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カテゴリ:映画
2012年は『007』シリーズ50周年、第23作目の『007 スカイフォール』が公開。
あらすじ 世界中で潜入捜査をしているMI6諜報員リストが奪われる事件が発生。 トルコでジェームス・ボンド(ダニエル・クレイグ)は犯人を追うが 味方の誤射によって崖から水中深くへと墜落してしまう。 一方、ロンドンではMI6のシステム網がハッキングされ本部がテロ爆破に遭っていた。 M(ジュディ・デンチ)をターゲットにした事件と 首謀者であるテロリスト(ハビエル・バルデム)の因縁が少しずつ明らかになる... Mがma'amでなくmommyと呼ばれる時... そう、部下たちの心の中ではma'am(目上の女性への敬称、奥様など)であり mommy(母)でもある。 (以下、物語の核心に触れるところもあります) 作戦の成功と遂行のためには あくまで非情で冷静で ジェームス・ボンドさえも切り捨てるかのような命令を重ねて来たM。 特に前半の描写は 母性からかけはなれた、そのギャップを強調するかのようなMの描写が目に付いた。 そして Mの冷酷な指令の結果ボンドは水中へと転落し かつての部下シルヴァ(ハビエル・バルデム)も後遺症と恨みを抱え続けている。 ふたりの部下たちの心中、 陰のシルヴァと陽のボンドの胸の裡の対比、陰陽の一方、 諜報員リストを取り戻せないという作戦の失敗や テロの横行と、Mが置かれている非常にまずい立場も描かれ... シルヴァとボンドという「息子たち」の複雑な心境、Mへの信頼の揺らぎ等に相対する 「母」の状況や立場、大義によって互いの苦悩が相殺されるかのような、大人の心情と事情が伝わってくる。 「母」へのちいさな懐疑が拡散し拡大するシルヴァのケースと、 ちいさな懐疑は沈静し克服されるボンドの場合。 Mを守ると決めてからは 心の底に封印していた子ども時代の故郷、ボンド自身の原点であるスカイフォール/Skyfallに Mを匿い限られた武器で戦う姿は まさに恩讐の彼方にある男の美学。 自身の職務に寡黙に忠実にレディをMを守る姿が スコットランドの地に落下するかのごとくskyfall広大無辺な空の風景とも相まって印象的。 Think on your sins.(自分の罪を思い出せ) というシルヴァの言葉は ふたりの因縁以上に Mの、母親としての原罪めいたものも感じさせ 深く考え出すと興味深い。 なぜなら英語で罪はcrimeとsinと使い分けられ sinは特に神に対する罪という概念を孕んでいるから。 原初的、原罪、形而上学的な響きがある。 また、Mが英国の女王、国母を隠喩している可能性もあって... 血塗られた英国の歴史をも連想させる。 深読みしすぎかもしれないが... あっさりめのボンドガールとの出会いと別れ、 MI6で医師(心理学者)との連想テスト(心理テスト)で ボンドが唯一回答を拒んだ「スカイフォール/Skyfall」についても 深い説明がなくあっさりめ、 と、枝葉は枝葉のままあっさり、感傷的に深追いせず粗く残して次へと進み エンディングへ集束する意志が強い演出、とも感じた。 緩急、強弱がある。 サム・メンデス監督作品。 余談ですが... トルコの場面ではドイツ車、AudiにVWが目立って登場し、 ドイツに多いトルコ系移民・移住についても思わず想起し思いをめぐらせる。 トルコとドイツが交叉した映画、『Auf der anderen Seite/On the Other Side』 トルコの少数民族クルド民族を描いた『Mes/MESH/Walking』。 監督はドイツに移住 トルコのシーンではほかにHYUNDAIの車も映っていて VAIO PCのように、いつものプロダクトプレイスメント/Product Placementの手法 でなければ...自動車のシェアや世界/世界経済の今を端的に感じさせ興味深かった。 上海のシーンもまたしかり。 簡体字のネオンで彩られた摩天楼は高く美しく(あくまで高層ビルの足元は映されず)、 そのペントハウスでモディリアーニ/Modiglianiの絵を購入するらしい中国系が映るワンシーンも 経済成長目覚しく購買力の高い現在の中国の姿の一端を象徴している。 (モディリアーニもすきなので...♡(≧∀≦*) 小さく一瞬映っても印象に強く残ってしまう) 一方、長崎にある端島/軍艦島は 戦前植民地の朝鮮半島や戦争中に中国から徴用された労働者が多くいたことでも知られる場所。 先日行った東京都写真美術館 映像をめぐる冒険vol.5 記録は可能か。展で映像上映中。 東京国立近代美術館60周年記念特別展美術にぶるっ!展では 奈良原一高による1950年代の軍艦島の写真。 東京都写真美術館の第5回恵比寿映像祭ではベン・リヴァース/Ben Riversの ポスト黙示録的なSFフィルムスロウ アクション/Slow Actionのひとつが軍艦島を舞台に。 こんなふうに 世界を横断するスパイの通る道には 現在の世界も過去の世界も透けて見える気もして 世界旅行と世界史旅行をしている気にもなる... トム・フォード/Tom Fordのスーツは相変わらずすばらしい。 映画はまた撮らないのかしら...? もうひとりのMことギャレス・マロリー(レイフ・ファインズ)のスーツはトム・フォード? オープニングの左右対称の絵はロールシャッハ/Rorschach testのようにも見えた。 to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用・ 盗用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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Mar 26, 2024 01:17:06 AM
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