッティンガー以来だと思いますので、かなりひどかったのでしょうか。 素人の私には、そこまでするほどではないような気もしましたが、同じ位の素人の妻は、四重声を合わせるはずのところが、全く合わずにグダグダで酷かったと言っていたので、正当な評価なのかも知れません。 筋立てについては、多少、ヴィオレッタを美化しすぎの感もありますし、メロドロマそのものですが、原作もあるのでそれほど酷い感じにはなってません。 ただ、粗筋を予習して行かないと、第一幕目でヴィオレッタが社交界の花であることが強調されすぎていて、それが「裏」社交界であること、つまりは高級娼婦であることが明示されないので、第二幕目で、ジェルモンがヴィオレッタに言う、アルフレードとヴィオレッタが神に祝福された結婚ができないことや、アルフレードとヴィオレッタが一緒に暮らしているだけでアルフレードの妹の縁談が破談になるというところの意味が分からないかも知れません。 一応、全体としては、まあまあだったのではないでしょうか。椿姫 ヴェルディ指揮:広上淳一演出:ルーカ・ロンコーニヴィオレッタ:パトリツィア・チョーフィアルフレード:ウーキュン・キムジェルモン:ルチオ・ガッロ