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Oct 11, 2010
テーマ：韓国！(17273)
カテゴリ：映画
今回釜山国際映画祭で
脱北者が登場する映画を2本観たが... なかなか対比できる、され得る内容だった。 まずは チャン・リュル／張律監督の『豆満江／Dooman River』（2010年10月10日観賞）。 冬に凍る豆満江を渡り 脱北してくる者が後を絶たない、国境の街。 朝鮮族が多く住む中国内のその町は 脱北者が来るようになってすっかり変わってしまったと大人は嘆く。 じっさい家畜を盗むために豆満江を越え 闇の中家畜を背負ってもどっていく者もいて... 静かで穏やかだった朝鮮族の暮らしが脱北者によって変わって行くのが見える。 そんな国境の町で 祖父と口の聞けない姉と暮らす12歳の少年チャンホは 病気の妹のために食料を求めて北から渡って来た少年チョンジンと無邪気に遊び、 食べものを分け与え 今度はサッカーの試合をしようと約束をするが... 脱北者を受け入れる、国境に接した街のリアルな想いが伝わり 韓国内の脱北者を描く作品とは コインの裏と表のように隔たりがあった。 あるいは、 両者を観ることで 裏と表を知り、像が立体的に現実的に立ち上がる感も受ける。 じっさい、上映後のQ&Aで若い韓国の観客が 『ヨドク・ストーリー／Yodok Story』（ヨドク収容所の話）を知っていますか、 と監督に問いかけ 脱北者に対する労りの情を見せていたのとは 対照的な作品にもみえた。 韓国の観客のなかでは 収容所や苛酷な環境から逃れた 政治的に悲劇を背負った脱北者がイメージされ、 自身も朝鮮族出身の監督のなかでは 国境で、吉林省で、豆満江で接する、生活に密着したリアルな脱北者の貌と 生活者としての接点があって 両者の認識にギャップがあるように感じられた。  それは... 豆満江という川を越え橋を渡り 近づきそうになるけれどまだ遠い 朝鮮族の人たちと北朝鮮の人たちの間にあるギャップとも重なりオーヴァーラップする。 川と橋が 隔てと結びつきの両面性をもって映画の中央に位置している。 おなじ川、おなじ橋に こちらから、あちらから さまざまな思いが込められている。 橋を渡って北に帰りたいというおばあさんにとっては 橋の向こうは昔のままで、 ここよりも素晴らしい場所。 憧れや期待や懐古や... その中で交差する出会い、疎通する思いもあれば すれちがい、対立したままの思いもあり... もしかしたらどこの世界でもどこの国境でも起こり得る普遍的な情景に思えたりもするが...。 そんななか、 子どもはただひとつのボールを追いかけ 豆満江も橋も国境も関係がないかのように遊ぶのだが... サッカーの試合をするという約束、 約束を守ると言う誠実さを果たしきれないと知った時 絶望した子どもは本能的にそれを命をかけても守ろうとし... 子どもを追い詰めたのは大人だった、という悲劇。 その悲劇の瞬間 チャンホの姉、口が聞けないはずの彼女が 啓示を受けたかのように叫ぶシーンが痛ましさを増す。 セリフは少なく 感情の表出も少なく 凍った川の風景と傷ついた魂について 余情を残す作品。 とくに窓枠からの 村のさびしい風景が朝鮮族の心象を映し出しているかのよう。  2004年から脚本を書きはじめたと言うチャン・リュル／張律監督。 今作で演じたのは俳優ではなく延辺に住む村人たち。 実は村人たちはシナリオを見ていない。 監督は、 シナリオはない、と言いながらワンシーンずつ撮っていったそうだ。 最終的に映画としてできあがった作品を 村人たちはどう考えたか、 村人たちの目に真実として映っただろうか、常に自問し反芻している、と語っていた。 チャン・リュル監督の作品は 『キムチを売る女／芒種』（2005年）を2007年に観たのがはじめて。 『キムチを売る女』に登場する少年（7、8歳）も チャンホという名で...監督自身が投影され、作品間に連続性がある気がする。 サッカーは人を結びつける...クルド民族の映画。 2006年に観たクァク・キョンテク監督『台風／タイフーン／TYPHOON』に描かれた脱北者、 2008年釜山国際映画祭で観たカン・ミジャ監督『青い河よ、流れゆけ／Let the Blue River Run』で描かれた朝鮮族の子どもたちの生活。 『青い河よ、流れゆけ』も『豆満江』も 朝鮮族の大人たちのほとんどは韓国へ出稼ぎに行っているという現実。 2006年に観た、出稼ぎの朝鮮族を描いた短編も思い出し... その間 政治的な枠組みではなく 生活に根差し密着した朝鮮族や脱北者の生活と心情がより詳しく描かれるようになってきていると感じた。 徐々に、弱者の目の高さに下りてきている感じ。 続きは釜山国際映画祭で観たもうひとつの映画 ジョン・ギュファン／JEON Kyu-hwanの『ダンスタウン／Dance Town』で...。 to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2024 Dalnara， confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典（ブログ名とURL）を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想（アイデア）・ 視点（着眼点）、 写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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