2011年の韓国・全州国際映画祭では
ホセ・ルイス・ゲリン/Jose Luis Guerin 監督の特集上映がありましたが...
今年日本でもホセ・ルイス・ゲリン映画祭と銘打って回顧展が。
今日観た『ゲスト/GUEST』は
全州国際映画祭でも上映された
『シルビアのいる街で』を携えて
世界各国の映画祭に招かれた監督が
カメラを持って訪れた街の人々を映し出した作品。
時には街中で出会った人々の住む家までついて行って撮影、話を聞いています。
キューバではベンチに座って愚痴を言う市民たちの家に付いて行ったり。
アフリカでも女性の井戸端会議の会話を通して生活像が立ち上がってきます。
映画はドキュメンタリー・スタイルではあるけれど...
音を繊細にコントロールして
計算しつくした演出もなされている。
たとえば、
イタリアの映画祭に招かれたホセ・ルイス・ゲリン監督一行が
部屋でドレスアップ、準備しているシーン。
部屋の外からは、あのイタリアのオペラ曲が響き
部屋の中ではフランスの女優がフランス語の唄を口ずさんでいる。
イタリアの音・詞とフランスの音・詞による襲(かさね)、共鳴。
同時に
晴と褻、即ち非日常と日常、外と内...などの共鳴と共振が
音によって語られているよう。
映画祭という祭の場と
それを相対化する日常の視線が交差する。
だから、
映画祭の審査員でもなくゲストでもなく
キューバでベンチに座って愚痴を言う市民や
アフリカ女性たちの井戸端会議なのだ。
ホセ・ルイス・ゲリン監督がカメラとノートといっしょに持っていた本は
パパ・ジョルジュこと映画作家ジョルジュ・メリエスの本。
1902年の映画『月世界旅行』のビジュアルが表紙。
監督のシネフィルらしい姿や監督の心が
一瞬のカメラで切り取られ伝わるそんなシーンも印象的。
ジョルジュ・メリエスといえば
今年公開された
マーティン・スコセッシ監督『Hugo/ヒューゴの不思議な発明』も思い出します。
この映画の鍵、と思ったのは
キューバで監督が出会ったひとりの女性が語っていた
「詩と現実に相違はない」という言葉。
ごくふつうの女性がこのように深く哲学的なことを
さらっと言ってしまうキューバの奥深さ、キューバの人生の奥深さにも驚きましたが...
まさにその言葉の通り
作品『ゲスト』も詩と現実、すなわちフィクション映画とドキュメンタリーのあわいを
自由に行き来していました。
そして詩も現実も共に
真実を、光を宿していると実感しました。
アフターパーティーでそんな感想を監督にお伝えしたところ
「的確に、そしてすごく深く理解してくれてありがとう」とのお言葉が!(≧∀≦*)光栄です。
一方、
今日のようなゲリン監督の作品は
ジョナス・メカス/Jonas Mekas監督の影響あるいは交流から生まれたスタイル、とも直感しました。
ジョナス・メカス監督作品は
昨年のベルリン国際映画祭で上映された『眠れぬ夜の物語/
Sleepless Nights Stories』を今年2月に観ていました。
「千夜一夜物語」にインスピレーションを得た、25章構成の作品。
全州国際映画祭で観たホセ・ルイス・ゲリン監督の作品は
全州デジタル・プロジェクト/JIFF Projectの
Memories of A Morning。
日本では未公開。
アフターパーティーでは
この作品も心に沁みて、良かったです!とお伝えしました。
ほとんどの方が観ていない作品でうらやましい!という反応と反響が(*^-^*)
監督は昨年の韓国滞在を思い出したらしく、
「韓国の人は反応が熱かった、情熱的!」とおっしゃっていました。
今年サッカーEURO2012を視ていたので(いえいえ、スペインも熱いです!)とひそかに心の中で(≧ω≦*)
そして
『Dans la ville de Sylvia/シルビアのいる街で/In the City of Sylvia』。
to be continued...!?
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